テラーノベル
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エリオットはかなり酔っていた。
グラスを持ったまま、チャンスの肩に寄りかかっている。
チャンスはため息をつく。
「……飲みすぎだ」
エリオットはぼんやり笑う。
「平気」
全然平気じゃない。
チャンスがグラスを取り上げる。
「もう終わりだ」
エリオットは不満そうな顔。
「えー」
それから。
ぼーっとチャンスを見る。
「チャンス」
「何だ」
エリオットはふらっと近づく。
距離が縮まる。
チャンスは少し身を引く。
「酔ってるだろ」
エリオットは小さく笑う。
「うん」
それから。
手を伸ばす。
チャンスの胸元。
ネクタイをつまんだ。
「……」
チャンスが少し固まる。
エリオットはぼんやりした顔のまま。
ぐいっと引っ張る。
チャンスの体が前に引き寄せられる。
「おい」
低い声。
エリオットはまだネクタイを握っている。
「チャンス」
「離せ」
エリオットは首をかしげる。
「なんで」
そして。
もう一回。
くいっとネクタイを引く。
顔がかなり近い。
エリオットは半分眠そうな目で言う。
「好き」
チャンスは黙る。
エリオットはネクタイを指に巻きつける。
完全に無意識。
「お前」
ぼそっと言う。
「いい匂い」
チャンスの眉が少し寄る。
「酔っぱらい」
エリオットは笑う。
でもネクタイは離さない。
むしろ。
また軽く引く。
チャンスの顔がすぐ近く。
エリオットが小さく言う。
「キス」
チャンスはため息。
「覚えてないだろ」
エリオットは素直に言う。
「覚えてない」
それから。
ネクタイをまた引く。
今度はかなり近い。
エリオットがぼそっと言う。
「でも今したい」
チャンスは数秒黙る。
それから低く言う。
「……お前」
エリオットはぼんやり笑う。
「ん?」
チャンスはエリオットの手を掴む。
ネクタイを握っている手。
「離せ」
エリオットは首を振る。
「やだ」
チャンスは少し笑う。
「ほんと手がかかる」
そして。
自分から顔を近づけた。
軽くキスする。
短い。
離れる。
エリオットは少し驚いた顔。
それから嬉しそうに笑う。
「もう一回」
チャンスは呆れる。
「一回だけだ」
エリオットはまたネクタイを引く。
「じゃあ」
小さく笑う。
「あと一回」
チャンスはため息をついた。
でも。
また顔を寄せた。
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