テラーノベル
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チャンスに引き寄せられたまま、
ほんの少しだけ残る距離。
エリオットは、そのまま目を細めて笑った。
「ねぇ」
「……なんだ」
「さっきさ」
指先で、またネクタイを軽くなぞる。
わざとゆっくり。
「“ここは俺の家だ”って言ってたよね」
「言ったな」
「じゃあさ」
顔を少しだけ傾ける。
「ちゃんと“紳士”でいてよ」
一瞬、沈黙。
チャンスの眉がわずかに動く。
「……は?」
エリオットはくすっと笑う。
「だって、帰り道」
指を一本立てて、数えるみたいに。
「手の甲にキスして、エスコートして」
「……」
「完全に紳士だったじゃん」
一歩だけ後ろに下がる。
わざと距離を作る。
「ほら」
手を差し出す。
「続き、やってよ」
挑発みたいに、でもどこか楽しそうに。
チャンスはしばらく黙って――
小さく息を吐いた。
「……面倒なこと言うな」
「出来ないの?」
即答。
「“紳士”なのに?」
ぴく、と空気が揺れる。
その一言で。
チャンスはゆっくりとサングラスを外した。
テーブルに置く。
そのまま、エリオットの差し出した手を見る。
「……いいぜ」
低く、落ち着いた声。
一歩、近づく。
今度はさっきみたいに強引じゃない。
距離の詰め方が、やけに丁寧になる。
「望み通りにしてやるよ」
そっと、その手を取る。
指先から、手のひらへ。
逃げ場を与えないのに、乱暴じゃない。
そのまま――
軽く持ち上げて。
視線を一瞬だけ合わせてから、
また、手の甲にキスを落とす。
今度は、さっきよりほんの少しだけ長く。
「これでいいか、“お姫様”」
低く囁く。
エリオットの肩がわずかに揺れる。
けど、すぐに笑う。
「……いいじゃん」
少しだけ息を吐いて。
「ちゃんと出来るんだ」
#らくがき
ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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#FORSAKEN
ゆゆゆゆ
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「誰にでもやると思うなよ」
「分かってるよ」
エリオットは、まだ繋がれたままの手を見て――
今度は自分から、軽く引いた。
距離を詰める。
「じゃあさ」
視線を上げる。
「紳士ってさ、どこまでやるの?」
「……どこまで?」
「ドア開けたり、椅子引いたり」
くすっと笑う。
「それとも、もっと?」
チャンスの喉がわずかに動く。
ほんの一瞬だけ、間が空く。
それから――
手を離すどころか、逆に引き寄せる。
「教えてやろうか」
低く、近い声。
「“紳士”がどこまでやるか」
エリオットは一瞬だけ目を見開いて――
すぐに、にやっと笑う。
「いいよ」
まっすぐ見上げる。
「逃げないでね」
チャンスはそのまま、少しだけ顔を寄せて――
ぴたり、と止まる。
触れない距離。
でも、離れない。
「……勘違いすんな」
囁く。
「姫扱いしてるだけだ」
「うん」
エリオットは小さく頷く。
そのまま、わざとらしく笑って。
「じゃあさ」
ネクタイをまた軽く引く。
「最後までちゃんとやってよ、“紳士さん”」
沈黙。
一秒、二秒。
チャンスは小さく笑った。
「……ほんと、煽るな」
「楽しいからね」
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