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まずい書き溜めが底を尽きそう!笑
頑張って書きます…。゚(゚´Д`゚)゚。
(……クソ、なんでだよ)
冬弥が浴室へ向かった後、オレは一人で広いリビングのソファに腰掛けていた。
部屋の電気は全部点いていて、眩しいくらいに明るい。周りを見渡しても、不気味な影なんてどこにもないはずだ。
なのに、膝の上に置いたオレの手は、さっきからガタガタと酷く震えて止まらなかった。
(広いし、明るいのに……お前がいないだけで、こんなに息が浅くなるのかよ……っ)
男に触れられた胸や内側の嫌な熱が、静まり返った部屋の中で、またじわじわと這い上がってくるような気がする。
ドアの向こうから聞こえる微かなシャワーの音だけが、今のオレの唯一の救いだった。
「……落ち着け。冬弥はすぐそこにいるだろ……っ」
自分に言い聞かせながら、オレはソファの上で毛布を強く抱きしめ、必死に恐怖を堪え続けた。
部屋は明るくて広いけど、微かに聞こえるシャワーの音しかなくて、オレには不気味に思えてしまった。適当にリモコンを掴み、適当な番組に回す。
『――さあ今夜の『徹底解剖』は、皆さんも絶対に経験があるあの痛み! なぜか足の小指ばかりをぶつけてしまう謎に、さらに深く迫ります!』
「……ッはは、」
静まり返ったリビングに、突如として流れ出したテレビの賑やかなBGMとナレーションの声。
怖さを紛らわせるために慌てて点けた画面に映し出された文字を見て、オレは毛布を抱きしめたまま、思わず小さく吹き出してしまった。
(またこれかよ……。どんだけ小指推してんだよ、このテレビ局……)
画面には、大真面目な顔をした専門家がフリップを使って、朝の番組よりもさらに細かく、骨の構造や歩き方のクセについて熱弁している姿が映っている。
朝、このテレビを見ながら、ブラックコーヒーを前にして「マヌケだな」って冬弥をからかって笑い飛ばしていた、あの眩しくて平和だった時間。
その光景が鮮明に頭の中に蘇ってきた瞬間、喉の奥をキツく締め付けていた冷たい恐怖の塊が、おかしさと愛おしさでゆっくりと、だけど確実に溶かされていくのが分かった。
(あいつ、お風呂から上がってきてまたこれ見たら、どんな顔すっかな……)
「また俺ばっかり」なんて言って、真面目な顔して凹むんだろうか。
そう想像するだけで、ガタガタと震えていた指先の強張りが少しずつ解けて、自然と呼吸が深く吸えるようになっていく。
あいつの不器用で、愛おしい天然な姿は、離れていてもこうしてオレの心の闇を綺麗に消し去ってくれる。
「……早く上がってこいよ、冬弥」
画面の賑やかな笑い声に包まれながら、オレは毛布にすっぽりとくるまって、愛しい相棒が戻ってくるのをソファでじっと待ち続けた。
少し経って、シャワーの音が止まる。そろそろ冬弥も風呂を上がるのだろうか。
「…ッい”〜…っ、!」
「……ふっ、あははッ!おい冬弥、お前マジで勘弁してくれよ…!」
浴室のドアが開いたと思ったら、まさかの三度目のあの悲鳴。オレはソファから転げ落ちそうになりながら、お腹を抱えて大爆笑しちまった。
(右、左ってきて、お風呂上がりにもう一回右かよ! どんだけ小指の存在忘れてんだよ、お前……!)
