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話し終えると、照れを隠そうとしてか、室内へふいと目をやる彼に、
自分も釣られるように視線を移すと、ここであった出来事が一瞬まざまざと脳裏に蘇った。
責められて苦しくて、逃げ出したくてたまらなくて、
だけど逃げ出さずにもいた私は、今になって思えば、ずっとこの人のことをどこかで追いかけていたようにも窺えた……。
それは、見え隠れしていた彼の本当の素顔を探すかのようで、元は恐くも見えていたその裏側に、さらに厳重に閉じ込められた彼自身を、探し求めるような感じだった。
私にも初めからどこかで惹かれる気持ちはあって、だから別れを切り出された時に、自分の心が受け入れることができずに、深く棘が刺さったようにも感じたんだと、今さらながらに気づいた──。