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猫塚ルイ

#ざまあ
#裏切り
#モテテク
莉奈との対面を終え、私は足早に自宅へ戻った。
手に入れた録音データは、直樹と莉奈が共謀して会社を欺いている動かぬ証拠。
これをしかるべきタイミングで会社にぶつければ、直樹のキャリアは終わる。
(……でも、その前に)
私は震える手でPCを開き、直樹の銀行口座の履歴を再度洗った。
不倫旅行、プレゼント代、そして私の貯金からの200万円の引き出し。
それらの日付と、莉奈がSNSに投稿していた贅沢な食事の写真をエクセルで突き合わせていく。
「パパ……また嘘ついてるの?」
背後から聞こえた小さな声に、心臓が止まるかと思った。
振り返ると、部屋の入り口に息子の陽太が立っていた。
手には、塾のプリントを握りしめている。
「陽太……っ、起きてたの?」
「……これ、パパのスマホに届いてた通知。リビングに置いてあったから、見えちゃったんだ」
陽太が差し出したのは、直樹の仕事用スマホ。
画面には、莉奈からのメッセージが表示されていた。
『さっき奥様に会ってきたよ。あんなに地味な女だとは思わなかった。直樹さん、毎日お疲れ様(笑)』
血の気が引く。
子供には見せたくなかった。
私のドロドロした復讐劇も、父親の醜い裏切りも。
「パパ、最近ずっと怖いよ。ママに怒鳴ってばかりだし、お金がないって嘘ついて……」
「僕、塾やめてもいいよ?もっと遊ぶ時間削って勉強頑張ればいいし!ママがご飯食べないの、見てるの辛いもん」
「……陽太」
私は陽太を抱きしめた。
12歳という多感な時期。
父親が自分たちの生活を削り、別の女に貢いでいる。
その事実に、この子は独りで気づき、耐えていたのだ。
「ごめんね、陽太。気づいてあげられなくて。……でもね、大丈夫よ。ママは、もう負けないから…陽太が遊ぶ時間削る必要なんかないのよ」
陽太の肩越しに、私はデスクの上の「抹殺計画書」を見つめた。
今までは、私自身のプライドと失われた金のための復讐だった。
けれど、今は違う。
この子の心に傷をつけた罪。
その代償を、徹底的に払わせなければならない。
私は陽太を寝かしつけた後、深夜の静寂の中で一通のメールを作成した。
宛先は、直樹の会社の「内部通報窓口」。
送信元は、匿名。
けれど、添付した画像はあまりに鮮明な「箱根の領収書」と、莉奈の自白録音の一部。
『営業部・直樹氏による、継続的な経費の私的流用、および虚偽報告について。これらはすべて事実であり、疑義がある場合は本通報者がさらなる証拠を提示可能です』
私は迷わず、送信ボタンを押した。
「……まずは、あなたの『城』を外側から崩してあげる」
直樹は明日も、何も知らずに出社するだろう。
「無能な妻」が、自分の首を絞めるロープを既に編み終えているとも知らずに。
◆◇◆◇
翌朝
直樹はいつも通り、鏡の前で高級な時計をはめ
「おい、コーヒーがぬるいぞ!まともに作れもしねぇなら何もすんなクソが」と怒鳴り散らして家を出た。
私はその背中を、これまでになく穏やかな笑顔で見送った。
いってらっしゃい、直樹。
それが、あなたの「輝かしいエリート社員」としての最後の出勤になるわ。
【残り90日】