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鍾タル/時々長く眠りにつく先生の話/要素薄め(鍾+タルかもしれない)(きゅあぴゅあではない、ちょっと辛いかも)


満月だった。

丸く、大きな月が璃月の空に浮かんでいた。まるでそこだけがくり抜かれたような。金が貼られたような。不自然なほど綺麗で幻想的な空模様だった。こういう日には必ずと言っていいほど、聞きなれた言葉がこの部屋に流れるはずだ。

扉が開く。漆を塗ったかのように光る黒髪を揺らして鍾離はタルタリヤの少し後ろへ歩みを進めた。きっと、またあの話だ。

「公子殿。また長らく眠りにつこうと思うんだが」

やっぱり。

先生が人間では無いことは知っていた。夜目が異常によく効くこと。髪の先の方が仄かに光ること。当たり前かのようにきっと誰も知らない昔の話をするところ。良く考えれば、変だった。

それに加えて、3ヶ月おきに先生は長いこと眠りにつく。大体は3週間ほど。今までは長くて1ヶ月半だった。冬眠、とでもいうのだろうか。(冬では無いのだが)

その時は事前に俺に知らせて、先生はぱっぱと自室に篭もる。部屋に入るのを特に咎められていないのだが、入ることは無い。なぜなら、1度、興味本位で足を踏み入れたときがあった。勿論、先生は宣言通り寝ていた。だが、あまりにも現実味が無く凡人とは遠くかけ離れた、先生の姿があって、見てはいけないものを見たような気がしたからもうそれ以降入っていないのだ。

「ぁあ〜……もうそんな時期かぁ。先生、また俺を1人にするんだね?」

そういじけたように呟けば、眉をひそめながら先生はこちらに近づいてくる。

「それは…すまない、公子殿。君を1人にしたい訳では無いんだがな……でも、またすぐに会える。今回は短そうなんだ。」

「ふぅん、そう。それで短かった事なんてあったっけ?」

「………その通りだ。」

「だろ?あーぁ、そんな顔しないでよ、先生。俺だって信じたいのはやまやまさ。でも信じたときに裏切られるのが1番くるわけ。だから、もう当たり前のことだと思っておくよ」

複雑そうに顔を歪めて、先生は恐る恐る俺の背中に手を這わせた。少し意地悪しすぎちゃったかな。でも、いいよね。いっつも俺は1人なんだから。

息をしにくい空気が二人の間で流れ始める。数秒、数分、数十分。沈黙が重なる

「……公子殿、おやすみ」

沈黙を破ったのは先生だった。いつもと変わらない、穏やかで、でも凛とした声が耳元で踊る。するり、と背中の手が遠ざかっていく。うん、と小さく零したまま外を見ていれば、先生は少し立ち止まり、自室へと向かった。いつもとは違う、とても遅い足取りで。

静かだ。

誰もいない。俺しかいない。このまま夜に呑み込まれそうだ。瞳を閉じれば、感じるのは夜風と音のみ。少し遠くから響く人の声。さぁっ、と肌を風が撫でる。

「…俺だって寂しいさ」

腕に顔をうずめ、かすかに熱い目尻を隠す。

月に飲まれる独白は、誰にも聞こえることは無い。

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