テレビの『足の小指徹底解剖』っていうタイムリーすぎる画面の横で、パジャマ姿のまま涙目で悶絶している冬弥の姿が容易に想像できる。可笑しくて、愛おしくて、さっきまで胸の奥に燻ってた男の嫌悪感も、クローゼットの暗闇への恐怖も、全部一瞬で綺麗さっぱり吹き飛んじまった。
本当に、お前って奴は、オレの欲しい笑顔を一番最高のタイミングでくれる、世界一不器用で最高の相棒だ。
「ほら、また冷やしてやるから、そこ動くんじゃねぇぞ!。マヌケな小指見せてみろ!」
オレはテレビを指差して笑いながら、今度は完全に心の底からの笑顔で、痛がる愛しい相棒の元へと駆け寄った。
「……え? おい、冬弥……?」
おかしい。オレはソファから立ち上がろうとして、そのまま全身の血が引いていくのを感じた。
目の前には誰もいない。テレビの賑やかな音だけが虚しく響いている。
耳を澄ませば、脱衣所の向こうから、今もザーザーと静かにシャワーの音が聞こえていた。
(幻聴……? オレ、あいつの声を聞いたはずなのに……っ)
まだ、冬弥は風呂に入ってる。
恐怖で頭がおかしくなって、あいつがドジを踏む幸せな幻を見たんだ。
そう気づいた瞬間、部屋の明かりが急激に薄暗く歪み、あのクローゼットの真っ黒な闇が、再びオレの足元から一気にはい上がってきた。
「っ、は……、…ひゅ…っ、ふ、冬弥……っ!!」
オレは震える手で毛布を強く握りしめ、過呼吸になりそうな胸を必死に押さえ込んだ。
「……っ、と、うや……っ!!」
シャワーの音が止まり、お前の顔がドアの隙間から見えた瞬間、オレはソファから飛び起きて、そのまますがるように脱衣所へと駆け寄った。
(あぁ、よかった……幻じゃねぇ、お前はちゃんとそこにいる……っ)
お風呂の狭い閉塞感と、さっきの小指の幻聴のせいで、頭が狂っちまいそうだ。だけど、お前のそのいつもと変わらない、少し呆れたような優しい声を聞いただけで、喉の奥を締め付けていた冷たい恐怖が一気に解けていくのが分かった 。
「…彰人?呼んだか?」
パジャマの袖をガタガタと震わせながら、オレは脱衣所のドアの縁を強く握りしめ、涙目のままお前の瞳を真っ直ぐに見つめ返した。
「……わりぃ、なんでもねぇよ。ただ……お前がなかなか出てこねぇから、ちょっと……寂しくなっただけだ、馬鹿」
これ以上心配をかけないように、オレはわざとぶっきらぼうに強がってみせたけれど、視線だけはもう、お前から一ミリも逸らすことができなかった
「もうすぐ出るから、少しだけ待っていてくれ」
「っ……、う、あ……っ」
ドアが閉まり、再び一人きりになったリビングで、オレは自分の両腕を強く抱きしめてソファに崩れ落ちた。
部屋は眩しいくらいに明るいのに、視界の端がチカチカと暗く染まっていく。
(なんで、ありもしねぇ冬弥の声を、都合のいい妄想なんか聞いたんだよ、オレは……っ)
あいつが小指をぶつけて、それをオレが笑い飛ばす。そんな幸せな日常を、恐怖のあまり頭が勝手に作り出したんだと自覚した瞬間、激しい自己嫌悪と恥ずかしさで、心臓が破裂しそうなくらい暴れ出した。
膝の上に置いた手は、さっきよりも酷くガタガタと震えて止まらない。
(ダメだ……こんな頭までおかしくなった姿、今度こそ冬弥に、完全に面倒くさがられる……ッ)
大人なのに、男なのに。外で男に襲われて、一人で風呂にも入れなくて、挙句の果てにリビングで幻聴に怯えてるなんて、そんな奴、誰がどう見たって重荷でしかないだろ。
せっかくあいつが「面倒じゃない」って言ってくれたのに、この無様な姿を見せたら、今度こそ愛想を尽かされて、オレの目の前からいなくなっちまうかもしれない。
その最悪な想像が、さっきのクローゼットの暗闇よりも、何百倍も恐ろしかった。
「は、ぁ……っ、落ち着け、オレ……、普通にしてろよ……っ」
引きつる喉で必死に呼吸を整えようと、オレは涙を袖で乱暴に拭い、震える手を太ももの下に挟んで必死に隠そうとした。
