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※ふわっとそういう表現あり。
一体この状況はなんなのだろうか。
普通にみんなとゲームをする為にぺいんとの部屋にお邪魔していた。
まだクロノアさんもしにがみさんもらっだぁさんも来てなくて。
2人で先にしてるかーってしてたんだけど。
なかなか他のみんなが来なくて休憩でもしようかと立ち上がった時、バランスを崩したぺいんとを庇おうとして下敷きになった。
「っっ…大丈夫か?ぺいんと」
「……」
言うなれば床ドン?
押し倒されたような格好になってしまった。
「ぺいん、と…?」
「……」
無言無表情のぺいんと。
「(騒いだり、笑ってるからあんま思わなかったけど黙るとこいつ、カッコいいな……って友達相手に何を考えてんだ!)」
「な、なぁ?大丈夫か?どっか痛めた?…ぺいんと?……ね、ねぇってば…」
ずっと無言で俺を見下ろす目が怖くなって手を伸ばす。
肩を押し返そうとしたら手を取られて柔らかいラグの上に押し付けられた。
「へ⁈」
「…トラゾー」
「(ちょちょちょっ⁈待っ、なにこのあまったるい声⁈)」
咄嗟に顔を逸らしたら、ぺいんとの目の前に晒してる首筋を噛まれた。
「ひぁ⁈」
「…ふはっ、あっまい声」
「待っ…ゃめっ!ぺいんと、やだ…!」
やばいと思った時バァァン!と大きな音を立ててドアが開いた。
「「「ぺいんとてめぇ!!」」」
俺の上から引き剥がされたぺいんとが盛大に舌打ちする。
「…っち、もう来たのかよ」
「あんた僕らに嘘の集まる時間教えやがったな⁈」
「しかも集合場所まで嘘つきやがって!」
「通りでトラゾーが来ないはずだよ…」
大丈夫?とクロノアさんの優しい声に頷いて手を引っ張って起こしてもらう。
「わっ」
ぽすりと勢いのままクロノアさんの胸におさまった。
「わわっ、ごめんなさいクロノアさんっ」
すごいいい匂いする。
じゃなくて。
「気にしないで?」
「ふぇ…っ⁈」
「(この人ッ、自分の声の破壊力を知らねぇのかよ!)」
ぺいんととはあまったるさのベクトルが違いすぎる。
「クロノアさん…近っ…!」
「ん?」
「ぁうッ」
「トラゾーは可愛い声出すね?」
「ゃ…!」
肩を押し返そうとして手を取られる。
「ちょっとクロノアさん!!」
肩を引っ張られてしにがみさんに寄りかかるようにして上を見上げた。
「トラゾーさんが困ってるじゃないですか。大丈夫ですか?」
「しにがみさん…いえ、助かりました。ありがとうございます」
見上げたまま笑うと、可愛らしく笑っていたしにがみさんが後ろに倒れた。
「ぅぐっ!」
「しにがみさん⁈」
「我生涯に一片の悔いなし…」
「北〇の拳⁈ラ〇ウ⁈しにがみさん⁈ちょっと!」
胸を押さえたまま目を閉じるしにがみさんを揺さぶる。
「トラ、しにーはもう諦めろ」
「ぅひゃっ!」
脇腹を掴まれて背後から囁かれた。
「らっだぁさん!そこ掴まないで下さいッ!」
「え?」
するりと服の中に侵入してくる手を掴む。
「やめてくださいってば!肩パンしますよ!」
怒ってるのにそれを無視されてらっだぁさんにこしょりと指先で肋を撫でられた。
「ひゃ!」
裏返った声に口を塞ぐ。
じわじわと恥ずかしくなって顔が熱くなっていく。
「トラ可愛なぁ?擽ったがりって感じやすいって言うけど……トラってどうなの?」
「し、知りませんっ!も、もう離してくださいっ!バカッ嫌いになりますよ!!」
「普段の語彙力どこ行ったん?幼女かよ」
背骨をなぞる手にぎゅっと手を握る。
「らっだぁさんホントにやめてください…っ」
「トーラ」
「だめです…っ」
部屋の中を満たそうとするあまったるい雰囲気に首を横に振る。
何かよくない意味を込められたような囁き方にぞわっと背中が震えた。
