前略、母さん、俺今…
超 絶 ダ イ ナ ミ ッ ク 勧 誘 を 受 け て ま す 。
この乙女ゲー、もしかしなくてもクソゲー?
何か登場人物全員段階踏めないやつしか居ないんだけど、おかしいだろ。これ普通のやつだったら絶対嫌われてたぞ、イケメンだから許すけど!!(面食い)
無言で痛いくらいに腕を掴まれて連れられて来た先で勧誘って、断るに決まってるだろ!
「あ、そういうの間に合ってます、」
周りから ぶはは笑だとか、フラれたな、とか聞こえてくるが生徒会長は下を向いて微動だにしないままだ。
「…、絶対諦めないから」
初対面も良いところでなんで主人公に振られた負けヒロインみたいなセリフ吐いてるんだよ怖いわッ!
「やっと昼休みだ゛!!!」
澄み渡る空の下、屋上でのお昼ご飯!一回やって見たかったんだよなーぁ
ちなみに連れはいない、俺の楽しいお昼ご飯時間は何人たりとも邪魔することは許されないのである。
俺のお弁当はtmさん特製、腹立たしいが美味しい。ちょっと懐柔されそう
「うっま…、海老フライ入ってるのセンスいいな」
中には俺の大好物、海老フライがたんまりと入っていた。流石tmさんだいすきー!
「もうそろそろ帰るか…」
重い腰を上げ、立ち上がると赤い手帳が目に入った。
「何だこれ…」
名前は書いておらず、新品同様の綺麗さだった。中を見れば最初の何ページかのみ、文書いてあった。1、2行だけ読んだが、凡そ日記の類だった。日々起きた事を淡々と書き連ねた物、だが何かが引っかかり、気づけばバックに手帳を入れていた。盗人とか言うなよ、tmさんに誰のか聞いてみるだけだから!!!
朝のはちゃめちゃ展開は嘘のように平和な時間が過ぎ、下校の時間が来た。因みに自己紹介の時、周りから可愛いだとか聞こえてきたことは無かったことにする。俺は本来かっこいい系だからな…、乙女ゲーの主人公バフでそう見えてるだけだからな…
目の前には鬱陶しいくらいにキラキラとしたデコが施されたウィンドウが出てきている。
『誰と帰る?』
乙女ゲーにとって下校イベントは好感度上げの大チャンスである。攻略対象との二人っきりの時間、何も起きないはずが無い。
そんな俺は意外にもrdと帰ろうとしていた。
(このままの関係だと気まずいだけだしな)
いち早く元の世界に帰るためにも、少しでも仲の良い人という存在は増やしていた方がいい。rdと和解?すればrd運営側の人とも少しは親しくなれるだろうと俺は読んでいる。
(そうと決まれば…、あ、いた。見つけやすっ)
勇気を胸に、いざ!と踏み出した俺の足は、突然前に来たバイクによって行き場をなくしていた。
「tmさん…?何か用?」
「いやー、初日お疲れ様!送るよー」
有無を言わさず後ろに乗せられ、行き来た道を物凄いスピードで通ってく。
「いやふざけんな゛ぁ!俺の!大切な!イベント!」
俺の心からの叫びをtmさんは赤子の癇癪を見守る母親のような顔で受け取る。ふっっざけんな、ガチで!
「何で攻略対象でもないただのナレーターと一緒に帰るんだよ!?もしかして俺の事嫌い?」
「うんうん、大好きだよ」
「だったら邪魔すんなぁ゛!」
こんなやり取りを何回も繰り返し、家に着いた。
暑ぐるしい制服を脱ぎ、バックを整理していた時に昼の手帳について思い出す。
「そういえば…、昼、屋上で手帳拾ったんだけど」
「見せて」
手帳を3、4分くらいだろうか、熱心に見たあと俺に返した。
「pnちゃんは知らないだろうけど、『前の人』知ってる?」
「は?前の人」
「そ、pnちゃんの前にこの世界にいた人。この家にも住んでたよ」
「でも俺、この家でtmさん以外に会ったことないんだけど、どこにいる?」
もしも俺の前に人がいたとしたら…、つまりそれは俺と同じプレイヤーということだろう。だが俺は学校でそれらしき人を見た事がない。終わらない考えはtmさんの言葉によって消える。
「その子、飛び降りたんだよ。運悪くヤンデレルートに進んじゃってさ、でもね、」
どうなったかまだ分かってないの、
「死体がなかったってこと…?」
「そういうこと、気づいたら世界は最初から始まっていてpnちゃんがここに居た。」
「その子の持ってた手帳だと思う、少しは攻略の役にたつかもしれないし、持ってたら?」
人の遺物(かもしれないもの)を持ってるのは少々縁起が悪い気がするがこの際問題ない。大切なのは元の世界に戻れるか、戻れないかだ。
一日の疲れを取り除くために、お風呂へと俺は向かった。
「本当、狡いよ。」
pnちゃんが机の上に置いていった手帳を見つめて俺はそう呟く。何から何まで本当ずるい奴。でも今でも大好き、だから付き合ってあげる。
計画は順調、全ては君の為に
「これで俺も共犯者、絶対無事に帰らしてあげる。」
今度はあんな事、起きないように
強く握りしめた拳からは僅かに血が滴っていた
あとがき…
またまたどうも、主です。
今回かなり後半を意味深な感じにしました…、大体のプロットは出来上がっているので、あとはそれを文にするやる気だけですね。ちょっと後半のtmさんの言葉に女主人公味を感じた人、詳しくは言えないし、この言葉だけで察する人もいるかもしれないけれど大丈夫、
攻略対象×女主人公ではない…と思う、多分
それではまた……、
コメント
3件
好き♡!!!???!!!!! (圧がすごい) 後、投稿する時コメント出来ないかもしれません、、、学校で、出来たらコメント書きます!