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おその★
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めかぶぷりん
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#SnowMan
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この日は岩本が別件で出かけていたので、阿部が深澤に同行して警察署に赴くことになった。依頼達成の報告と、現在、どのような事件を警察で扱っているのかという情報を共有してもらうためだ。
二人で話を聞き終え、特務調査局への道を歩いている。
💚「特に大きな異能関連の事件はなさそうだったね」
💜「だね。まあ、ないのはいいことだよ」
💚「それはそう。でも、なんか忙しそうだった?」
💜「LOTの件でまだバタバタしてるみたい。今までずっと逃げられ続けてきたからね。客も余罪やら本罪やらが出まくって、相当、大変らしいよ」
💚「うわぁ。やっぱり、お客さんもそりゃ、一般人っていうわけじゃなさそうだったからね」
💜「人身売買の闇オークションに参加してる時点で、どう見たって一般人じゃないでしょ」
💚「あの子たちは?」
💜「ああ、商品になってた子たち? 無事に家に帰れたし、何より、大事な商品だから丁重に扱われてたみたい。ケガもないし、酷いこともされてなかったって」
💚「それは良かった」
💜「だから唯一、阿部ちゃんだけだね。ちょっとでもケガしたの」
💚「それだってケガのレベルじゃなかったけど。だってもう、痕もないでしょ?」
💜「それは舘がすぐ冷やしてくれたし、ラウのポーションがあったおかげだよ」
💚「いつもありがたいね」
そんな他愛もない話をしながら歩いていると、ふと、向こうから走って来る子どもがいることに気が付いた。息を切らせ、必死に走って来るのは小学校高学年くらいの男の子。
「ふっかお兄さん!」
名前を呼ばれてよく見ると、それは前に深澤が助けてもらった千里だった。
💜「千里?」
💚「ふっかの知り合いの子?」
💜「前にさ、照と一緒にお世話になった子。ちょっと帰りが遅くなった日に、不思議なことがあったって言ったじゃん」
💚「ああ、若返って記憶がなくなったって言ってたってたやつ」
💜「そこからたまに見かけて話すようになったんだけど」
目の前まで来た千里は、膝に手を当てて「はぁー、はぁー」と荒い息を繰り返している。相当、走ったのだろう。
💜「千里、そんなに慌ててどうした?」
「あのね、この先で倒れてる人がいるの!」
💜「えっ?」
「僕、近くにいたんだけど、なんか急に血が出て倒れちゃって。もしかしたら異能かもって思って、そしたらふっかお兄さんを見かけたから」
💜「……案内してくれる?」
「こっち!」
そう言って千里は、近くにいた阿部の手を掴んで走り始めた。阿部と深澤が向かっていた方に走って行き、途中で大きな公園に入る。
すると道の向こう、並木道の真ん中で確かに倒れている人がいるのが分かった。
千里に手を引っ張られた阿部が近づく。
💚「大丈夫ですか?」
声をかけ、地面の黒いインクのようなものを踏んだ瞬間、地面から黒いベルト状のものが一気に出現して阿部の体も四肢も拘束した。
💜「阿部ちゃん?!」
驚きながらも瞬時に鋼の刃を出現させて、阿部を拘束している黒いベルトに向かって投げるが、当たっても切れず、弾力があるのか弾き返されてしまった。
💜「なっ!」
💚「っう……!」
逃れようともがいている阿部だが、動くたびにきつく締まっていく。
それでも抵抗するように阿部の目が碧色に輝くけれど、電気が放出されない。
💚「……まさか……ゴム……?」
「ええ、そのまさかです」
阿部を拘束しているゴムの、地面にくっついている部分が細長く伸びて垂直に立ち上がったかと思うと、ゴムは人の形を成した。
黒に近い濃紺のスリーピーススーツに、同色の長いマント。立ち上がった襟元と胸元を銀の装飾が彩り、顔には白い半面を付けている。
黒い革手袋を嵌めた手には、銀細工の柄がついた細身の杖が握られていて、男は紳士杖で地面をトンと突いた。
すると地面から切り離されたゴムは阿部の体にベルトのようになって巻き付き、完全に動きを封じられてしまう。
倒れそうになる阿部の体を、男は軽々と肩に担いだ。
💜「阿部ちゃん! っ、行かせるかよ!」
深澤の周囲に無数の鋼の刃が出現し、全てがその男に向かっていく。だが、男と刃の間に千里が入り込み、男を護るように腕を広げて立ち塞がった。慌てて鋼の軌道を地面に向ければ、千里の足元に全ての鋼の刃が突き刺さる。
