テラーノベル
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「マリアさん、啓くんからお手紙が届いてますよ」
依頼達成から数日後、事務所にきた花音の手元には一枚の手紙。
それをソファでくつろいでいたマリアに渡す。封筒は花柄で、ちょうど手に収まるほどの大きさだ。
中には小さく折りたたまれた一枚の紙。そこに綴られている文字は、高校生とは思えないほどきれいだった。
拝啓
マリアさん、花音さん。昨日は僕の依頼を解決してくださり、ありがとうございました。あれから家族と話し合い、勉強は毎日3時間以上、そして学年1位をキープするという条件のもと、好きなことをしてもよいという結果になりました。あれから歌い手として、自分の歌いたい曲をwebにあげて生活しています。お二人がいなかったら、僕はきっと心が完全に壊れてしまっていたと思います。本当にありがとうございました。
僕はお二人のことを周囲に広めたいと思っています。なので、よろしければお二人について詳しく聞いてもよろしいでしょうか。よろしくお願いします。
「__だって。どうする?」
「私たちの宣伝をしてくれるんですから、せっかくですしやってみましょうよ。もしかしたら依頼量が増えるかもしれませんよ。」
目をキラキラ輝かせ、期待の目でマリアを誘う。
最初は少し嫌がっていたが、渋々二つ返事で了承することになった。
「えっと……こんな感じでいいかしら?」
紙とペンを用意し、僅か20秒で書き上げる。花音は何故か嫌な予感がし、心配になったのでその文面を覗いてみた。
北条マリア__
Children détectiveの探偵。26歳。
夏目花音__
Children détectiveの助手。24歳。
「……ってなんですかこれ!?面接でももっと書きますよ!?」
やれやれとあきれた表情で頭にに手を置く。それをマリアはキョトンとした表情で見ていた。
「じゃあ花音が書いてみる?私はこういうのよくわからないし」
「確かにこういう事務的な作業は私の仕事ですからね。これって書いた後は、封筒に書かれている啓くんの住所に送ればいいんですよね?」
「えぇ。それじゃあお願いするわ、私は近くの喫茶店にいるから」
近くにあるバッグを手に取り、そのままマリアは手を振りながら事務所から出て行った。
「それでは、サクッと終わらしますか……」
北条マリア__探偵
クールな見た目からよく誤解されるが、子供には優しいが、思ったことをズバッといってしまう。本人曰く、お気に入りポイントはよく首にかけるネックレスらしい。辛い物が好きなので、休日は一人で激辛巡りをしている。人の精神や心などを読み解くことが上手であり、心理学などにも詳しい。それを利用して、その人の本心や情報を聞き出している。それに加えて頭のキレもよいが、あまり動きたがらず、お金に少しばかりの執着がある。いたずら好きな面もあるが、それは信頼している人にしかしないらしい。
夏目花音__助手
少女に間違われがちなのが悩み。少し気が弱く、昔はマリアがいないと何もできないほどだった。今でも多少(?)依存傾向。ふわふわしているが意外と芯はあり、自分勝手な人や群衆などをひどく愚別するところも。事務的な作業のほとんどを花音が担当している。それは家事全般苦手なマリアを支える、という仕事のせいらしいが、詳細はわからない。甘いものとしょっぱいものは平気で食べることができる。中でも好きなのはかぼちゃ団子(甘じょっぱいから)。操作では地道にコツコツと、相手に寄り添うタイプ。
「ただいま。調子はどう?喫茶店で新作のフレーバー売ってたから、花音の分も買ってきたけど」
「あの”激甘トロトロホイップカスタードマカロンラテ”ですか!?ありがとうございます!」
マリアの手元にあった紙袋の中には、普通のキャラメルラテと、ホイップとカスタードが少し容器から漏れ出してしまっているほど入っているラテ……とは言えないのではないかと思ってしまうほどの何かが、そこにあった。
隣にあったキャラメルラテに、溢れたクリームが垂れかかっている。
「いわれた通りやっておきましたよ。これくらいでいいですよね?」
テーブルにあった紙を、キャラメルラテを飲んでいるマリアに差し出す。
クリームが乗っかってしまったせいか、普段より甘い。
しばらくそれに目を通した後、マリアは少し不満そうに口を開いた。
「私たちの関係性って書かなくていいの?私としては書いておきたいけど」
「えっ?い、いりますかね?仕事には関係なさそうですけど」
「……関係なくても普通は書くと思うわよ。少なくとも、私は」
さっきはほぼ白紙に近かったような__
という本音を、マカロンラテと共に飲み込む。中に入っている、小さくカットされたケーキが甘すぎず、ちょうどよかった。
「じゃあそこだけ書くわ。あとは私がやっておくから、花音は休んでて」
「じゃあお言葉に甘えて……お疲れさまでした。マリアさん」
半分以上残っているマカロンラテを片手に、花音は二階にあるそれぞれの個室に戻っていった。
「関係性くらいは、ちゃんと書かなくちゃね」
ペンを左手に、小さく微笑む。魔性の女とは、このようなことをいうのだろうか。
そしてマリアは、下の空白に、こう付け足した。
追記
北条マリア→夏目花音
昔からの親友。自分に自信がなさそうな花音の面倒をよく見ており、それは今も変わっていない。友達が少ないマリアの中では、唯一本音を話せる。
夏目花音→北条マリア
マリアのことを非常に信頼している。今では家事をやってくれる。昔いじめられていたところをマリアに助けてもらって以来、マリアに対して恩を感じている。
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