この作品はいかがでしたか?
112
この作品はいかがでしたか?
112
あーあ 。いつ出られるのかも分からず 、
物音ひとつすら聞こえない 。声を発しても 、帰ってくることもないし 、
響き渡りもしない。
「 〜〜〜〜♪」
何かを歌ったり 、独り言を発して精神を保てているだけで 、
全ての音がシャットダウンされてしまったら 、
気が狂いそうなくらい何も無く、広く、地平線で 、
そう考えると 、元いた世界のありがたみがよくわかった 。
結局ここがどこだかも分からずでぐでっとしていると 、
突然自分の声とは全く違う声が遠くから聞こえてきた 。
その声に希望と嬉しさをのせて、そちらへ走り込んだ 。
「 起きて千冬 。」
「 お願い 、起きて 。 」
「 千冬 、こんな私で 、ごめんね 、」
母ちゃん 、?
「 千冬 、 愛してる 。」
「 もう一度帰ろう 、? 」
「 ご飯食べよう ? 」
「 千冬は覚えてるかな 、」
「 千冬が大好きだった花の名前 。」
花 、?
「 千冬は昔から 、ユリが好きだったね 、」
「 かすみ草とユリばっかり買ってた気がする 。」
「 でもすごいね 。」
「 ふたつの花の花言葉は … 。」
母ちゃん 、?
泣いてるの 、?
なんで泣いてるの ?
すぐそばに行くから 、
それまで泣かないで 、
悲しい顔を見せないで 、
母ちゃん 、ねぇ 、母ちゃん 、
母ちゃん !!!!
「か 、ぁ 、ちゃ 、」
真っ暗の中、瞼を上にあげて 、瞳の動向に光が差し込んだ。
「千冬 、?」
俺の求めていた声が 、震わせながら、俺の名前を呼んだ 。
「母ちゃん 、」
「ほんとに、あんたって子は、バカね 、」
そう光が反射してキラキラと輝きを見せる涙に俺は抱きしめようと思ったが 、さすがに 、と止まってしまった 。
抱きしめることはどこかむず痒くて、俺は彼女の肩に額を当て 、すりすりと擦り付けた 。
「千冬、」
彼女は俺の行動に安心したのか、ほっと息を漏らして、俺を抱き寄せ、
力強く抱きしめた 。苦しいくらいに。
でもその苦しさの中には 、優しさと愛があったような気がした 。
「母ちゃん 、ごめん 、」
「 なんで謝んのよ。父ちゃん。喜んでるよ。
流石千冬だって。自慢の息子って。」
そう言われ、じわじわと視界がゆがみ始めた 。
「 母ちゃん 、ほんと、ごめん、。守りたかったんだ 、自分でなんとかしたいって思ったんだ、
死んででもって、思ったんだ、
みんな死んで欲しくないから、だから、
ほんと、ごめん、」
そう泣きながら彼女に謝罪すると 、彼女は
「全く 、おバカさんね 。」
そういい俺の背中をさすった。母親の器の大きさなんて、どのくらいだなんて測れるほどの大きさじゃないほど。包み込んで、優しく、暖かく 、大好きな場所なんだって、
「千冬 、よく聞いて 。母ちゃんはあまり家にいられないし、
朝も早くて起こしてあげられないし、朝ごはんだって作れない。
家事とかもたまに千冬に手伝ってもらってるし、
夜ご飯だって、遅くなるまで待っててくれたり、
私が泣いてる時とかも、落ち込んだ時とかも、
優しくそばにいてくれた。
無邪気な貴方が私の支えでもあって、
私の宝物なのよ。千冬 。」
俺は止まらぬ涙と、その優しさに包まれて、
彼女の肩を濡らした。
「千冬 。本当に 、あなたを産んで良かったと思ってるよ。
生まれてきてくれてありがとう 。愛してる 。」
「俺も 、愛してる 、」
俺もすかさず恥じらいなど忘れ、彼女を抱き締め返した 。
「母ちゃん 、俺産んでくれて 、ありがとう 、」
そう言える日が来たら 、
「千冬 、あと言ってなかったけどね 、
後ろに皆さんもいるのよ 。」
「 え? 」
振り返れば 、保護者のような涙ぐんでいる二名と、にこにこと笑顔で見守る2名 、真顔で見つめる1名が、
俺を見つめていた 。
次は涙ではなく 、冷や汗が止まらなくなった 。
コメント
9件
おふっ///(( ごめんよ毎回コメントできなくて。。 これからコメできる時は明るく行こうと思います!!!!!! ちふ可愛い。ほんとに生まれてきてくれてありがとう。お母さんもありがとう。まじでありがとう。ほんとにありがとう。みんなそんな見つめんなって☆私も見たい。(((
1コメー、!みんな!!千冬を怒んなよ!! 続きが気になるっ!