💜「なん、で……!」
「ごめんなさいっ。でも、こうしないと、万里が……っ!」
その目には涙が浮かんでいる。
「いい子だ。これで彼女は救われるでしょう。では、ワタシも目的を果たすとしましょうか」
紳士杖でトントンと地面を二回叩くと、男の足元に円形の黒い水のようなものが広がったかと思うと、男の足がゆっくりと沈んでいく。
💚「離してっ!」
💜「阿部ちゃんっ!」
どんどんと沈んでいく男。
「ワタシはファントムと申します。以後、お見知りおきを」
駆け寄って、けれど千里が深澤の足にしがみついて必死に止めているから、思うように近づけない。
💜「やめろぉ! 阿部ちゃん! 阿部ぇっ!」
💚「ふっかぁ! ふっかぁ!!」
お互いを呼ぶのが精いっぱいで、深澤の目の前で、すぐに阿部は地面の中に消えていった。
振り向いてそれを見届けた千里の力が抜けたことで、深澤は慌てて黒い水のようなものの方へ向かったけれど、それを見越したかのように黒い水は収縮し、跡形もなく消えてしまった。
膝から崩れ落ち、地面に拳を打ち付ける。
💜「くそっ!!」
傍に居たのに、守れなかった。
前に助けてもらったからと、千里を疑いもしなかった。まさかそこに罠があるなど、気付けなかった。
「……ふっかお兄さん……」
重い足取りで近づいてきた千里。睨むように千里を見て、ハッとした。
不安そうに手をぎゅっと握り、大粒の涙を零している。
「ごめ、なさっ。僕、とんでもないことっ」
思わず駆け寄って、千里を抱きしめる。
先ほど、千里はなんと言っていた? こうしないと万里が、と双子の妹の名を告げていた。そしてファントムと名乗った男は、これで彼女は救われると、そう言った。
💜「……万里ちゃんは?」
「……っ……万里は、病院……」
💜「何があったか、話してくれる?」
少し戸惑うような素振りを見せたけれど、千里はコクンと頷き、深澤は千里を連れて特務調査局へと向かった。
その道中で、阿部以外のメンバーに緊急招集をかけた。伝えなきゃいけないことがあるから、全員、事務所に集まってほしい、と。
深澤が着いた頃には皆が事務所にいて、一斉にこちらを向いた。
🩷「遅かったじゃん。なに? 話って」
🖤「阿部ちゃんは? ふっかさん、一緒でしたよね?」
💛「それにその子……千里、だったよな。何で一緒?」
それらの疑問は当然だった。
その全てを伝える為に今、集まってもらったのだから。
💜「阿部ちゃんは……連れ去られた」
瞬間、事務所内の空気が一変した。
🧡「なっ!? 連れ去られたって、何で!?」
💙「お前、一緒にいたんだろ!? なんでそんなことになった?!」
詰め寄った渡辺が深澤の胸倉を掴むが、深澤は何の反応も示さなかった。
💙「おい! 答えろよ!」
❤️「翔太、落ち着いて。ふっかだって、何もしなかったわけないでしょ」
💙「けど!」
🤍「その子が関係してるんでしょ? じゃなきゃ、こんな時に一緒にいるわけないよ」
皆の視線が千里に向く。委縮している千里は深澤の影に隠れてしまい、深澤は渡辺の手を掴んで離させると、肺の中の空気を全て吐き出すように息をついた。
💜「今から話すね。さっき、何があったのか」
普段、あまり見る事のない真剣な表情の深澤。
語られた話に、眉を顰めたり、拳を握ったり、皆、悔しい気持ちを消化しきれずにいる。
💙「じゃあ、そいつが、阿部ちゃんを……?」
渡辺が睨む先にいるのは千里だ。また、先ほど深澤にしたように千里にも掴みかかっては大変だからと、すぐに宮舘が止めに入る。
❤️「翔太。ちゃんと話、聞こう」
💙「……わかったよ」
宥められてキッチンカウンターの方に向かった渡辺に、深澤はそこから一番遠いソファに千里を座らせた。
💜「千里……話してくれる?」
「……僕、双子の妹がいるんだ。万里っていうの。万里はね、今、入院してるの。事故、だったんだ。ずっと意識が戻らなくって、もう、二年になる」
💛「え……? だってこの前、万里ちゃんも一緒にいたのに」
「僕が手を繋いだら、普通の人みたいになるんだけど、あの万里は意識だけなの。幽体離脱って言った方がわかるかな。それでね、万里を目覚めさせるのに、僕、みんながなくしちゃった想い出を届けてたの」
🩷「それで目覚めるの?」
「うん。お姉さんは、そのおまじないの力で願いが叶うよって言ってた」
🤍「おまじない、願いが叶うって……芙蓉?」
「お姉さんの名前はわかんない。でも僕、万里のこと助けたくって……昨日、万里の病室に行ったらあのファントムって人がいて。万里の首に黒いのが巻き付いてて、特務調査局の緑のお兄さんを連れてきたら万里を解放してくれるって……そう、言われて……っ、ごめんなさいっ。ホントに、ごめんなさい……っ」
