Jinto side
勇斗にとっての俺の存在意義って、ブレーキかけられることくらいだと思ってた
だから、俺はいなくなってもいいんだって何度も思った
自分の無力さが嫌だった
日に日にやつれて顔色も悪くなっていく勇斗に
何も出来ない自分が息をしているのが気持ち悪かった
何を思っても仕事はあるし、穴をあけるわけにはいかないし
味のしない食べ物を最低限飲み込んで
風呂に入って
眠ることなんか出来ないベッドに体をねじ込んで
感情をどこかに置くことで心が壊れないようにして
人としての体裁を保った
しばらく現場が一緒になってもろくに話もしなかった
勇斗の瞳に自分が映っていない
それを受け止めることが出来なかった
久しぶりに声を聞いた気がした
声はもちろん聞いていたが、自分を呼ぶ声がいつぶりかにしている気がした
それが気のせいではなかったと気付いたのは、目の前に現れた息を切らせた勇斗が
「…じ…んと…」
と口を開いたからだった
俺が、映ってる
ピカピカ光る勇斗の瞳に俺の姿が見えて
少し呼吸が早くなる
勇斗の腕が伸びてきて自分を抱き締めた時、どこかに置いて、そのまましまっておいた感情が戻ってきてしまったようだった
頭の中も心臓も何もかもが騒がしくてあんまり覚えていないけど
俺はどうやらまた勇斗のブレーキを踏めたらしかった






