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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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アレイシアと馬車内で気まずい雰囲気になるも、王宮到着した。

ウェルには馬車で待機してもらい、 僕はアレイシアをエスコートして会場へ入った。

今回のお茶会は社交界のパーティを意識した立食形式。

会場に入った後はアレイシアと共に招待された貴族子女と挨拶周りをした。アレイシアの緊張故の鋭い眼光と冷めた態度により3人を除いて少し怯えていた。

怯えていた人物の中にはガスパルも含まれている。

前回のお茶会でバチバチとやり合った経緯があるので、なんとなくざまぁと目線を送っていると睨まれた。

どうやらガスパルは上の位の人には強く出れない。表面上は取り繕いつつ、挨拶を済ませたのだった。

だが、定期交流会の割には得られる情報も少なく、人によっては挨拶して終わるだけだった。

攻略対象の一人オーラスもいると思ったが、別件があるらしく不在だった。

まだ主催者のアドリアンは来ておらず、お披露目会と同じように最後に会場入りをする。

挨拶が終わると王族派、貴族派、中立派と派閥ごとにグループ形成されアドリアンがくるまで待機していた。

僕はというと最近友人になったばかりのレイル、ギルメッシュ、クルーガーの3人と合流した。

アレイシアも一緒にいる。

挨拶が終わった後、一度別れそれぞれ友人と過ごすべきかと言ったのだが「わたくしに親しい方はありませんので……よろしければアレン様のご友人を紹介してくださいませんか?」と言われた。

アレイシアに親しい友人はいないらしい。

僕は本日何回墓穴を掘ればよいのだろうと後悔しつつ、改めてアレイシアを紹介した。

「アレン様はわたくしの婚約者としての自覚をお持ちになってはいかがですか?……ご友人と言っても会って初日の方にそのような話はするべきではないと進言いたします。よく思わない人もいるのですから」

そして現在僕はアレイシアに小言を言われていた。

元凶の発端はレイルとギルメッシュだった。

クルーガーは少し遠慮気味に相槌を打っていただけだが、爵位の位が近い二人はこの前のお茶会の一件を話してしまった。

内容は僕がアレイシアに惚気たことについて。

「お話はアレンから予々聞いてますよ。自慢の婚約者だと」レイルから話をかけ「努力家で可愛いと惚気てたな」ギルメッシュ補足説明した。

その結果は言うまでもない。

……アレイシアは無表情のまま固まってしまった。

その反応を見て、僕の友人3人は「ああ、なるほど」と言わんばかりに頷いていた。

挙げ句の果てにクルーガーも「ありがたいことにアレンさんは私たちに向けて。いつか大切な人ができればわかるよ。大切な人のためには必死になれるんだ、と助言いただいたんですよ」と追い討ちをかけるように話に混じってくる。

……こいつは僕が以前惚気て婚約者自慢したことを根に持ってやがる。

気がついた時には遅かった。

一度固まったアレイシアは自ら立て直し、僕に文句を言ってきたのだ。

その近くで視線をずらして笑いを堪えている3人。

「いや……その」

「もう少しハキハキなさってください。あなたの態度、言動一つ一つがわたくしの評価につながるのですよ」

なんとも言えない現状に言葉が詰まる。そこを追撃するようにアレイシアは言葉を発してくる。

いや、どう反応すればいいんだろう?

僕の心情は楽しさ半分、イラつき半分と言うべきだろう。

アレイシアの照れ隠しの言葉を聞いて楽しいと思えてくるのと、傍でそのやりとりを見て笑いを堪えている友人達。

……流石にまだ会って一週間しか立っていないのに君は遠慮がなくなってないか?

それとも前回の惚気と婚約者がいないことに対する言動がよっぽど根に持っていたと考えるべきか?

一つわかることはやり返しが僕に一番ダメージがくる方法をされたということはわかった。

この状況は長く続くことはよくない。

アレイシアの言う通り側から見れば口論をしているようにも見られてしまう。

評価を気にすると言う点でなるべくやめたほうが良い。

とにかく今できることをしよう。

「申し訳ありません。配慮が足りておりませんでした」

謝ることしかできない。今僕が素直な気持ちを伝えた。

「ですが、僕がアレイシア嬢を大切に想っていることは本当です」

「……」

……ここでアレイシアの言葉が止まる。

そう言った後、はっと我に帰ったアレイシアは僕の目を見詰め、俯いてしまう。

『ドッ…ドッ…ドッ』

僕は上手くアレイシアの反応から気持ちを汲み取ることができない。

だが、今この場で見せた反応は今まで見せたことのない反応だった。

喫茶店で見せた反応とは似ているようで似つかない表情。鼓動が早くなり顔が少し真っ青になっているような……呼吸も少し早くなっている。

どうしたのか声をかけようとしたのだが、タイミングが悪く突然扉が開いた。

正装で身を包む金髪紫目のイケメンのアドリアン、その左後ろに白いドレスに身を包む綺麗な金髪を肩ぐらいで切り揃えている大人しい雰囲気の女の子……クリスタ王女殿下と思わしい人物が控えている。

会場に入るなり辺りを見渡していた。

だが、会場の雰囲気は凍りついた。

王族派のグループからは歓喜や、貴族派グループからは憎悪や嫉妬。

中立派は呆れとわかりやすい反応を示した。

僕はその雰囲気に思わず小さくため息をした。

「時間通りだな……よく集まってくれた。面倒だから型式的な挨拶は省かしてもらう。……紹介しよう、俺の大切な妹のクリスタだ。まだ社交界デビューを果たしていないが、俺の妹は優秀でな、社交界で恥じない作法を体得している。貴様らと遜色ないかもな……さて。話はそれたが、今日は有意義な時間を過ごしてくれ」

アドリアンはクリスタを連れて会場の真ん中まで移動すると、挨拶をした。

その挨拶は人を小馬鹿にするような言い回しや、鼻で笑っている仕草も見られる。

会場にいる大半を敵に回すような言い回しに、人を見下す傲慢な態度。

本当に面倒な会になりそうだ。

実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と呼ばれた悪役令嬢は重度のあがり症だった〜

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