テラーノベル
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───紀元前___年。
__の戦い、大敗寸前。
彼が率いる軍はほぼ壊滅し、残った友軍は撤退を余儀なくされた中、混乱を極める前線に突っ込んだ者がいた。
周囲の静止する声も聞かず、ただただ、尊敬する人に向かって。
「何だこいつ!止めろ!」
「この女だけじゃない…!後に続く部下も化け物だ…!」
「化け物でも何でもいい!__様の元へ行かせるな!」
「(なまえ)!死なねえから行け!」
「戦じゃあ!俺らが道作ってやる!」
彼女が率いる隊で部隊長を務める2人が言った。
彼らのおかげで少しずつ見えてきた。彼は幹部達を亡くしながらも、敵総大将に向かっている。
「看取りに来たのかよ!」
「__…!」
「ははっ…心配すんな、(なまえ)!全部上手くいく」
「…っ!」
戦場の音が遠いた。体に1本目の槍が刺さり、その身体が揺れた。2本目が胸を穿ち、続けて3本、4本、5本と大量の槍が突き刺さる。
その刹那、瞳から光が消え、剣は敵総大将の目の前で折れていた。
「__様!」
「どうやら敵は_だけではないようですね…!全軍、下がりなさい!」
◇◆◇
それからの事はよく覚えていない。気づけば辺り一面血の海で、周りにいた敵兵達は皆撤退していた。
体に浴びた返り血の温度が鮮明で気持ち悪い。
副官によると、自身と部下2名の大暴れっぷりに、__は__の首を持ち帰られなかったらしい。
「“俺はずっと底辺以外を憎んでた。だが、お前は俺のような奴に蔑んだ目もしなかった。そんな無駄に優しいお前に昔の女に重ねてた。今までありがとうな”」
「…__にしては綺麗な言伝だな。気持ち悪い」
「そう言うな。あいつなりにお前を大切に思ってた。底辺から敬愛される事はあっても、お前のような人間から尊敬される事は決してなかったからな」
「だろうな」
大事な者を失った直後だというのに、何故か笑いが起きた。
__は何かを思い出したように__の髪飾りを(名前)に渡して去った。
見かけに反して、岩を持ち上げているように重い。
その重い感覚の正体は一体何なのか。
彼の純粋な思いか…はたまた廻る呪いか、それとも岩をも溶かすような怒りか。
きっとそれは彼女には一生分からないだろう。三つ編みを解き、一つ結びにして髪にそれを通す。
“綺麗事だけじゃ勝てない”
そう脳裏に落ちた瞬間だった。
コメント
2件
マジやばい…!戦場の描写が生々しすぎて息止まった😭 槍が何本も刺さるシーン、痛みが伝わってきたし、「綺麗事だけじゃ勝てない」で締めるラスト、エモすぎる…!髪飾りの重さが「純粋な思いか廻る呪いか」ってとこ、ゾクゾクしたよ…続きが気になりすぎる!!🌸
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