戦場は再び静けさを取り戻したかのように感じられたが、その裏では、虎杖悠仁と伏黒恵が冷徹な眼差しで千早を見据えていた。目の前に立つ彼女の姿は、もはや普通の術師ではない。彼女の背後に広がる異様なオーラと、特級呪具「竜王の眼」の存在が、戦局を一変させていた。
千早は深い息を吐きながら、ゆっくりと二人を見渡す。その瞳は、冷徹でありながらも、どこか疲れたような光を宿していた。
千早:「……二人とも、ここまで来るとは思わなかったわ。」
彼女の声は冷たく、感情がほとんど感じられない。それでも、彼女の背後にある「竜王の眼」の力は、あらゆるものを圧倒する威圧感を放ち続けていた。
虎杖:「俺たちだって、ここまで来たからには後には引けないぞ。」
虎杖の言葉には迷いがない。彼の手には、必殺の拳を握りしめ、その瞳には一切の恐れが見えなかった。敵が特級呪具を持っていることを知っていても、彼は戦いを避けることなく、ただ前に進み続ける。
伏黒もまた、千早の力量を冷静に分析しながら、相手の動きに対応する準備をしていた。彼の背後に控える式神、**「魔虚羅」**がその威圧的な力を発揮し、戦いの準備を整えていた。
伏黒:「千早、あんたがどんな呪具を持っていようが、俺たちは引かない。」
伏黒の声は鋭く、まるで冷徹な刃のようだ。その言葉に千早はわずかに目を細めるが、すぐに冷たい笑みを浮かべる。
千早:「そう、ならばどうぞ。私が相手になってあげる。」
彼女の言葉と同時に、突然、竜王の眼が光を放ち、空間が歪み始める。千早の手のひらから溢れる呪力が一気に膨れ上がり、巨大な炎が二人の前に立ちふさがる。
その炎は、まるで生き物のように形を変え、瞬時に虎杖と伏黒を囲い込む。
虎杖:「くっ…!」
虎杖はその場から飛び退き、炎を避けるが、その炎の圧力は尋常ではない。すでに手のひらに汗がにじみ出ている。
伏黒:「くそっ、強すぎる……!」
伏黒もまた、炎の動きに追いつけず、後ろに一歩下がる。その瞬間、千早の手が再び動く。
千早:「竜王の眼、起動。」
彼女がその呪具を指先でなぞると、空間が一瞬で歪み、時間すらも狂わせるような感覚が二人に襲いかかる。突如として、彼らの周囲に現れたのは、千早が放った「竜王の炎」――その炎は、一度触れると消えることなく、対象を完全に焼き尽くす恐ろしい力を持っていた。
虎杖:「くそ…!!」
伏黒:「虎杖、気をつけろ!」
伏黒はすぐに式神「魔虚羅」を呼び出し、炎を相殺しようとするが、その試みも空しく、炎の力に押しつぶされていく。虎杖は自らの力を解放し、炎の中に突っ込む。
虎杖:「俺は……ここで倒れたりしねぇ!」
虎杖の拳が空中で閃き、炎を突き破って千早に向かって放たれる。だが、その攻撃が千早に届くことはなかった。
千早は瞬時に姿を消し、次の瞬間には虎杖の背後に立っていた。その瞬間、虎杖の脳裏に一筋の冷や汗が流れる。
千早:「速さ、強さ、すべて足りないわ。」
千早の声が冷たく響く。彼女は、まるで予測していたかのように動き、虎杖の背後に回り込む。その隙間を見逃すことなく、彼女の手から放たれた強力な一撃が虎杖の背中を貫こうとする。
だが、その刹那、伏黒の叫び声と共に、式神「魔虚羅」が千早の動きを阻止する。
伏黒:「魔虚羅!」
「魔虚羅」の巨大な顎が一瞬で千早を捕らえ、彼女の動きを封じ込める。千早はその場で一度足を止め、冷ややかな目で伏黒を見た。
千早:「なるほど……。でも、私の力は竜王の眼だけじゃない。」
千早は再び呪力を解放し、その場から炎を引き戻し、二人を一網打尽にしようとする。
戦いは続く。