「琥珀……」
僕は今、山にいる。
琥珀を探しにね?
「…………」
(どこ行ったんだろう)
「〜♪」
歌声がした。
「行ってみよう」
走って行った。
全力で走った。
倉庫みたいなのがあったから入ってみた。
高い音が辺りに響き渡る。
中に入ると、狭い空間で1人の少女が歌っていた。
「何歌ってるの?」
と、声を掛けた。
彼女はビクッと飛び上がった。
「あ、あ、」
「怖い?」
彼女は深く頷いた。
「そっかー」
「え、と、わ、私も、ここが何処かわかんない」
「そっかー、どうしよう」
ドンドンドンドンドンドン
ゴンッゴンッゴンッゴンッゴンッゴンッ
ドコッバンッ
変な音が扉から聞こえる。
「誰だ!」
叫んだ瞬間、変な音は止んだ。
「…………」
「あ〜、あのさ……」
「はい!」
「人探すの手伝って欲しいの」
「人?」
「そう、人」
「いいですよ」
優しかった。
でも、でもでもっ!
〈ニュース〉
『折本環奈さんが行方不明になりました。』
「は?」
(なんで?どうして?ねぇ、どうして?)
「か、んな?帰ってきてよ……」
(ねぇ!)
「もう、僕から奪わないでよ」
(神様!)
流歌が、琥珀に環奈、それに俺を失ってから本当に鬱になってしまった……
「……」
『ねぇ、流歌!』
『流歌ぁッ』
俺は必死に声を出した。
でも、もう死んでる俺の声は誰にも届かなかった。
『ごめんね、流歌、俺が、死んだから……』
(?)
『ごめんね』と微かに聞こえた。
誰が言ったのかはわからない。
「頑張って琥珀達を見つけないと……」
2話~完~
次回:海
コメント
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面白すぎぃ
面白