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莉音
18
✦ ─────── ✦
好きだと認めてから。
苦しさは増した。
諦めようと思った。
忘れようとも思った。
だけど。
簡単に消えるくらいなら。
こんなに長く好きになっていない。
✦ ─────── ✦
大学へ向かう道。
隣にはいつものようにいるまがいた。
💜「昨日さ」
🩵「うん?」
💜「彼女と電話してたんだけど」
胸が少しだけ痛む。
それでもこさめは笑う。
🩵「へぇ」
💜「今度遊園地行くことになった」
🩵「いいじゃん」
💜「絶叫苦手なんだけどな」
💜「まぁ向こうが行きたいって言うし」
困ったように笑ういるま。
その表情すら好きだった。
だから苦しい。
🩵「楽しんできなよ」
💜「おう」
こさめは笑った。
ちゃんと。
いつも通りに。
何も思っていないふりをして。
◌ ───── ◌
昼休み。
食堂。
❤️「こさ」
🩵「ん?」
❤️「ちょっといいか」
💜「?」
❤️「いるまは来んな」
💜「なんでだよ」
❤️「いいから」
💜「はいはい」
不満そうにしながら去っていくいるまを見送り、こさめは首を傾げた。
🩵「どうしたの?」
❤️「らんから聞いた」
🩵「……」
❤️「好きなんだな」
一瞬だけ呼吸が止まる。
けれど。
否定する気力はなかった。
🩵「……うん」
❤️「そうか」
奈津は驚かなかった。
知っていたような顔だった。
🩵「気付かなければよかったなって」
❤️「……」
🩵「幼馴染のままでいられたのに」
🩵「好きになっちゃったから」
🩵「苦しい」
奈津はしばらく何も言わなかった。
ただ静かにこさめを見ていた。
❤️「こさ」
🩵「?」
❤️「好きになったこと後悔すんな」
🩵「……」
❤️「そんな恋じゃねぇだろ」
言葉が出なかった。
❤️「苦しいかもしれねぇけど」
❤️「好きだった時間まで否定するな」
❤️「お前、ずっといるま見てきただろ」
🩵「……うん」
❤️「じゃあ、それでいい」
❤️「好きになったことは悪いことじゃねぇよ」
優しい声だった。
慰めじゃない。
否定もしない。
ただ認めてくれる声。
🩵「ありがとう」
小さく笑う。
少しだけ胸が軽くなった気がした。
その時。
💜「何の話?」
突然聞こえた声に二人とも肩を震わせる。
💜「びっくりした」
❤️「お前急に出てくんなよ」
💜「いや、普通に来ただけなんだけど」
💜「何話してたんだ?」
❤️「内緒」
💜「は?」
❤️「内緒」
💜「気になるんだけど」
❤️「気にすんな」
💜「絶対なんかあるだろ」
なつとこさめは顔を見合わせる。
少しだけ笑った。
けれど。
その笑顔の奥にある気持ちは。
誰にも見せられなかった。
◌ ───── ◌
放課後。
帰り道。
二人きり。
いつもと同じはずなのに。
今日は妙に緊張した。
💜「なぁ」
🩵「ん?」
💜「最近変じゃね?」
心臓が跳ねる。
🩵「え?」
💜「なんか元気ないし」
💜「何かあった?」
聞かないで。
そう思った。
聞かれたら。
きっと苦しくなる。
🩵「何もないよ」
言えるわけない。
あなたが好きなんて。
🩵「何もないよ」
こさめは笑った。
いつも通りに。
何事もないように。
完璧に。
💜「……そっか」
いるまはそれ以上聞かなかった。
けれど。
どこか納得していないような顔で、少しだけこさめを見つめる。
🩵「じゃあ、こさ先帰るね」
💜「おう。また明日」
🩵「うん」
手を振って背を向ける。
いつも通り。
何も変わらない。
幼馴染のまま。
それなのに。
胸だけが苦しかった。
振り返らない。
振り返ったら。
きっとまた期待してしまうから。
✦
近付けば苦しい。
離れれば寂しい。
それでも。
こさめはいるまが好きだった。
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コメント
1件
奈津の「好きになったこと後悔すんな」「好きだった時間まで否定するな」って台詞、すごく沁みました。慰めでも否定でもなく、ただ認めてくれる友達の存在って大きいですよね。こさめが笑顔の奥に気持ちを隠して、聞かれても「何もないよ」と繰り返す場面が切なくて……振り返らないと決めたラスト、胸がぎゅっとなりました。