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一ノ瀬ルナ
10
#日記
QuartoMew
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フユめん
380
第13話「踏み込んだ先」
───結翔side
結翔「……」
結翔「(な、何とか学校着いたけど……ねみぃ……)」
昨日は一睡もしていない。
頭は重いし、目もまともに開かない。
結翔「(……昨日のこと、まだ頭から離れねぇ……クソ)」
重い足取りで教室へ向かい、扉を開ける。
ガラッ。
生徒「ど、どうしたその顔は……!?」
結翔「あー……朝っぱらから騒ぐな。耳に来るんだよ……」
生徒「ご、ごめんって……」
結翔「…………」
自分の席に座る。
鞄を置いて、何気なく前を見る。
───蓮の席。
今日も、誰も座っていない。
結翔「…………」
結翔「(……今日も来てねぇ。)」
もう、一週間以上になる。
最初はただの欠席だと思っていた。
体調でも崩したのかと思っていた。
けど――
結翔「(……こんなに長く休むなんて、今までなかったよな……)」
生徒「なぁ、結翔」
結翔「ん?」
生徒「蓮って、いつ戻ってくんのかな……」
結翔「…………さぁな」
生徒「お前、何か聞いてないのか?」
結翔「……聞いてねぇよ」
生徒「そっか」
生徒はそれ以上何も言わず、自分の席へ戻っていった。
結翔「…………」
結翔「(俺だって……聞きてぇよ。)」
なんで学校に来ないのか。
何があったのか。
そして――
あの日、月の下で見たあの顔は何だったのか。
結翔「(……あいつ、俺に何か言おうとしてたよな……)」
結翔「(なのに、俺は何も聞けなかった。)」
───放課後。
俺は家に帰ると、そのまま机に向かった。
スマホを開く。
検索欄には、
『黒帳』
昨日からずっと調べている言葉。
結翔「…………」
結翔「やっぱ、普通には出てこねぇな……」
検索結果をいくつも開く。
けれど、まともな情報はほとんどない。
結翔「コロシ屋って、こんなに情報隠されてんのかよ…」
昨日見つけた情報も、もう見つからない。
結翔「…………」
そこで、ふと思った。
結翔「……本人に聞けばいいじゃねーか…」
結翔「…………」
結翔「いや、何で今まで思いつかなかったんだよ…俺」
連絡先を開く。
そこには――
『蓮』
の名前。
結翔「…………」
指が止まる。
結翔「(……でも、聞いていいのか?)」
『最近学校来ないけど、何かあった?』
打つ。
消す。
『お前、コロシ屋って――』
消す。
結翔「…………」
結翔「(……こんなの、いきなり聞けるわけねぇだろ。)」
蓮は友達だ。
だからこそ、変に踏み込んで嫌われたくない。
でも――
あの日の蓮の顔が、頭から離れない。
結翔「(でもな……あんな顔してた奴を、何も知らないまま放っておけるかよ……)」
スマホを握り直す。
結翔「……よし」
今度は、消さなかった。
『蓮』
送信。
既読。
結翔「……早っ」
『お前ずっと学校来てないけど、何かあったのか?』
送信。
数秒後。
蓮から返信が届く。
蓮『前も言ったはずだけど』
蓮 『 色々重なって、まだ追いつけてないんだ』
結翔「…………」
前もそうだった……
こいつは、詳しく教えてくれねぇ……
結翔「(……色々って何だよ…)」
少し迷ってから、文字を打つ。
『話せるなら話してほしいんだ。』
送信。
既読。
少し時間が空く。
結翔「…………」
結翔「(やっぱ、簡単には話してくれねぇか……)」
そう思った、その時。
蓮『結翔くんってさ』
結翔「……」
蓮『意外と、踏み込んでくるよね』
結翔「…………」
蓮『前はもっと、何も聞かなかったのに』
結翔「…………」
蓮『変わったね』
結翔「…………」
結翔「(なんだよ……その言い方。)」
少しだけ迷ってから、返信する。
『……お前が何も話さねぇからだろ』
送信。
既読。
数秒後。
蓮『じゃあ、ちゃんと話す』
結翔「…………!」
思わず画面を見つめる。
『いつ?』
すぐに返信が来る。
蓮『今からでもいいよ』
結翔「……は?」
そして――
ピコン。
位置情報が送られてきた。
結翔「…………」
表示された場所を見て、目を見開く。
結翔「……ここって……」
───以前、蓮と二人で月を見た場所。
結翔「…………」
結翔「(また、あそこかよ……)」
しばらく画面を見つめる。
そして――
結翔「…聞く覚悟はできてる。もう迷わねぇ……アイツをただ……───知りたい」
俺は立ち上がった。
───
その頃。
蓮は一人、スマホの画面を見つめていた。
蓮「…………」
蓮「……話すって言ったけど、俺の全部を言えるだろうか…」
蓮「俺の話を聞いて、俺のことを分かったって……そんな簡単に言えるもの……?」
蓮「……なんでッ……なんで、そんなお人好しなんだよ……」
蓮「俺なんかのこと、そこまで知ろうとしなくてもいいのにさ……」
蓮「知ったら、きっと後悔させる事になる……」
蓮「それでも聞きたいって言うなら……話すしかないだろうけど……」
蓮「……ほんと、おかしい奴だよ」
蓮「普通なら、こんな面倒なことに首突っ込まない……」
蓮「なのに、お前は……」
蓮「そこまで俺のことを……知ろうとすんの……」
蓮はスマホを見つめたまま、しばらく黙っていた。
そして、ほんの少しだけ口元を緩める。
蓮「……ほんと……反応に困るなぁ…」
蓮「そんなことされたら……してはいけないってわかってんのに……期待してしまうんだよ……」
その声は、妙に落ち着いていた。
優しいようにも聞こえる。
けれどその奥には――
どこか諦めに似た静けさがあった。
コメント
1件
「踏み込むって、そういうことか……」って思いました。結翔が蓮に連絡するまで迷って、でも「あんな顔してた奴を放っておけねぇ」って決意するところ、すごく好きです。蓮の「変わったね」の返しも、二人の距離がちゃんと動いてる感じがして胸が熱くなりました。あの場所で何が話されるのか、続きが気になって仕方ないです……!