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おそうじミモリンとおそろし山の魔王

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おそうじミモリンとおそろし山の魔王

17 - 第12話 見えざるもの達の呪詛

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2025年01月19日

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(成る程、先手をうちに来たってわけですかぃ。)


おそうじミモリンの宿敵、フージャは円卓に

座りながら冷静にミモリンを待ちました。


この円卓は、ミモリンが始めておそろし山の

皆と食事をした、円卓でした。


(リュカの熱は収まった。今ならリュカに入り込める。我らが悲願、細菌達の桃源郷まで

あと少し。)


フージャーはフーーーッと深呼吸をしました。


(ミモリンはリュカを守るために私を殺しに来るでしょう。ですが、すでに手はうってある。)


魔法で円卓へとやってきたミモリンが

フージャの真正面の席へと座りました。


ミモリンはすでにおそうじミモリンへと

変身しております。


「《山びこの魔法》。」


ミモリンはフージャに魔法をかけました。


フージャはこれをあえて食らいました。


「話をしにきたよ、フージャ。」


ミモリンはフージャの細目をまっすぐ見て

言います。


「お互い、本音で話し合おう。」


フージャは、その細目をゆっくりと開き、

魔法を唱えました。


「《呪詛》。」


すると、ミモリンの目の前がまっくらに

なりました。


「この魔法はリュカと同じ禁忌と呼ばれる類の魔法でさぁ、おそうじミモリン。あなたはもう二度と目を回復することはできない。

山の精霊ヤッホーの力でも、魔王バルザルドの力でもね。」


フージャは円卓に足をドカッとおき足を

組み直しました。


「冥土の土産に教えておきやしょう。

おそうじミモリン、私はあなたの体内に ずっと我が優秀なる配下達を忍ばせておいたんでさぁ。…….ペスト、梅毒、ナメクジ病、悪食症候群、神経殺し、魔封じ、

肺炎怒ハイエンド………他にもいますぜぇ?


一体いつ仕込んだかって?そのくらい

自分で考えれば分かるでしょう?


あぁ、勘の良いあなたならもうお気付きでしょう。


おそうじミモリン、私はあなたをいつでも

殺せたんですよ。今だってずっとね。


私が指パッチンをすれば、あなたの身体は

グジュグジュに侵され、死ぬ。」


目の前がまっくらになりながら、ミモリンは

決してフージャから逃げませんでした。


「《山びこの魔法》、相手と本気で話し合う魔法。ミモリン•ヒル•ブラックウェル、

あなたまさか、本気で細菌わたし達と

分かり合えると思ってるんですかい?」


そう言ってフージャは右手の親指と人差し指を擦り合わせました。


ミモリンは派手に吐血しました。


「私は見えざるもの達の王、声なきもの達の

主、ミモリン。私が彼らを代表して、彼らの声を代弁して差し上げましょう。」


ゆっくりと、フージャはミモリンの耳元に

近づき、そしてミモリンに呪詛を吐きました。


「あなたがよく掃除で使ってる洗剤の成分はご存知ですかい?あれはとても強力な洗剤で、目に入れたり、口に入れたりするだけで

体内を脅かすほどの強力な毒だ。」


ミモリンは決してフージャから逃げません。


「想像してみてくださいよ。それを突然、

全身からかけられ苦しみながら身体を溶かされて死ぬ様を。想像できないなら今から実践して差し上げやしょう。 」


ミモリンの身体を激痛が襲いました。


「あなたは、あなた達は。脳味噌がないものは苦しまないと思っている。自分より程度の低いものを殺すことは仕方のないことだと

思っている。ええ、そうですよ。仕方のないことだ。……..でもこちらはそういうわけにはいかないんですよォ………。」


フージャはゆっくりと、ミモリンの

首を絞め始めました。


「知ってますかミモリン•ヒル•ブラックウェル?私たちはあなた達のような生物が憎くて憎くて仕方がないんですよ。

紀元前より前からずっとね。

これは本能なんだ。出来るだけ苦しんで

苦しんで苦しんで死ねばいいと思っている。」


フージャが首をぎゅうぎゅうと絞めるもの

だから、ミモリンが呻き声をあげました。


「それを踏まえた上でもう一度聞きますが。

おそうじミモリン、あなたは本当に、

私と、私達見えざるもの達と、分かり合えると思ってるんですかい?」


そう言ってフージャがミモリンの首から

手を放しました。


ミモリンの解答を聞くためです。


ずっと息のできなかったミモリンは

ゲホッ、ゲホッと咳をし、しばらく

息を整えてから言いました。


「言いたいことはそれで全部?」


ミモリンはすでにもう、目が見えませんでした。眼球は煮込み魚のように白く濁り使い物になりませんでした。


それでもミモリンは、フージャの言葉から、

決して目を剃らしませんでした。


「それは、あなたの配下達の言葉だよね?

フージャ。私はずっとあなたを見てきたから

知ってるよ。フージャが私たちのことを、

あなたの配下達と同じくらい大好きなことを。」


フージャはその言葉を鼻で笑いました。


「おかしいですねぇ、私はまだあなたの脳内にいる配下達には指示を出していやせんぜ?あんた、頭に何か重い病でもかかえてるんですかぃ?」


フージャは合いも変わらず配下達のために

呪詛を吐きました。


「だってあなたはあんなに楽しそうに

私たちと食事をしてたじゃない。」

「あれは演技でさぁ。」

「演技じゃないよ。」

「演技でさぁ!!!!!」

「演技じゃない!!!!!!!!」


ハァーっとフージャは溜め息をつきました。

ミモリンは続けます。


「だってフージャはいつも、私がリュカを

看護する時に一生懸命耐熱魔法をかけてるの

知ってるよ。」

「あれはあなた達に取り入るためでさぁ。」

「いつでも殺せるならどうしてこんな風に

話し合いに応じたの?」

「……ッ、あなたに配下達が味わった苦しみと同じ苦しみを与えてやるためでさぁ。」

「……いいよ。」「何がぁ!!!」

「殺していいよ、私のこと。」


その言葉に、フージャはたじろぎました。


「だって私は、あなたの配下達に、いつもひどいことをしてたでしょ?あなたがいつも

泣きそうな顔で私が掃除してるのを見てたの

私知ってるよ?」


「……ふざけるなっ!!!!死ねば楽になれると

思ってるのか!!!!私は絶対に…..絶対にお前を

許さないぞミモリン•ヒル•ブラックウェル ….. !!!!」


フージャの目から赤い血のような涙がながしれました。


フージャは椅子に座りこみ、目を閉じ、

天を仰ぎました。


そして、こう言いました。


「聞こえるか、我が親愛なる配下たち。

聞こえたものだけでもいい、いますぐ、

おそろし山から撤退しろ。私はおそうじミモリンに降参する……..それでも私とともにこの山に残りたいどうしようもない馬鹿達だけ、この山に残れ。」


フージャはミモリンの身体にいるすべての配下達をおそうじミモリンの身体から逃がしました。


「それでも私は、貴女を決して許しませんからね。」


ミモリンの顔も見ず、フージャは言いました。


「うん、これからもよろしくね。

フージャ。」


ミモリンはもう見えなくなった白く濁った

眼球で、フージャをまっすぐ見つめました。


そこに、魔王バルザルドとヤッホーちゃんが

魔法であらわれました。


「二人とも、喧嘩は終わったかい?」


そして魔王バルザルドはペロリと舌なめずりをしました。


「ならメシにしよう。」


おそうじミモリンとおそろし山の魔王

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