「やろう!証拠調査!」
ついに私たちの異能力を活かす時だろうか。異能力。両親?天?神?からのギフト。この力を合わせれば……
「お姉と磨輝は事情聴取!お兄と茉津李は私と証拠調査! 」
陶瑚には腕をひいて囁く。
「陶瑚はアレを」
「お任せ」
「僕も証拠調査、協力させてください!」
「私たちは当時の詳細を話した方がよさそうですね」
そしてお兄、茉津李、私、銀俄くんは現場で証拠調査、お姉、陶瑚、磨輝、羽菜ちゃん、璃偉太さん、佑果さん、望叶さんは事情聴取へとそれぞれ向かった。現場は本が壁を埋め尽くしている。これ、全部上から降ってきたら◯ぬな。お兄がずっと死体を見ている。
「この死体、何かおかしい」
私と銀俄くんも周囲を調査していると、壁を埋め尽くす本棚の下から動くシリンジが蜘蛛が壁を伝ってくるように現れた。何も知らない人が見たら物を投げつけていたに違いない。何の躊躇もなく拾い上げる茉津李。
「これだ。シリンジ」
「茉津李さんが出したんですか?」
「茉津李の能力だからね」
銀俄くんにも教える。そう。茉津李は心霊現象のようなことを起こすことができる。周囲のエネルギーを感じ取り、それを使って物を動かしたり、瞬間移動、念写などなど。ちなみに霊感も強いので霊と会話をすることができ、彼らのメッセージを伝えることができる。
「何も入ってない。もしかして空のシリンジで被害者の血管に大量の空気を……」
「いや。微量だが新しい血が残ってる。被害者は血を抜かれたんだ」
お兄は感覚が鋭い。鋭すぎる。常人には見たり、聞いたり、嗅いだり、味わったり、感じたりできないことでも、お兄は分かる。それが能力。犯人は被害者の血を奪いたかったのか……?そして確認ができたという連絡が陶瑚から来た。今は私の部屋にお姉と陶瑚と磨輝を呼んでいる。
「どうだった?」
「えっとねぇ……」
話はこうだ。事件当時の行動は……(陶瑚の主観込み)
お姉→佑果さんの掃除を手伝っていた
お兄→部屋でテレビ鑑賞。現場到着は1番遅かった
茉津李→羽菜ちゃんと話していた
陶瑚→倉庫の積読を読んでいた第一発見者(実は悲鳴の主)。犯人はレインコートで顔を隠していた
磨輝→部屋で休んでいた。私(幸呼奈)も声を聞いている
璃偉太さん→洗濯をしていた。話中もおかしなところはなかった。強いて言えばあまり目が合わなかった……?
佑果さん→お姉と掃除をしていた。互いが証人
望叶さん→外で育てている花を部屋に運んでいた
銀俄くん→家族と連絡を取っていた。履歴は確認済
羽菜ちゃん→茉津李と話していた。互いが証人
「うん。もしかして……」
「幸呼奈、犯人分かりそう?」
「あそこって誰かいた?」
「誰かが何かしていたら見つけられると思うわ。私が見ていれば、の話だけれど」
目を閉じて両手指の腹を合わせる。猫がたまにやるアレのように何もない上の方を見渡す。
「うん。しっかりいちゃってるわね……」
陶瑚の異能力はサイコメトリー。記憶を頭の中で映像のように取り出して、細部まで確認できる。これだけ分かれば……
「でも言っていいのかな……」
「幸呼奈。真実を皆さんにお伝えするのよ」
「お姉……うん。陶瑚。あとはお姉ちゃんに任せて!」
「こういう時だけ〜」
「じゃああの人が殺ったってこと……?」
「間違いない」
「殺しましょう……!」
「それじゃあ殺ってること同じだし、殺り返されたらどうするの。お姉。クールダウン」
「……チッ」
不服そうだがクールダウンできたようだ。言い忘れたが、私の異能は感情によって様々なことができる異能。人を私が言ったとおりの感情にしたり。
皆を談話室に呼んだ。さっさと真実を伝えたい。私と磨輝はある物を構えている。
「幸呼奈。犯人が分かったって……うおっ!」
