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コメント
4件

最高です本当にありがとうございます続き楽しみにしてます!!❤︎
最高ですദ്ദി>_<💌💘こういうの大好きなのでほんまに助かります≽^˶∩⩊∩˶^≼
⚠️激重(病み)
____ jnt ____
『…ああ、また朝が来た。』
カーテンの隙間から差し込む光が、鋭利なナイフのように網膜を刺す。
心臓が動いている。
ただそれだけのことが、今の俺には酷く重労働に感じられた。
枕元に放り投げたスマホには、勇斗や他のメンバーからの通知が溜まっている。
普段なら、小気味いいツッコミを入れて返すはずの画面が、今はただの無機質な光の塊でしかない。
身体が鉛のように重い。
理由なんて、自分でも分からない。
何かが劇的に悲しいわけじゃない。
ただ、砂時計の砂が少しずつ、でも確実に心の中に積もっていくように、感情が埋もれて動かなくなってしまったんだ。
這いずるようにして洗面所へ向かい、鏡を見る。
そこには、表情を失った「吉田仁人」という抜け殻が立っていた。
俺は慣れた手つきで、パーカーの袖を捲り上げる。
『……これだけが、俺が生きていることを証明してくれる..』
救急箱から取り出したのは、まだ新しいカミソリの刃。
冷たい金属が肌に触れる瞬間だけ、霧がかかったような頭の中が一点に集中する。
____スッ、という軽い手応え。
一瞬の空白。
その後に、じわりと赤い線が浮かび上がってくる。
痛みは、驚くほど心地いい。
透明な赤が、白い肌を伝って床に落ちる。
ああ、俺の身体にはまだ、こんなに熱くて鮮やかなものが流れているんだ。
別に「死にたい」わけじゃない。
ただ「生きてる実感」が持てないから、こうして身体に刻むしかないんだ。
『うん…大丈夫。まだ、隠せる。』
止血して、防水の包帯を巻く。
その上から、厚手の長袖を着る。
たとえ夏が近づいていても、俺はもう半袖を着ることはないだろう。
事務所へ向かう道中、動悸が激しくなる。
人が怖い…音が怖い…自分の名前を呼ばれることが、魂を削られるように苦しい。
でも、俺は「完璧な吉田仁人」を演じ続けなければならない。
"みんなが求める俺"を。
みんなをまとめ、計算し、冷静に突っ込む。
その役割を放棄したら、俺の居場所なんてどこにもなくなるから。
事務所のドアを開けると、一番聞きたくない、でも一番愛おしい声が響いた。
「おー、仁人! 遅かったな。昼飯買いに行こうぜ!」
勇斗だ。
あいつの屈託のない笑顔が、今の俺には眩しすぎる。
まるで毒のように俺の身体を蝕んでいく。
『……悪い。今日、ちょっと仕事溜まってるから。一人で行ってきて。』
「えー、なんだよ。…仁人なんか顔色悪くね?」
勇斗がひょいと顔を覗き込んできた。
俺は反射的に、数歩後ろに下がる。
左腕を、無意識に右の手のひらで隠しながら。
『そう?気のせいじゃない?多分寝不足なだけ。』
「…そっか。無理すんなよ?」
勇斗の視線が、一瞬だけ俺の手元に落ちたような気がした。
心臓が跳ねる
冷や汗が背中を伝う
気づかれた? いや、そんなはずはない。
俺はいつものように、冷たくて鋭い言葉を並べて、あいつを遠ざける。
俺の世界は、もうひび割れている。
いつ崩れてもおかしくない、この薄氷の上で、俺は今日も死んだふりをして笑うんだ。
to be continued…