あいつがこのドアを開けて戻ってきた時、少しでも「普通のオレ」でいられるように、胸の奥の狂いそうな恐怖を無理やり心の底へと押し込み続けた。
「ふぅ…、…彰人、上がったぞ。あ…、また小指のこと、テレビでやってるのか?今日はとんだ厄日だな」
「……お、おう。あったまったか、冬弥」
オレは太ももの下に挟んだ震える手をさらに強く押し付けながら、掠れた声をどうにか絞り出した。
お前がテレビの画面を見つめて、少し呆れたように、だけどいつも通りに優しく笑っている。
(頼むから気づかないでくれ……オレがこんなにガタガタ震えて、頭までおかしくなってんの、バレたくねぇ……っ)
お前のその真っ直ぐな瞳がオレに向くたび、胸の奥がキュッと冷たく締め付けられる。
面倒だなんて思われたくない、見捨てられたくない。その一心で、オレは涙を必死に堪えて、引きつりそうな顔でどうにか普通の笑顔を作ろうと必死に強がってみせた。
「…怖いこと、あったのか?」
「っ……な、にがだよ。別に、怖がってなんかねぇし……っ」
冬弥の熱いお風呂上がりの指先が、オレの冷え切っていた頬にそっと触れた瞬間、体の芯がビクッと跳ね上がった。
お前のそのどこまでも真っ直ぐで、全てを見透かすような眼差しで見つめられると、必死に隠そうとしていた弱音が全部溢れそうになっちまう。
(……あー、クソ。強がってんの、最初からバレバレだったかよ……)
太ももの下に隠していた手が、情けないくらいガタガタと震え続けている。
幻聴を聞いちまったことも、お前に愛想を尽かされるのが怖くてたまらないことも、この優しい手のひらの温もりに触れた瞬間、もうこれ以上隠し通せなくなっていた。
お前を困らせたくないのに、面倒くさがられたくないのに、結局オレはお前の優しさに縋ることしかできねぇんだ。
「……わりぃ、冬弥。オレ……本当に、どうかしちまったみたいだ。……頼むから、オレの隣にいてくれよ……っ」
オレは顔を赤くしたまま、頬にある冬弥の手の上に、自分の震える手をそっと重ねて強く握りしめた。
これ以上、お前に見捨てられないように、この後はどうやって過ごそうか?
「…ふふっ、彰人は俺のことが大好きだなんだな、」
「……っ、な、何言ってんだよ、お前……ッ!」
冬弥のその真っ直ぐな言葉に、オレは顔が一気に火を噴きそうなくらい熱くなって、重ねていた手を思わずギュッと握りしめた。
お前に全部見透かされてるのが恥ずかしくて、情けなくて、だけどどうしようもないくらい胸の奥が愛おしさでいっぱいになる。
(……あぁ、そうだよ。オレはお前がいないと、もうダメなんだよ……っ)
こんなにボロボロで情けないオレを、お前は「大好きだな」って、優しく笑って丸ごと抱きしめてくれる。
面倒くさがられるんじゃないかって怯えてたのが馬鹿らしくなるくらい、お前のその手のひらは温かくて、心の奥の暗闇を全部溶かしていってくれた。
「……あぁ、そうだよ。お前が隣にいてくれなきゃ、オレは一歩も歩けねぇよ。……だから、ずっと隣にいろ、馬鹿」
オレは涙目で睨みつけるようにしながらも、お前の胸元に思いきり額を押し付けた。
「……っ…、」
冬弥の優しい手のひらが頬に触れているはずなのに、オレの体の震えは、どうしても止まってくれなかった。
お前の「大好きだな」っていう声さえ、またオレの頭が作り出した都合のいい幻聴なんじゃないかって、胸の奥がゾッとするような冷たい恐怖に支配されていく。
(怖い……っ。これも嘘だったら、オレ、本当に頭が狂っちまう……っ)
もしこれが全部オレの妄想で、本当のお前はもうオレに愛想を尽かして、この眩しいリビングのどこにもいないんだとしたら。
そう考えた瞬間、過呼吸になりそうな胸がキツく締め付けられて、まともな空気が吸えなくなる。
こんな風にガタガタ震えて、お前の声すら信じられなくなってる情けないオレを見たら、今度こそ本当に「面倒な奴」だって思われて、見捨てられる。