「ぺいんとたすけて…っ」
後ろで固まってるぺいんとのほうを涙目で見る。
情けない顔になってるけどそれどころじゃない。
「くろのあさんっ…」
上に上がってくる手にもうダメかもと思った時、復活したしにがみさんがらっだぁさんをド突いて俺から離した。
「もう!だからトラゾーさん困らすんじゃないよ!」
「いってぇ……だってぇトラが可愛いから…」
「ぺいんとさんもクロノアさんも固まってないで助けてあげてくださいよ」
「「ごめーん」」
今日はしにがみさんがカッコよく見える。
「しにがみさんありがとうございます。ホントに助かりました」
「そりゃオオカミどもに襲われそうな友達を助けるのは当たり前のことですから!」
「狼…⁇」
「僕はトラゾーさんの味方ですからね!あなたが理不尽な目に合わないように守ってみせます!」
「いやお前には無理だろ」
ぺいんとがズバッと言った。
「しにがみ、お前クロノアさんに楯突けると思ってんの?」
振り返れば、にこりと笑っているクロノアさん。
「ゔ」
「俺とらっだぁとクロノアさんに敵うと思ってんのかよ」
「うぐぐぐ……でも、僕にはトラゾーさんという最大の味方がいますもん!ね⁈トラゾーさん!」
鬼気迫るしにがみさんの圧に頷く。
味方味方し合うってこと?
「へ?う、うん⁇」
「トラゾー何でもかんでも頷いちゃダメだよ。きみ騙されやすいんだから気をつけないと」
「ホントにな。トラ簡単に騙されるもん」
ちょいちょいと手招きされて首を傾げながらもらっだぁさんに近寄る。
後ろでおバカ!というしにがみさんの声と腕を引っ張られて抱き込まれたのは同時だった。
「ほら?」
「!!」
「信用されてんだろうけど、…ま、そんなチョロいとこも可愛いからいいけどな」
ぎゅうと抱き締められる。
「はぁ、トラすげぇいい匂い」
「じゅ、柔軟剤のメーカー教えましょうか…?」
「ぶっ……そーいうズレてるとこもいいわぁ」
らっだぁさんのほうがいい匂いな気がするけど。
穏やかな抑揚の薄い声も相まって落ち着く。
無意識に擦り寄ると抱き締められる力が強まった。
「猫みてー。俺猫飼えんからトラのこと飼おうかな…」
「猫飼うの大変ですよ?俺なら扱い慣れてるんで、あなたなんかよりよっぽど上手に飼えますけど」
クロノアさんが、ね?と俺の頭を撫でた。
恥ずかしいしあんまそういうことされ慣れてないから照れるけど嬉しくて目を細める。
猫とか飼うとか謎ワードは置いといて。
「トラゾーが青組に絆されとる」
「いや運動会か」
咄嗟にぺいんとの言葉にツッコミを入れる。
「俺とトラゾーならこの2人に勝てそう」
「足速いからね、俺ら」
「ちょっとちょっと青組の顔がとんでもないことになってますよぺいんとさん」
クロノアさんとらっだぁさんのとんでもない顔が見たくてそっちを見たけど、いつものイケメン顔が並んでるだけだった。
ついでに微笑まれて思わず笑い返した。
「あ?俺とトラゾー同い年だし考え方似てるもんなー?以心伝心?一心同体?」
ぺいんとがよくする煽り気味な口調に青組の2人から聞こえなさそうな音が聞こえた気がした。
「「あ…?(イラッ」」
ほらって手を出すぺいんとの手に自分のを重ねる。
意外と大きい手をしてんだなぁと合わせた。
「へぇ?ぺいんとの手っておっきいんだな」
「ぐっ…」
「?、ほら」
手を合わせる。
「ね?」
「……」
ぎゅっと手を握られて首を傾げて握り返す。
「お前ホントそのうち攫われそう」
「はー?しにがみさんのほうが可愛いから攫われそうじゃね?」
「あんな口の悪ぃの攫わんて」
「えぇ…じゃあクロノアさんは?ほやんとしてるし」
「(なんだその効果音、可愛すぎかよ)そんな怖いもの知らずおらんて」
「ぺいんとだって騙されやすいじゃん。なんで俺ばっか」