ボロボロと千里から涙が溢れ出す。
千里の隣に座っているラウールが、千里のことを抱きしめる。こんな小さな子に、背負わせていいものではない。
🤍「千里のせいじゃないよ。千里は、万里のこと助けたかっただけだよね。双子の妹だもん、千里が万里を助けたかったことは、間違ってないよ」
「っ、でも、でもぉ……」
ラウールの後ろに立っていた目黒が、千里の頭を優しくポンポンと撫でる。
🖤「大丈夫。阿部ちゃんの事は必ず助けるから。心配しないで」
💜「佐久間。千里のこと、万里ちゃんの病室まで連れて行ってあげて。そうしたら、安心するでしょ」
🩷「もちろん。千里くん、一緒に行こう」
ラウールが体を離すと千里は涙を拭って、差し出された佐久間の手を握ると二人の姿は粒子になって消えていった。
千里がいなくなったことで、事務所内には重い空気が流れている。それは佐久間が戻って来ても変わらない。
🤍「でも何で、阿部ちゃんが攫われたんだろう……」
ぽつりと、ラウールが呟く。
💛「言えるのは、そのファントムって奴が明確に阿部を狙って、且つ、めちゃくちゃ周到に準備をしてたってこと」
🧡「なんでそこまで分かるん?」
💜「どう考えても、あれは阿部ちゃん対策だった。千里が阿部ちゃんの手を引っ張ってったのがすでに、作戦通りだったわけじゃん。でも俺も、近かったから阿部ちゃんの手を掴んだ、くらいにしか思わなかった」
💛「まあ、その時点で千里を疑う理由はないな」
💜「そして、倒れてる人の傍に黒いシミみたいなのがあって、それを踏んだ瞬間にゴムで拘束」
❤️「完全に不意打ち。しかも、阿部にとって相性最悪のゴム」
💜「そ。絶縁してるからね。阿部ちゃんもすぐに電気で抵抗しようとして、失敗してた。そして、俺の鋼との相性も悪い。ゴムの弾力で鋼が通らなかった」
💛「……わざわざふっかと二人の時を狙った?」
💜「可能性は高いよね。ゴムだから、照と舘さんには攻略される。めめの蔓も、相手を拘束する分には問題ない。康二の重力、佐久間の粒子転移、なべの花びらの結界。これらがあると、阿部ちゃんを拉致するのに時間がかかる。つまり、俺かラウが一緒の時にしか逆に狙えないってこと」
🤍「でも僕、千里のこと知らないから、助けを求めるのは不自然だよね?」
💜「だからこその、俺ってわけ。相手の条件にピッタリ当てはまる。というか、その為に千里を利用したっていう方が正しいかもな」
🤍「じゃあ、相手は僕たちのこと、相当知ってるってことだよね。ふっかさんと千里が知り合いなのなんて、僕たちだってちょっと聞いただけだし」
💜「でも実際には、あの後も何回か会ってる。だから、使えるって思われたんだろうな」
💛「俺が事務所を開けることになった、警察からの要請も怪しく思えてくるな」
💜「ああ、培養研究所で菌が大量に散布されたってやつ。異能由来だったから、通常の炎じゃ対応しきれなくて、照が呼ばれたんだよね」
💛「そう。その依頼があって、俺が行けなくなったからふっかと阿部で警察署に行っただろ? ちょうど、俺とふっかが留守番担当になってたし」
❤️「それも見越したか、わざと依頼されるように仕向けたか、か」
そこまで話してから、ラウールが口元に手を持ってきて何かを考えるような素振りを見せる。そして、眉間に皺が寄った。
🤍「ねえ、なんかルミナシアパークの時に似てない?」
🩷「えっ?」
🤍「ほら、あの時もさ、相手は僕たちのことをよく知ってる、知りすぎてるって思ったでしょ。僕らの異能と類似した仕掛けの施設とかさ」
🖤「確かに。阿部ちゃんも指摘してたね」
🤍「結局、あの時は誰が何の目的で、何をしてたのかもよく分からなかったけど、あのモニターに映ってた成功と失敗の文字。もしかしたら、あの失敗って阿部ちゃんのことだったのかも」
🩷「え、でも阿部ちゃんの異能だって取られてたよ? 電子も電気もあったじゃん」
🤍「目的が、それだけじゃなかったとしたら?」
🧡「それだけじゃないって、何?」
🤍「そんなの僕だって分かんないよ。まだ可能性の話。だからその失敗の部分を確かめる為に連れ去ったのかもって」
そこからまた沈黙が降りるかと思ったが、パンッと岩本が手を叩いた。
💛「とりあえず今は、推測は置いといて阿部の捜索。理由は何であれ、阿部の救出が第一だ。めめとラウとふっかで、その現場まで行って調査。佐久間と康二と俺はファントムについての調査。今すぐキレて暴れそうな翔太のことは、舘さんに任せる。今はとにかく、動くぞ」
岩本の号令で、皆が重い腰を上げた。
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