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「私だよ。私が、このテロを引き起こしたの」

そういいにっこりと微笑む彼女。

だが、その微笑みは少し寂しそうにも見えた。

「は……?」

開いた口が塞がらなかった。

なにを言ってるんだこの人は。

意味がわからない。 

突然現れた女の人に、私はテロをしましたといわれても、なんと答えればいいのか。

僕をからかっているのか?

第一、僕がそんなよくわからない話を信用するわけがないだろう。

僕は、返す言葉が見つからなかった。

「なんですか本当に。僕帰らなくちゃいけないんで、じゃあ」

やっと出てきた自分の言葉は、ひどく冷たいものだった。

なんだか気まずくなって視線を彼女から外し、後ろを向く。

僕は気分が晴れないまま、帰ろうとして家の方向に歩き出す。 

「じゃあ、また明日ね」

最後になにか聞こえた気がしたが気にしなかった。

このままこの人のそばにいては危険だ。 

そう判断した。 

だから、「待って」と声を掛けられても一切振り返らないで、僕は分厚い雲に覆われた曇り空の下を通って行った。





これが僕と彼女の出会い。いきなり話しかけてくる変な人、という第一印象は最悪だった。

僕と彼女の、テロ物語。

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