テラーノベル
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今年も星野さんから梅とびわをいっぱいもらった。梅はヘタを取って梅干しとシロップとジャム、びわは皮をむいて種を取ってコンポートとジャム。いっぱい作って、うちで食べるだけじゃなくて、星野さんにお礼に渡すんだ。
そうやってできた梅干しを、朝ごはんに出した。
『今年は梅雨の中休みが長かったからさあ、もう青梅の梅干し干し終わっちゃった』
和泉にそう言うと、和泉は不思議そうに首を傾げた。
「そうなの、普通はもっと遅くに干すの?」
『梅雨明けだな』
「そっか、雨降ってたら干す意味ないもんな」
和泉は頷いて、梅干しを付けた白飯を口に運んだ。
「あーすっぱ! おいしい! 手作りのってなんていうか、フルーティーだね」
『今漬けてるやつはもっとフルーティーだぞ、完熟梅だから』
「そっかあ、楽しみにしてる。千歳本当に料理うまいね」
いきなりほめられて、ワシはちょっと照れてしまった。
『まあ、その、星野さんがくれる梅がいいんだよ』
ワシも梅干しを食って、白飯を口に運んだ。うん、すっぱくてしょっぱくて、暑い時にちょうどいい。
暑いと言えば。
『そろそろ暑いからさ、明日から朝の散歩、飯の前にしないか?』
「そうだね、そうしよう」
散歩の時は、いつも和泉に付き合って近所の花を巡ってる。
そろそろアジサイが咲き終わるけど、代わりにクチナシの白い花がいっぱい咲いてきた。すごくいい香りで、散歩の度に嗅ぎに行くことにしてる。
昨日の散歩のとき、和泉が、クチナシの花の香りは香料にできないんだって教えてくれた。香水にも使えないから、クチナシの花の香りは季節限定なんだって。
じゃあ、クチナシの香りはクチナシを植えてる人の特権なんだな。新しい家、絶対にクチナシ植えよう。ジンチョウゲも絶対植える。
そんな、のんきなことばっかり考えられる毎日ならよかったんだけど、和泉の仕事が少し変わって、ワシらはその先でまたとんでもないものを見つけることになる。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 776話、読みました〜 千歳の梅仕事、すごく丁寧でいいなあ…青梅と完熟梅で味が違うっていうのも、ちゃんと手間かけてるからこそだよね。和泉に「料理うまいね」って言われて照れる千歳、可愛すぎる…。 クチナシの香りが香料にできないって豆知識も、そういう細かい日常の積み重ねが心地いいなって思いました。 最後の「とんでもないものを見つける」って一文、急にゾクッとした…。穏やかな朝の空気が一瞬で変わった感じがして、ドキドキしながら次を待ちます🌙
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