テラーノベル
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「……その、弟には会ってください。きちんと紹介したいので」
「本当に? ご家族に紹介して貰えるの凄く嬉しい! ありがとう」
「後で日程聞いてみますね」
「うん」
照れ臭さを残しつつも、再び会話を交わす二人。
この後も会話が途切れることはなく目的地に辿り着いた。
「うわぁ、混んでるね」
「土曜日ですしね」
「遊園地なんて久しぶりだから楽しみ!」
「俺もです!」
こうして二人は車を降りると入園口まで歩いていく。
「えっと、チケットは……」
そして、チケット売り場の前で足を止めた亜佑美が財布を取り出しながら料金を確認すると、
「あ、チケットはもう用意してあるので、大丈夫です!」
朝陽が財布からチケットを二枚取り出して見せてくる。
「え? そうだったの? ありがとう! それじゃあお金払うね」
「いいです!」
「駄目だよ、こういうことはきちんとしたいから」
「その、今日は俺から誘ったし、俺に任せてくれるって言いましたよね?」
「それはホテルの予約とかの話のつもりで……」
「俺は今日のこと全てを任せてもらいたいんです! さ、行きましょう!」
渋る亜佑美の手を取った朝陽は亜佑美にチケットを手渡すと、入園口の方へ歩いて行く。
「朝陽くん……」
これ以上のやり取りは不毛だと思った亜佑美は財布を鞄にしまうと朝陽の後を追いかけた。
園内へ入ると、人の多さに圧倒する。
「どうしよう、何から乗る?」
「そうですね、どれも混んでいるでしょうから、特に人気なアトラクションをいくつもは乗れないですよね」
「だね。朝陽くん、絶叫系は?」
「俺はいけます! 亜佑美さんは?」
「好きって訳じゃないけど、乗れないことはないよ?」
「そうなんですか? 少し意外です」
「えぇ? そお?」
「それじゃあこれ、行っちゃいますか?」
そう言って朝陽がマップを指差しながら言ったのは、高低差のあるコースを猛スピードで駆け抜けるスリル満点のジェットコースター。
「うん、いいよ、行こう」
亜佑美は得意では無いものの、朝陽が乗りたいならそれを尊重しようと頷き、二人はジェットコースター乗り場へ向かって行った。
「二時間待ちだって」
「まあ、人気ですからね。並びましょう」
「うん」
待ち時間を見て諦めて行く人たちもいる中、二人は当たり前のように列に並ぶ。
「天気が良いけど、日差しが強いとちょっと暑いね」
「ですね。あ、亜佑美さんはこっちに立ってください。これなら少しは陽が当たらないと思うので」
並んでいる場所は角度的に陽が当たってしまうものの、朝陽が亜佑美の前に立つことによって少しだけそれが軽減される。
「でも、それじゃあ朝陽くんに陽が当たって暑いでしょ?」
「これくらい平気ですよ。それよりも、喉は渇いてないですか? ミネラルウォーターとスポドリ持って来たので、喉が渇いたら好きな方飲んでくださいね!」
「ありがとう」
至れり尽くせり状態の亜佑美は嬉しさもあるがどこか申し訳ない気持ちもあった。
そして、これまで付き合った人でここまでしてくれたことがあったかと思う程に朝陽は完璧で、こんなに良い人と付き合えたことは奇跡なのでは無いかと思っていた。
(朝陽くん、これで女の子慣れしてないんだもんなぁ……っていうか慣れてたら確実にモテるよね)
ただ、気は遣えるけれど恋愛的な面では少し足りない部分があるようで、前方に並んでいるカップルは距離が近く、手を繋いだりしているのを目の当たりにしたことで、もう少し距離が縮まればいいのにと思ってしまう亜佑美。
並んでいる今も少しだけ距離を感じて淋しい亜佑美は思い切って、
「ねぇ朝陽くん、この次は何乗ろっか!?」
朝陽の腕を組み、上目遣いで彼を見上げながらこれの次に何を乗るか尋ねていく。
「えっ……と、そ、そうですね……」
いきなりのことに驚く朝陽をよそに、何事もないかのように朝陽が開いていたマップを覗き込む亜佑美は内心凄くドキドキしていた。
(こんなこと、自分からするとか恥ずかしいけど……でも、人目があっても、朝陽くんとくっつきたい……)
そんな思いが亜佑美を大胆にさせているようだった。
コメント
1件
もうっ、朝陽くんの気遣いが毎回尊すぎるわ〜!日差し遮ったり飲み物用意したり、至れり尽くせりなのに恋愛経験値低めなギャップがたまらん。で、亜佑美が勇気出して腕組むシーン、こっちまでドキドキしたよ。距離縮まってく感じがじれったくて可愛い。次の展開が楽しみだわ🔥
#イケメン
蒼乃 月
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瑠璃マリコ
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