テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第2話 もうええか…】
今日の気温は昨日より低く34℃だ。雨も降り、少しは冷たいだろうと外へ出る。冷たい雨に当たり、虚ろな目でそう呟く。
「最悪…普通に暑いやん…」
そんな暑さを何とか凌ぎながら、事件のあった山へ向かう。山の入り口には立ち入り禁止のテープが張られていた。それを飛び越えると、刺激臭が鼻にツーンと来る。まるで肉片が腐敗した様な強烈な腐敗臭に薄っすらと涙が出る。
「臭っ……よっちゃんとなら…笑えとったんかな、」
過去の記憶が蘇る。鼻をつまみ、山の奥へと進んでゆくにつれ、腐敗臭はどんどんきつくなっていく。
雨が上がり、太陽の光が自身の目を刺激し、くしゃみを出す。山の中にある山道の前に来ると先ほどとは違う何かの臭いが鼻を掠める。
「何や…この臭い、、嗅いだ事あるみたいな…」
辺りを見渡し後ろに振り向くと…
「ネェ、驚イタ?驚イタ??」
身体はドロドロに溶け、元の原型が分からないほど腐っていた。臓物のようなものを引き摺り、真佑に近寄り手のようなドロドロからは、人の手がチラっと見えていた。
「お、お前誰や…!く、来るなっ!!」
咄嗟に走り出し山道の中へと駆け出す。それに続き、謎のドロドロした生き物?は真佑を追いかける。
恐怖と心配で混乱したまま走り続け、真佑は疲れ切ってしまう。
「はぁ…!はぁ…、何やあのバケモン…人間みたいな手?が見えたけど…絶対人間ちゃう……!」
そう言い、後を見ると、先ほどのバケモノがすぐそこに居た。
「早ぁ?!?!?」
再度走り出し、ふと思う
(待てよ、、俺と同じスピードで走れんの…よっちゃんしか居らんやん…?)
親友の笑顔を思い出しその場に止まって涙をポロポロと、流す。
(いやいや…よっちゃんは人間や、あんなバケモノちゃう…!)
そんな事を考えている間でもバケモノはどんどん近付いてくる。とうとう真後ろにまで来ると、諦めたように目をぎゅっと瞑る。
「悲シイ…?寂シイ…?」
真佑の肩に手を置き、慰める様に肩を擦ってやる。自分も分かるよ、と言うように。
「見セテ、見セテ…」
何かを見せろと要求し、真佑の鞄の中へ手を入れ、スマホを取り出し、
「シャシン、シャシン、!」
「え、写真…?」
流されるままに写真フォルダを開くと、バケモノはコレだ!と思うように姿を変え、陽太と瓜二つの姿に変化した。
「よっちゃん…?な、なんでよっちゃ…ん、」
陽太と瓜二つになったバケモノは、優しく真佑を抱きしめると、
「もう寂しくないよ、」
と言われ、真佑はなぜかホッとし、肩を触られた時のあの冷たささえほんのり温かく感じてしまう。全身から力が抜け、立つことさえままならないほどダランとしてしまう。
「名前教えて、」
「真佑……」
名前を聞かれ、咄嗟に答えてしまい、ハッとした真佑は陽太の姿をしたバケモノだと思い出し、逃げようと道路に手をつくと、
「真佑…真佑…ずっとイッショだよ…♡」
陽太の姿をしたバケモノはそう言い、真佑を抱きしめる。
「もうええか…何もかも…」
【第2話 もうええか…END】