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どれくらい経っただろう。気づけば星螺は寝てしまっていた。星螺は頭を働かせる。これは昨日ましゅろんのために買った浴衣だ。まだ、新品で未開封だ。綺麗に梱包されている。だが、星螺の手元には今、何も無い。それに美少女の姿も見当たらない。脱衣所からふわりと、香水ののような香りが漂い、リビングに行き着いた。急いで向かうと涙目の美少女が膝から崩れ落ちているではないか。
「せい…ら、あの…怒ってる……?」
と、理解が出来ない言葉が飛んできた。その眼はまるで草食動物が肉食動物に睨まれたかのような恐怖心で染まった眼をしている。
「怒るわけないじゃん。」
確かにお気に入りの香水を壊されて良い気はしない。だが、この子だけは別だ。ましゅろんはとても不器用なのだ。最初に会った頃から薄々気づいてはいた。ふわふわ、ぷかぷかと、何も考えず海中を漂っていた海月がウミガメから食べられぬようにと逃げた先が海辺だった。慌てふためくその小さな海洋生物の虜になった。
美少女とシャワーを浴びた。私は人間界にいる間はましゅろんをうづき、海月というようにしている。命名は私、加々美星螺だ。(これ以降、美少女、もとい、ましゅろんは海月と書くこと)
「星螺は浴衣着ないの?」
「うん。着ないつもり。」
ぷくーっと膨らませた頬は赤く染っていた。私には拒否権を持ち合わせていない。海月はきっと私と一緒がいいのだろう。さぞ、世間知らずの王子様は安心することだろう。
「…わかったよぉ着るよ。」
ぱぁっと明るい笑顔が輝く浴室。ふんわりと海の塩っけを感じた。海辺付近、独特の匂い。
「海月…寝るよ」
「うん……」
こうしてドタバタな一日は終わった。私は海月と明日、念願の祭りに行ける。私は今日も、波の音を聴きながら眠った。
海月の可愛い寝顔を見ながらうっとりと見つめていると海月が私の方に回り込んできた。
「可愛い…」
その気持ちを抱えて気持ちよく眠りについた。
今日も幸せだったな。
続く。.:*・゜