コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
【莉犬くん視点】(※自傷表現あり)
鋭利な刃を突き立てる
ちくりと痛みを伴って俺の色を産む
痛い
近頃、ぷりちゃんは帰りが遅い
学校行事の委員に当たってしまい
活動に勤しんでいるのだ
たまに様子を見るが真剣な顔がいい
普段は見せない顔が好きだ
あぁ、
でもあれを他のやつに見られてるのは気に食わない
ぷりちゃんは俺のなのに
そうだ
その委員の活動が遅くまであるせいで
俺は最近ひとりで帰る羽目になっている
あぁ…
虚しい
ていうか寂しい
寂しい…寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい
いつもならおかしいくらいに密着して
イチャイチャしてくるぷりちゃんが居るのに
寂しい、寂しい
そんな感情がループして
ぐるぐる、ぐるぐる
ゆっくり、ゆぅっくりと
沈んでいく
呼吸がしづらくなって、身体が重くなって、
目の前が真っ暗になる
その苦しさから逃れるために
俺は俺の色を産む
鋭利な刃を突き立てて
少し力を込める
すると簡単に傷がつき、ずきずきと痛む
じわりと俺の色が広がる
よかった
さっきより寂しくない
無我夢中に色を産んでいく
チクタク、チクタクと動く時計に気付かずに
…がちゃり
「ただいまぁ〜」
疲れきった声と甘ったるい声が混じった声で
俺にそう言う
俺はフリーズした
…時計を見ていなかった
急いで色を拭い
拭った色が滲んだティッシュを
ゴミ袋の奥に押し込む
見えないように
そうしてなんとか片付けを終えて
色の滲み広がった腕をポケットに突っ込む
そして呼吸を整えて
何事もなかったかのように
満面の笑みで
「おかえりなさい!」
と出迎える
すると一瞬フリーズし
次の瞬間ふにゃりと笑う
そして
「ただいま帰りました!」
とふにゃりと笑ったまま
俺の頭を撫でる
大きくて
暖かくて
優しくて
安心する
何より大好きな手
そんな手に自分の手を添えて
ふにゃりと笑ったままの顔を見上げる
他の誰もいない
俺とぷりちゃんの2人だけの瞬間
俺だけの顔
俺だけの手
俺だけの特権