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獣人の国クロヴィスに攻め込む。
未央と六魔将とその配下を含め、100人未満の集団がクロヴィス周辺で待機していた。
~数時間前 魔王城 魔王の間にて~
先代の魔王アリスから国同士の最低限のルール戦争について聞かされていた。
「よいか未央よ!」
「はい!何でしょうアリちゃん!!」
アリスはこの未央の能天気のような返事に力が抜けてします。
「一応これから戦争なのだがこんなで大丈夫なのか一瞬不安になるぞ」
「大丈夫だと心得ております!」
何故か未央はアリスに向かって敬礼のポーズを取る。
「ま、まぁ話を戻して、どうやったら国同士の戦争に勝利するのかだけ教えておこう!」
「この世界の国王は皆”王権”という物を保持している。」
「王権?」
未央は聞き慣れない単語であったため、聞き返す。
「そうだ!王権だ」
「未央もこの魔族領の王なのだから王権を持っている!」
「う、嘘よ!」
未央は手で口元を覆い、驚いたフリをする。
「い、いやそういうボケはいいから…話が進まない」
未央が少しふざけているのを感じ取ったのか、アリスが呆れて言う。
「わかりましたよ~ちゃんと聞くから話してよ!」
「そう王権は未央も持っている。」
「その胸に手を当て、魔力を集中してみろ」
アリスに言われた通りにすると、未央の胸から青白い光と共にクリスタルが現れた。
「えっ、何これ!」
「そいつが”王権”だ」
「そいつには、その王がどこからどこまでを支配しているか記載されている。よく見てみろ」
そう言われたので、未央はその王権に目を凝らして見る。
すると、王権の中に地図が見えた。
その地図はこのヌバモンド全土を示しており、魔族領と思われる箇所が青く塗りつぶされていた。
「その青くなっているところが今未央が支配をしている箇所になる。」
「これから攻めるクロヴィスの王も同じように王権を持っている。」
「その王権を未央の王権に吸収することで、自身の支配する領土を広げることができるのだ。」
アリスの説明が終わると未央は手を挙げた。
「ハイ!ハイ!質問いいですか!」
「むっ、何だ?」
「そもそもこの王権って最初に誰からもらったんですか?」
「最初に与えたのはこの世界の神に当たる存在だ。」
「奴が王に相応しいと思った者にその王権を託し、代々それが引き継がれたり、奪い合ったりされてきた。」
「その王権は、持ち主の意思で、他者に自身の支配する領土を付与したり、代わりに管理をさせたりもできる。」
「ってことはクロヴィスの王様をわざわざ倒したりしなくても、支配することができるってこと?」
「相手を降参、気絶、戦闘不能にすれば、相手の王権を自身の王権に吸収することができるぞ」
「そうなんだ~便利だね~」
未央はアリスの説明を楽しそうにしながら聞いていた。
~クロヴィス周辺~
「で、その攻め込む考えとは何だ?」
サンドルは腕組みをしながら、未央に聞いた。
「皆はそれぞれ、地上から攻めて、私一人で飛翔のスキルを使ってクロヴィス城の攻め込み、王様と直接戦う!」
「ハァ?」
余りにも直線的すぎる作戦にサンドルは呆れてしまった。
「未央よ!流石に大将が一人で攻めるのはないと思うぞ」
アリスまでも呆れてしまい、未央を宥める様に言った。
「じゃあサンドルさんは何か考えがあるの!?」
若干怒り気味な未央は、逆にサンドルに聞いた。
「そうだな―――」
「俺様ならまずゴーレムを大量に生成し、それを街に送り込み、兵力が街の方に集中している内に、俺様の魔法でクロヴィス城を攻撃するね!」
サンドルなら一人でも簡単にこの国を堕としてしまうが、それだと必要以上に死傷者が出てしまうと考えたアリスは、未央にサンドルを止めるように勧めた。
「なら未央様はここに残り、私とエレナ殿とサンドル殿の三人は飛翔のスキルでクロヴィス城に攻め、他の者は城門から攻めるというのはどうでしょうか?」
この提案をしたのは、六魔将の一人であり、頭が羊で首から下が人間の体のモレクであった。
未央はモレクのアイディアをかなりいいと思ってしまった。
「うん、いいと思うよ!」
「ただし、このままだと流石に人数が少ないから、私のスキル”召喚”を使うね!」
そう言って未央は自らのスキルを行使した。
「召喚:サモンダークネス!」
未央の前に巨大な暗黒の魔導陣が現れ、そこから約千体の上級悪魔が召喚された。
その一体一体のレベルは50を超えていた。
レベル50とはこの世界ではAランクからSランク冒険者に匹敵するレベルである。
そのレベルの上級悪魔が約千体も召喚されたのであった。
「おお!素晴らしい!これはまさにアリス様と同等のサモンダークネス!」
モレクは感嘆の声を漏らす。
「悪魔たちは未央の圧倒的な魔力を糧に行動するため、未央に絶対服従である。」
「アリちゃん!ナイス解説!」
アリスの方を向き、親指を立ててサムズアップを送った。
「みんな~聞いて!これは命令だよ!」
「これからクロヴィスを攻めるけど、極力誰も殺さないでね!」
これから戦争だというのに、召喚された悪魔たち、配下の魔族たちには未央の命令は意味不明だった。
「もし破ったらどうなると思うかな―――」
未央は、とてつもない殺気を全員に飛ばした。中にはその殺気で倒れる魔族までいた。
「おい、未央やりすぎだ!」
アリスは驚き、止めに入る。
魔族と悪魔たちは未央の命令に従う他なかった。
「あっ、六魔将のみんなは戦闘で誰も殺しちゃダメだから!」
「モレクさんとエレナちゃんは、サンドルさんを見張っていてね!一番暴れそうだから!」
「了解した。」
「わかったわよ~★」
二人は快く了承してくれた。
「ふざけるなよ!小娘!これは戦争だぞ!」
サンドルだけは納得が行かないようだったが、最終的にはこの場に未央と、モレク、エレナの3人に勝てないと踏み、この場は渋々了承した。
こうして、魔王軍と獣人の国クロヴィスは開戦した。