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#イケメン
蒼乃 月
327
394
瑠璃マリコ
16,590
「これとかどうですか?」
「うーん、そうだね、でもこっちもいいかも?」
近距離でマップを見ながら二人で次のアトラクションを決めると、亜佑美の想いに応えるかのように朝陽は、
「あ、進みましたね、行きましょう」
少し進み出すと自然な形で亜佑美の手を取って前へ進んでいく。
(手……繋いでくれた)
そしてそのまま手を繋いだ二人は特にそれに触れることはなく、あれこれと会話を続けていった。
そして、二時間程待ってようやく順番が回って来た二人はそれぞれ席に着く。
安全バーが下がってくると、亜佑美は少しだけ怖くなったようで表情が強ばっている。
それに気づいた朝陽は、
「亜佑美さん、大丈夫ですか? もし良かったら手、繋いでてください。絶対離しませんから」
そう言って微かに震える亜佑美の手をしっかりと握る。
「朝陽くん……」
そんな頼もしい朝陽の手をぎゅっと握り返した亜佑美はもう片方の手で安全バーを強く握り締めると、コースターはゆっくり前進を始めていく。
一番前の座席とあって余計に怖いのか、亜佑美はどんどん余裕が無くなっていく。
(無理無理無理! やっぱり怖い!!)
そして、上昇を続けたコースターが頂上へ到達した次の瞬間、
「き、きゃあぁぁーー!!」
亜佑美や他の悲鳴がこだましながらコースターは一気に下降していくと、ぐんぐん進んでいく。
「無理! 怖い!!」
終始怖がり続ける亜佑美の手を朝陽はひたすら握り続けていた。
そして、ようやく終わり元の位置に辿り着いた時には、
「うう、怖かったよ……」
薄らと涙を浮かべた亜佑美がか細い声でそう呟いていた。
「大丈夫ですか? 少し休みましょう」
亜佑美を支えるように歩きながら外へ出ると、空いているベンチに亜佑美を座らせてその横に朝陽も腰を下ろす。
「ごめんね、大丈夫って言ったのに、怖がっちゃって……」
「そんな! 謝らないでください! 怖いものは怖いでいいんですよ? それに、俺としてはずっと手を握っていられたから嬉しかったですし」
「朝陽くん……今も手、握って?」
「え……!?」
「駄目……?」
「いえ、そんなことはないです。それじゃあ、失礼します……」
言って朝陽は亜佑美の手を握ると、握り返されてドキッとする。
手を繋いだことでだいぶ落ち着いてきたのか亜佑美は元気を取り戻したようで、
「待たせてごめんね、次、行こっか」
いつものように笑顔を浮かべながら朝陽に声を掛けた。
いつもの笑顔を取り戻した亜佑美に朝陽はほっと胸を撫で下ろした。
「無理はしないでくださいね?」
「心配させてごめんね、でももう大丈夫だから!」
「分かりました、それじゃあ行きましょう」
そう言いながら立ち上がった二人の手は繋がれたまま。
絶叫系のエリアを離れ、穏やかな音楽が流れるエリアへやって来た。
「ここはさっきほど混んでないね」
「そうですね、どのアトラクションの並びもそこまで長くないですし」
二人はそのまま水辺をゆっくり進むボート型のアトラクションの列に並んだ。
「のんびり出来そうで良いですね」
「本当に。今の私にはぴったりかも」
言いながら二人は顔を見合わせて笑った。
順番が来てボートに乗り込み、ゆっくりと動き出したボートは小さな森や花畑を再現した景色の中を進んでいく。
「綺麗……」
広がる景色を前に亜佑美は目を輝かせ、ジェットコースターで青ざめていたとは思えないほど穏やかな表情だった。
そんな横顔を見つめながら朝陽は小さく微笑んだ。
「どうしたの?」
「あ、いえ。その……元気になってよかったなって」
正直に答えると亜佑美は少しだけ頬を赤くした。
「あれは思ったよりも怖くて……それより、朝陽くんは全然怖そうじゃ無かったね?」
「……いえ、実は本音を言うと、俺も少し怖かったんです」
「え? 嘘! 全然そんな風に見えなかったもん」
「それは、亜佑美さんが怖がってるのに一緒に怖がる訳にはいかなかったし……」
朝陽は一度言葉を切り、
「頼ってもらいたかったから、格好悪い姿は見せたく無かったんです」
その言葉に亜佑美は感激した。
「そっか……朝陽くんは本当に格好良いし、頼りになるね。私、朝陽くんが居てくれれば安心出来る。こうして手を繋いでくれると、更に」
「あっ! そう言えば、手、ずっと繋いだまま……」
乗り物に乗る前から繋いでいた手は今もそのままで、亜佑美は意識していたようだが朝陽は今の今まで気づいていなかった。
「嫌だった?」
少し不安そうな声に朝陽は慌てて首を横に振った。
「そんな訳ないです! あまりにも自然過ぎて気づかなかったくらいなんで、嫌なんてことはないです!」
「ふふっ、それなら良かった」
言って亜佑美は肩を寄せるようにして朝陽に寄りかかる。
それから暫く無言のまま穏やかな水音を聞きながら景色を眺め、やがてアトラクション終盤で薄暗いトンネルの中へ入ると、天井いっぱいに星空のような光が広がった。
「わあ……!」
亜佑美はまるで子供のように無邪気な表情で目の前に広がる景色を見つめていて、そんな彼女から朝陽はなかなか目が離せなかった。
コメント
1件
ああもうこの話、尊すぎて鼻血出るかと思った!!😭💕 ジェットコースターで「絶対離しませんから」って手を握る朝陽くん、男の中の男じゃん…!しかも後で実は自分も怖かったって告白するところ、そのギャップにやられた…「頼ってもらいたかったから格好悪い姿は見せたくなかった」って、そんなん好きにならないわけないでしょ!!!✨ 亜佑美ちゃんが元気ないのに無理して笑顔作るところも、めっちゃわかる〜。でも朝陽くんが見抜いてくれるの、理想的すぎるよ…🥺💞 ボートで手繋いだままなのに気づかないくらい自然、ってのもエモすぎ。そしてラストの星空のトンネル…あの幻想的な空間で二人きりとか反則でしょ!!次の展開が気になって仕方ないよ〜!🦋💕