最初にやってきたのはお兄と。磨輝と一緒に水鉄砲を放つ。
「水鉄砲⁉︎」
送れてきた茉津李にも遠慮なく放っていく。水鉄砲で驚きに火かついたようだ。
「何するんですか!」
「ちょっと!やめてください!」
「や〜め〜て〜よ〜!」
羽菜ちゃん、銀俄くん、陶瑚にも容赦なく。最後にやってきたのはお姉。私と磨輝が持っている水鉄砲をそれぞれ片手に掴んだ。そして彼女の握力で銃口が粉々になったのは一瞬のことだった。
「かけすぎじゃないかしら……?」
「すんませんでした……」
そういえばだがお姉の異能力は怪力。まあ見てのとおりだ。
「いきなりどうしたの?」
「犯人が分かったって……」
璃偉太さんと佑果さんが水を拭き取りながら話を始める。
「 お集まりありがとうございます。これから真実をお伝えしようと思います。結論から言いましょう。犯人は…… 貴方ですね?」
「望叶さん」
ずっと黙っていたが、彼女が私たちにバレないようにあの人を呼んで……殺した。
「私たちが着いた時点で花は全てあの部屋に避難してあったらしいですよ。屋上で傘を濡らしてるのも陶瑚が確認した」
「見られてたんだ……」
「意外と見えちゃうもんなんですよね。傘濡らすついでに血も洗い流したんですよね?」
陶瑚も冴えている。そして物的証拠。
「磨輝。やってくれる?」
「うん。それじゃいきますよ〜せーの!」
私の合図で磨輝がせーので電気が消え、部屋は闇に包まれた……かに思えたが。青白い光が……ある人を照らした。
「望叶さん。どうしたんですか、それ」
「これは……」
「皆さんが入ってくる時、僕は水鉄砲をしました。血液に反応して発光するようにルミノールと水酸化ナトリウムとオキシドールを混ぜて。暗くすると血に反応して発光するようにね。洗い流しても成分はそう簡単に落ちません」
「いや、異能的な力じゃなくて、化学の力……」
羽菜ちゃんがボソリとツッコんでいるが、実はお兄、茉津李、銀俄くんには伝えていた。フリを手伝ってもらったのだ。実は何があったのかというと……
私はその作戦をお兄、茉津李、銀俄くんに伝えていた。
「どう?」
「なるほどな。水にルミノールと水酸化ナトリウムとオキシドールを混ぜて……あったらいいなぁ!この監獄と化した術村にそんだけの物が!」
お兄はノリツッコミも覚えたのか。
「あ、もしよかったら。僕、ポケットに持ってます」
「え?何で持ってるの?」
「こういう時のために……」
「貴方はこういうことが起きるのを想定したの⁉︎」
「……何故それをポケットに入れようと思った?」
今まさに私がツッコもうとしていたが、茉津李に先を越された。行動は結構、謎だが入れてしまったものは有難い。
「俺は部屋に戻った時から匂いと袖口に残ってたそれで確信した。でも本当に証明の手段も証拠もない」
誰もがもう何も言えなくなっていた中、望叶さんの気力も感情の制御も失ったような笑い声が響いた。自分の罪が明かされると笑えてしまうのは本当らしい。
「望叶さん……」
羽菜ちゃんが大事な人が目の前で消えた時かのように望叶さんに近寄る。
「羽菜ちゃん!危ない……」
「諦めてたまるか……!」
望叶さんが羽菜ちゃんと助けに入ろうとした磨輝に飛びかかり、思いっきり体重をかける。完全に2人は固定されてしまっている。
「さあ大人しくしろ!するんだ!」
私たちにもずっと隠し持っていたのか、ナイフを手裏剣の容量で飛ばしてきた。私たちが動けないのをいいことに彼女は 磨輝と羽菜ちゃんを連れて倉庫の方に向かって行った。私たちが辿り着いた時にはもう誰1人部屋にはいなかった。
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