ずっとそうだった.
父さんみたいな音色を奏でる事は出来なかった.
父さんのピアノはピアノ自身も楽しそうに踊って見えていた.
けれども___.
“私のピアノはずっと叫んでいた.”
ずっとずっとずっと.
自分が音を鳴らすだけで叫んでいた.
“痛い”
ってずっと叫んでいた.
ピアノも私もずっと苦しかった.
御母さんには其れが伝わらなかった.
否,御母さんには伝わりやし無かったんだ.
ピアノが叫ぶ.
ずっと叫ぶ.
もう我慢の限界だ.
ピアノの叫ぶ音が聞こえなくなった.
私は嬉しかった.
あんな苦痛な事をもうしなくて良いって思えるととても嬉しかった.
心から喜んだ.
なのに御母さんは涙を流していた.
だから,私は聞いた.
「如何して泣いているの?」
と問い掛けても,
御母さんは答えなかった.
そして私は気付いた.
答えなかったのでは無い.
“聴こえなかった.“と気付いた.
コメント
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題名から惹かれてきちゃった えへへ うわ最高かよ終わり方 !!!