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平和な村に突然悲劇が起こった。ある日、王都からの使いがやってきた。その者がいうには、毎年一人、若い女性を「魔の洞窟」に捧げなければいけない。そのため、この国の村から担当を決め、イケニエを出してもらっている。そして今年はこの村が「イケニエの村」として選ばれた。ついては、一か月以内にイケニエを決め、「魔の洞窟」まで送り届けろ、というのであった。もし、イケニエを選ばなければ、軍隊がやって来てこの村を滅ぼし、無理やりイケニエを連れていく、というのだ。そうして「魔の洞窟」までの地図を置いていった。
地図を調べると、「魔の洞窟」まではここから2週間ほどの距離にあった。であれば、イケニエを決めるまでに2週間ほどの間があることになる。その間に誰がイケニエになるか決めなければ……。
しかし、村長はこの期間を別のことに使うことに決めた。不幸なことに、村長には年若い娘がいた。村長は村の責任者として、この娘をイケニエとして差し出すことにした。その代り、余った時間を使って、近くの街から冒険者を雇うことにしたのだ。名目としては、「魔の洞窟」にたどり着くまでの護衛である。だが、それだけの理由なら、高い金を払ってまで冒険者を雇う必要はなく、村の者達でも十分だった。「魔の洞窟」にひそみ、イケニエを要求する何物か……。冒険者がそれを討ち取ってくれることを期待してのことだった。
「お父様……」
「すまない、お前を危険な目にあわせてしまって……」
「いいえ、お父様は村の指導者として正しい選択をしたと思います」
「そうかもしれないが、父としては失格なのかもしれない。本当にすまない……」
そう豊かな村ではなかったが、村長の決心を知った村人たちは、わずかな財産の中から寄付をした。どうにか一人は腕の立つ冒険者を雇えるだけの金が集まった。いよいよ冒険者を雇いに街まで行こうというとき、ある村人が言った。
「若い娘と旅をするのだ、男の冒険者では別の危険が生じるのではないか。雇うなら女の冒険者の方がよいだろう」
村長はそれももっともだと思い、村長は女冒険者を雇うことにした。しかし問題は、雇えるのは一人だけなのに、冒険者には様々なタイプがいることだ。村長はさんざん迷った上で、洞窟には何が待ち受けているかわからない、雇うなら、応用力の高い女魔術師がいいだろう。村長はそう考え、魔法ギルドに行くことにした。受付に事情と、払える金額を説明したところ、一人の女魔法使いを紹介された。
「話は聞いたよ。その洞窟に、秘められた魔術の痕跡があるかもしれない。趣味を兼ねて助けてあげようじゃないか。私は攻撃魔法に防御魔法、それから様々な補助魔法を使うことが出来る。物理的な敵だけでなく、実体のない霊体すら倒す魔法は持っているよ。ただ、当たり前だけど魔法が効かない相手には無力だね。さあ、私を雇うかい?」
女魔法使いから説明を受けた村長は、彼女を雇うことにした。
村長の娘と女魔法使いはさっそく出発し、長い道のりを越えて、ようやく「魔の洞窟」へとたどり着いた。道中は特に危険な目にあうこともなかった。この国は治安もよく、危険な魔物もほとんどいない。それだけに、いけにえを必要とする儀式があったことに驚かされる。
洞窟の入口は自然に出来たもののようだったが、中は人工的に作られたものだった。おそらく天然の洞窟をもとにダンジョンを作ったのだろう。地下に続く階段が整備されていた。
その階段を下りていくと、そこは丸いホールになっていた。そして左手に扉があるのがうっすら見える。地上からの光が届くのはここまでのようだ。女魔法使いは〈明かり〉の魔法を唱えた。
「夜空を照らす星明りよ、今ここに我らが足元を照らせ、ステルン・リヒト!」
呪文と共にあたりがほのかに明るくなる。明るくなっても、他に行く場所も見えないので、左手の扉に手をかけ、力を込めるとゆっくりと扉が開いた。
そこは四角い部屋になっていて、正面に奥へと続く通路が、右手には扉がある。
もらった地図によると、ここはまっすぐ正面の通路に迎え、とあるが、もしかしたらこのダンジョンの中に、何か「イケニエを求めている者」の正体や、弱点につながるような手がかりがあるかもしれない。と同時に、もしそうなら、罠や敵など、危険が待っているだろう。戦力を温存し、奥で待つ「イケニエを求めている者」と戦うという手もある。そこであなたたちは、もらった地図の指示通り、まっすぐ進むことにした。
通路をまっすぐにすすむと正面奥に扉があり、その扉に近づいていくと、その途中、通路の真ん中あたりには左右に延びる通路があるのが見えた。もらった地図には正面の扉に進むように、という指示がある。左右いずれの通路も長く続いており、魔法の明かりも届かない。
どうしよう? このまま指示通りまっすぐ進むか、それとも右か左の通路を探索してみるか。少し考えて、あなたたちは、指示通りまっすぐ進むことにした。
正面の扉を開けると、少し大きな四角い部屋になっていた。その部屋には左手と正面に扉がある。もらった地図は正面の扉に進め、と書いてある。
「しかし、奥に進めば進むほど、魔力の気配が強くなるな。この奥にいるのはかなりの強敵だ、気をつけな」
女魔術師がそういった。
さてどうしよう、このままダンジョンの主と対決しても大丈夫だろうか? 考えた末、あなたたちは――
(うららさんがいなくなってしまったので、ここでこの物語は終わりです)