「っ、ごめん……冬弥、ごめんな……っ! オレ、おかしく、なっちまって……っ!」
オレは恐怖と絶望で涙をボロボロと溢れさせながら、頬に触れるお前の手を、ちぎれんばかりの力で強く、強く握りしめた。
お前が本当にここにいるっていう確かな証拠が、今のオレにはどうしても必要だった。
「っ…彰人、?どうしたんだ、やっぱり俺が風呂入ってる間に何か…、」
「……っ、と、うや、……お前、本当に……そこに、いるんだよな……っ?」
オレはお前の服を破れるくらい強く握りしめ、涙でぐちゃぐちゃの顔を上げられないまま、掠れた声で必死に問いかけた。
(幻聴じゃねぇ……っ。お前はちゃんと、オレを心配して声をかけてくれてる……っ)
お前の焦ったような、だけどどこまでも優しいその声を聞いた瞬間、喉の奥を締め付けていた最悪の恐怖が、少しずつ解けていくのが分かった。
風呂に入ってる間に、お前が小指をぶつける都合のいい妄想を聞いちまったんだ。またお前に愛想を尽かされて見捨てられるんじゃないかって、頭がおかしくなりそうだった。
「っ……わりぃ、ごめん……っ! オレ、一人で待ってる間、頭が狂っちまって……お前が、いなくなる夢ばっか、見て……っ」
オレはガタガタと激しく震えながら、お前の胸元に思いきり額を押し付けた。
お前を困らせたくないのに、面倒くさがられたくないのに、結局オレはお前の温もりに縋ることしかできねぇんだ。
「…っ……、…彰人…。大丈夫。俺は、ここにいるから…俺の目を見ろ」
「……っ、と、うや……」
お前に言われるがまま、オレは涙でぐちゃぐちゃの顔をゆっくりと上げた。
視界が滲んでうまく焦点が合わねぇけど、目の前には、どこまでも真っ直ぐで、少しも揺るがないお前の瞳がちゃんとあった。
(あぁ……幻じゃねぇ。本当に、冬弥の目だ……っ)
その強い眼差しに見つめられた瞬間、頭の奥でぐるぐると渦巻いていた最悪な妄想も、あの真っ黒なクローゼットの恐怖も、嘘みたいにすっと消え去っていった。
お前はここにいる。オレを見捨てたりしない。
繋いだ手のひらから伝わってくる熱が、何よりも確かな現実として、オレの凍りついた心を芯から温めてくれる。
「……あぁ、見えてる。お前が、ちゃんと、目の前にいる……っ」
オレはまだ少し震える手のままで、冬弥のその優しい瞳を、今度は一ミリも見失わないように真っ直ぐに見つめ返した。
「…もう寝よう。明日は会社も休むんだ。最近忙しいから、彰人も疲れてるんだよ」
「……あぁ、そうだな。お前の言う通りにするわ」
冬弥のその言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた肩の力が一気に抜けた。
明日、あの会社へ行かなくていい。あの理不尽な先輩に会うことも、夕方のあの恐ろしい薄暗い帰り道を一人で歩く必要もないんだ。
その圧倒的な安心感に、オレの胸の奥は一気に温かいもので満たされていった。
(疲れてる、か……。お前の言う通り、オレ、ちょっと限界だったのかもな……)
男に汚された嫌悪感も、幻聴に怯えた惨めさも、冬弥が「休もう」ってオレを丸ごと引き受けてくれたことで、全部どうでもいい小さなことに思えてくる。
大人になってからずっと張り詰めていた心の糸を、お前が優しく緩めてくれたんだ。
「……ありがとな、冬弥。……じゃあ、今夜は電気全部つけたまま、ずっと隣にいてくれよ」
オレは冬弥の手をしっかりと握りしめたまま、眩しい光に満ちた寝室のベッドへと、愛しい相棒と一緒にゆっくりと歩き出した。
next…♡100(挑戦…!)
コメント
2件
やばいです~.......涙がぁああ😭 ああこの二人の周りにある酸素になって彰人くんに吸われてそのまま二酸化炭素として吐かれたい(変態)
あいす@低浮上
13
956
暗理
717
2・5
124