テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
✦ ─────── ✦
恋をすると。
少しのことで嬉しくなって。
少しのことで傷付く。
こさめは、その意味をよく知っていた。
✦ ─────── ✦
💜「おはよ」
🩵「おはよう!」
いつもの朝。
いつもの待ち合わせ。
いるまの隣を歩く。
それだけで嬉しかった。
💜「今日一限だりぃ」
🩵「分かる〜」
💜「寝そう」
🩵「こさも」
💜「お前は寝るな」
🩵「なんでぇ」
💜「毎回起こすの俺だから」
🩵「えへへ」
💜「笑うな」
呆れた声。
だけど。
少しだけ優しい。
昔から変わらない。
そのやり取りが好きだった。
大学へ着く。
教室へ向かう。
すると。
💗「月城くん!」
女の子の声。
いるまの彼女だった。
💜「おう」
💗「おはよ〜!」
自然にいるまの腕へ抱きつく。
その光景に。
こさめの足が止まった。
💗「あれ?」
💗「お友達?」
🩵「あ、はい」
💗「いつも一緒だよね〜!」
💜「幼馴染」
💗「へぇ!」
にこにこと笑う彼女。
悪い人じゃない。
むしろ優しい。
だから。
余計に苦しかった。
💗「じゃあまたあとでね!」
💜「おう」
彼女が去っていく。
こさめは小さく息を吐いた。
💜「どうした?」
🩵「なんでもないよ!」
💜「変なの」
何も気付いていない。
本当に。
何も。
◌ ───── ◌
昼休み――
◌ ───── ◌
❤️「顔死んでる」
🩵「そんなことないよ」
🩷「ある」
即答だった。
こさめは苦笑する。
なつとらんには。
誤魔化せない。
❤️「見たぞ」
🩵「何を?」
❤️「朝」
🩷「べったりだったねぇ」
🩵「……」
❤️「辛いか?」
優しい声だった。
だから。
少しだけ。
本音が零れそうになる。
🩵「大丈夫だよ」
それでも。
そう答えた。
❤️「嘘だな」
🩷「嘘だね」
🩵「ひどい」
🩷「こさが分かりやすすぎるの」
❤️「ほんとそれ」
二人が笑う。
こさめも笑う。
だけど。
心の奥は少しだけ痛かった。
◌
好きな人が幸せなら。
それでいい。
◌
そう思えたら。
どれだけ楽なんだろう。
◌ ───── ◌
その日の放課後――
◌ ───── ◌
💜「悪い」
🩵「デート?」
💜「まぁ」
🩵「楽しんできてね!」
💜「おう」
いるまは笑う。
何の迷いもなく。
何の疑いもなく。
💜「じゃあな」
🩵「また明日!」
手を振る。
いつも通り。
完璧に。
いつも通りだった。
姿が見えなくなった瞬間。
こさめの笑顔が消える。
🩵「……はぁ」
小さなため息。
誰にも聞こえない。
🩷「やっぱりいた」
後ろから声がした。
振り返る。
そこにはらんがいた。
🩵「らんくん?」
🩷「帰らないの?」
🩵「今帰るよ」
🩷「嘘」
🩵「え」
🩷「今泣きそうだった」
図星だった。
こさめは言葉を失う。
らんは優しい。
だからこそ。
隠せない時がある。
🩷「無理しなくていいのに」
🩵「……」
🩷「好きなんでしょ」
🩵「……好き」
初めてだった。
誰かに認めたのは。
🩵「好きだよ」
🩵「ずっと」
🩵「ずっと好き」
言葉にした瞬間。
胸が痛くなった。
らんは何も言わなかった。
ただ。
こさめの隣に立っていた。
それだけだった。
それが。
今は少しだけ嬉しかった。
✦
好きだと認めても。
叶うわけじゃない。
それでも。
好きだった。
✦
莉音
18
コメント
1件
うわ、これ……めちゃくちゃ胸にくるわ…… こさめの「好き」を認めた瞬間の切なさが刺さりすぎる。 いるまの前で完璧に“いつも通り”演じてるのに、らんに図星突かれて崩れるとこ、もう泣きそうになった。 「好きだと認めても叶うわけじゃない」って一文がズシンと来た。 好きな人の幸せを願いながら、自分は隣にすら立てないもどかしさ……リアルな温度で描かれてて、すごく好きな話だった。