テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ダンジョン
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
暫くの間、この様子を黙って眺めていたレイブが小さく頷いた後、彼等に問い掛ける。
「ま、隠し穴は使わせて貰う事決定なんだけどさ、その前に幾つか質問があるんだけどぉ…… 勿論答えてくれるよね?」
リーダーは股間に冷たい物を感じながらも反応する、立派だな。
「えっ…… 質問ですか? な、何でしょう、か?」
この頑張りに答えたのは問い掛けたレイブではなく、ペトラの声、それもホブゴブリンのリーダーに向けてではなく自分の横に立つギレスラに対しての内緒話し、それはそれは大きなボリュームの個人的会話の声である。
『うわっ、こいつレイブお兄ちゃんの質問に質問で答えているんだけど? 良いのかなギレスラお兄ちゃん? 内容によっては答えられないって事じゃんね? 死にたいのかなぁ?』
『じゃねーのっ? 普通こういう時ってもっと謙るからな、普通っ! 何でも聞いて下さいっ! だとかイエッサー! だとかさぁ~っ! まあ、死にたいんじゃねーのっ? なっ、テューポーンんっ?』
っ! ピヒュヒュヒュッ! シュバシュババッ! ピュバババヒュヒュッヒュッ!
周囲の岩肌からは滑らかさは消え失せ、碁盤の目の様な亀裂が作られ続けている。
自分の頭や背中にパラパラと降り注ぎ続けている岩石の欠片に立場を理解したのであろうホブゴブリンのリーダーが大きな声で叫ぶ、中々機を見るに敏じゃないか。
「な、何でもお聞き下さいっ! 答えさせていただきまっすですっ!」
レイブも満足気だ。
「あ、そうなの? んでも嘘とかは無しだからね? 正直に答えてよ?」
ここまで来ればリーダーも如才ない。
「イエッサー! 何でもお聞きくださいませっ! この虫けらがお答え致しまっす!」
あっ、馬っ鹿っ!
っつっっ! バヒュッ! シュバッ! ピュバッ! っっっっ!
『あああ、虫けらだってさ、あいつぅ』
『目の前でな、こりゃ死んだな…… 自殺、だよなコレ?』
「あっ、しまった…… えっと…… ええっとぉ…… ぐすっ、ぐすっ、わあぁーん!」
「「「「「「わあぁーん!」」」」」」
勢い良く地雷にフットスタンプをかましてしまったホブゴブリン達は大声で泣き出したが、その喧騒はレイブの一言で消え失せる。
「五月蝿いな」
「っ! レンジャーッ!」
ピタリと泣き止んだ面々に対してレイブは質問を始める。
「レンジャー? まあ良いや、この隠し穴の出口の一つが東に通じてるって、そこの出っ歯に聞いたんだけど、それって本当なのかな?」
「レンジャーッ!」
「? 本当って事で良いのかな?」
「レンジャーッ!」
自信満々の声音だ、肯定と見做したレイブは質問を続ける。
「そっか、んじゃあ使わして貰うけど文句とか無いよね? 中にまだお仲間とかいるんだったら伝えて欲しいんだよ、俺達に手を出すなってさっ! ここまでオケイ? どう?」
「レン、ジャァ?」
「ん? 今の返事はどう言う意味なのさ?」
「レ、レンジャァ……」
「「「「「レ、レンジャァ……」」」」」
一種の失語症だろうか? れんじゃあしか発言しなくなってしまったホブゴブリン達との会話は要領を得る事無く不毛なまま虚しく続いた。