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#BL
kaede🍁
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おその★
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玄関の前は静まり返っていた。
インターホンはもう鳴らない。
ドアの向こうにいるはずのめめも、何も言わない。
それでも、気配だけは感じる。
帰っていない。
待っていてくれている。
阿部は壁にもたれたまま、震える息を吐いた。
(めめは……合鍵を持ってる。)
付き合い始めて一年。
お互い忙しい仕事だからと、もしものために渡した合鍵。
本気で心配しているなら、きっと使ってもおかしくない。
それなのに、ドアが開く気配は一度もなかった。
「……待って、くれてるんだ。」
自分が開けるまで。
自分が決めるまで。
めめは、その一歩を踏み越えようとはしなかった。
その優しさが、胸に痛いほど染みる。
阿部は涙を拭うと、ゆっくり立ち上がった。
震える手でドアノブを握る。
深呼吸を一つ。
カチャリ、と鍵を回した。
ゆっくりとドアが開く。
「……あべちゃん。」
目の前には、数日ぶりに見る恋人の姿。
目黒は少し安心表情で立っていた。
目が合う。
ほんの一瞬。
時間が止まったようだった。
阿部は何も言えず、ただ俯く。
「……ごめん。」
かすれた声で、それだけを絞り出した。
目黒は驚いたように目を見開いたまま、阿部をじっと見つめる。
長い髪。
華奢な身体。
見知らぬ少女の姿。
普通なら、知らない人だと思うはずだった。
けれど目黒は一歩近づくと、小さく息を吐いた。
「……あべちゃん、だ。」
その一言に、阿部の肩がびくりと震えた。
「え……。」
「その癖。」
目黒は困ったように笑う。
「謝るとき、右手をぎゅっと握る。」
阿部は反射的に自分の右手を見る。
無意識に拳を握り締めていた。
「あと、怖いときは人の目を見られない。」
阿部はゆっくり顔を上げる。
目黒の瞳には驚きこそあったが、恐れも戸惑いもなかった。
ただ、心配そうな優しい色だけが浮かんでいる。
「電話に出なかったのも、返信が短かったのも……何か理由があるって思ってた。」
目黒はもう一歩だけ近づいた。
「でも、まさかこんなことになってるなんて。」
阿部の目から涙があふれる。
「……怖かった。」
声が震える。
「誰にも言えなくて……。」
「うん。」
「みんなに迷惑かけて……。」
「うん。」
「めめにも……。」
それ以上は言葉にならなかった。
目黒はゆっくり両腕を広げる。
「おいで。」
阿部は首を横に振った。
「……でも、俺……。」
「女の子になっちゃった。」
その言葉に、目黒は少しだけ眉を下げて笑う。
「見れば分かる。」
「じゃあ……。」
「それでも。」
目黒は迷いなく答えた。
「俺の前にいるのは、あべちゃんだよ。」
「姿が変わっても、声が変わっても、俺が好きになった中身まで変わるわけじゃない。」
「だから、一人で抱え込まなくていい。」
その言葉を聞いた瞬間、阿部の張り詰めていた糸が切れた。
「……めめっ。」
泣きじゃくりながら目黒の胸へ飛び込む。
目黒はその小さな身体をしっかりと抱きしめた。
「おかえり。」
その声を聞いた阿部は、何日ぶりかも分からないほど久しぶりに、「もう一人じゃない」と思うことができた。
コメント
1件
ああ、もうこの回良すぎた……(涙) 外見が変わっても「癖」で本人って気づくめめ、最高すぎるでしょ。 「おいで」って両腕広げるところで完全に持ってかれたわ。姿が変わっても好きだって言い切るの、マジで理想の恋人。 阿部ちゃんがやっと泣けて、もう一人じゃないって思えたシーン、こっちも一緒に泣いた。 みらさん、尊い作品ありがとうございます……!続きが気になりすぎる🔥