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「ああ、あの大慌てよう……私がこの店で占い師をしていたことは見抜けたみたいだけど、私たちが彼女が夏彦と不倫していたことを、知っていたことは見抜けなかったようね」 奈々美が帰って次の予約まで20分ほど時間が空いた。
誠也が近くのドーナツ屋で私の好きなドーナツとコーヒーを買ってきてくれてモグモグと口に入れていく。ああ、うまいうまい。お腹が空くのよ、占いって結構体力使うし。
夏彦はバカでもできるとか、嘘つきがでまかせ出鱈目言うだけだから辻褄合わない……詐欺と一緒だとか。何でそんなことしか言えないのかしら?
「……しかも探偵が言ってた一番格下の扱い、公衆トイレでの密会……笑える笑えるー」
奈々美さんに問い詰めるとどうやらもうかなり長い関係だそうで。
ハァ、奈々美さんとの浮気に味を占めて私のママ友にも手を出した感じね。時系列的に。
お金を払うから黙っておいてくださいって最後の方は頭を下げてたけどそれは弁護士さんにお任せする、と言うと義父母との同居もしますからお許しくださいと土下座している姿がアー笑えてきたわ。
「奈々美さん、どうされるんでしょう」
「だれかにちくってもこっちは手を打てるから。下手な真似したらアウトよ」
「……姉さん、やっぱりやめましょうよ」
「なんで? もうやめられないわよ。ここまできたらあとは夏彦にもドーンと叩きつけて地獄に落としてやるわよ……それにはもっとお金が必要だから……他にも密会してた女とか、ワンナイトの女とか……でも……」
「でも?」
私は奈々美が言っていたことで気になったことがあった。
『なんか私のいる時に誰かと電話していた……聞いたら別に相手がいるって……』
と。
『夏彦さんはもう女は疲れたって。でもその人は僕を癒してくれる相手だ、とか言ってたけど杏子さんは癒せる相手じゃないのね、ウケる』
……最後の一言は余計だけど。