むっとぺいんとを睨むと握っていた手に力が入る。
「そういうとこだよ」
「どういうことだよ」
「だから…」
「「ぺいんと」」
クロノアさんとらっだぁさんの声が重なった。
「はいはい、トラゾーさんはこっちに来ましょうねー」
「いや扱いが幼稚園児に対するそれなんだが…」
何だか不穏な空気に変わって大人しくしにがみさんの隣に座る。
「何で2人怒ってんですかね」
「あら鈍感なトラゾーさんが見て分かるくらい青組が怒り心頭なの分かります?」
「いや…なんか、笑顔が怖い」
さっきの微笑みとは打って変わって貼り付けたような感じに見える。
「んぇ?ぁれ?今俺、鈍感って言われました?」
「え?気のせいでしょ」
「んん⁇」
無言で睨み合う3人は、ひとっことも発さない。
「あの人らテレパシーでも使って話してんの」
「さぁ?目で語り合ってんでしょ」
みんなで遊ぶって言ったのになんか、それどころじゃないような雰囲気に隣に座るしにがみさんとだらだら話をする。
ふと影がかかった。
「うん?」
見上げるとクロノアさんが立っていた。
「クロノアさん?テレパシー終わったんですか?」
「テレパシー?……いや、埒があかないからトラゾーに決めてもらおうかって」
「決める?何で遊ぶかの話ですか?」
「……ある意味ね?」
俺のほうに手を伸ばしてきたクロノアさんの綺麗な手に自分の手を重ねる。
「よっ」
「うわっ⁈」
「しにがみくん、”ちょっと”トラゾー借りてくね?」
「え?しにがみさんは遊ばないんですか?」
「…えぇ、僕はここで待ってます。…ヘロヘロになったあなたを労う役なんでね」
「⁇、体使う系?」
「「ある意味な」」
ぺいんととらっだぁさんがハモってクロノアさんと似たようなことを言った。
「よく分からないけど体力には自信ありますし…流石に3対1とかないよな?」
「「「それはトラゾー次第かな」」」
「えー…」
握られる手をクロノアさんに引かれる。
「着いてきてもらう前にいっこ聞いていい?」
「⁇何ですか?俺が答えられる範囲なら」
「トラゾーは俺のこと好き?」
「え?クロノアさんのこと好きですよ?」
「俺は?」
「ぺいんと?好きだけど」
「俺のことは?」
「らっだぁさんも好きですよ?……え、なに心理ゲーム?」
俺を見る三者三様の色の目にたじろぐ。
「じゃあ問題ないね。行こっか」
「行くって…⁇」
「着いてくれば分かるからお前は黙って俺らに着いてくればいいの」
「うん⁇」
「トラ、体力自信あるって言ってたよな」
「はぁ…まぁ、鍛えてますし…⁇」
「「「じゃあ、頑張ろっか?」」」
「(なにを…⁇)」
何を頑張って、何で体を使う必要があったのか、何を決めさせられたかは口が裂けても言えない。
言えるわけがない。
あんな顔するみんなを知らないし、砂糖を煮詰めたような雰囲気や喋り方とか、…触り方、に死ぬかと思った。
結局、決める云々出来ないままで。
俺がきちんと決めるまでは3対1は続くらしい。
無理だと泣きながら訴えたら抜け駆けさせない為だとバッサリと却下された。
自分らが知らないところで3人の誰かにどうにかされる俺がいるのが許せないらしい。
選んでもらう為には公平かつ平等に。
「だからって、俺ばっか、あ、…あんな…ッ」
思い出すだけでも憤死しそうだ。
自分じゃなくなってしまうくらいの快楽を与えられて、あんな甘い声で囁かれて、俺じゃない声を上げさせられて。
「ぅ…///」
体力なんて関係なかった。
そもそも3人相手に体力も何もない。
どう転ぼうともあの人らからは逃げれないんだろうなと、熱で赤くなる顔を隠す。
3人じゃなきゃダメになりかけてる心身。
それが魂胆だったら、と思うとふるりと背筋が震えた。
「「「トラゾー」」」
そして今日もまた、部屋の中はあまったるい空気で満たされる。