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春も終わり、そろそろ体育祭の準備が行われる時期になってきた。うちの体育祭は、他の高校とは少し味を変えて、生徒と教師のコラボ種目もある。(昔と変わってないな……)
俺は、鼻歌なんか歌いながら足早に教室を後にする。今日は職員室が一段と忙しいようで、俺も昼休みを潰して対応しなければならないらしい。どうやら、来週から赴任する新しい先生が増えるらしいのだ。
(あ…校長に明日までの書類提出してない…)
そう思い、校長室に駆け出す。
校長室の前に来ると、なにやら話し声が聞こえて、新任の先生だろうと鷹を括って何も気にせず入るとそこには、
『はい。こちらからもよろしくお願いしま…す、、、』
彼とバチっと目が合った。覚えている。この感覚、この格好、耳に髪をかける仕草まで、全て。
「………なんで。」
俺は提出が迫っている資料を置いて、逃げ出すように校長室を出た。
(なんで…なんでなんでなんでなんで……!)
走りながら、何度も疑問に思う。
「なんで葵がここにいるんだよ…」
胸が張り裂けそうだ。葵の顔を見ただけであの日の忘れていた記憶が全て蘇って来る。あぁ、これが俺の定めというやつなのか。こんな時だけもし、神様がいてくれたらと思う。前世でどんな罪を犯したらこうなるのか、と。そんな俺の願いは虚しく、彼は俺の後を追ってきた。
『ど〜したの?急に逃げ出して……らしくないね。』
全身に鳥肌が立つような、懐かしいこの感覚。耳元で聞こえる彼の甘い声。
「ぁ、」
俺は後退りし、その場に座り込む。
『久しぶり、夏生。』