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二話 旅立ち
◆ ロアーギルド支部・夕方
•手続きが終わり、ギルドを出る真理。
•薄く茜色に染まる空の下、一人の女性が待っていた。
リン(軽く手を振りながら)
「あ、手続き終わった?」
真理
「うん!そっちは支度済んだ?」
リン
「済んだよ、明日の早朝には出発するって決まったから、今のうちに挨拶とかいろいろ済ませておいて」
真理
「わかった。じゃあ、明日の朝――町の門で合流ね!」
リン
「うん。じゃあ、おやすみ」
真理
「ああ。おやすみ」
⸻
◆ 真理の家
•家に戻ると、元気な声が出迎える。
ミナト(5歳・全力で)
「おかえり、お母さん!!」
真理(少し笑って)
「ただいま!」
真理
「明日、出発することになったよ!お母さんが帰ってくるまで、いい子にしてるんだよ?」
真理がミナトの頭を撫でる。
ミナト
「うん! がんばって!」
イナビ(真理の甥)
「ミナト!またあの技見せてやるよ!」
ミナト
「やったあ!」
真理
「ヒノ、お願いね。ミナトのこと……」
ヒノ(真理の妹)
「任せて!……くれぐれも気をつけて、行ってらっしゃい!絶対魔王倒すんだよ!」
真理
「うん。またね――」
(少し、名残惜しげに振り返るが、すぐに背を向けて歩き出す)
⸻
◆ 町長宅
•町の重鎮にして真理を見守ってきた人物。
•木造の古びた屋敷、玄関先で最後の言葉を交わす。
町長
「……本当に、行ってしまうのか?」
真理(静かに)
「ええ。私が……魔王を倒さなければならないのです」
町長(口を引き結び、懐から何かを取り出す)
「そうか……。ああ、そうだ。これを持っていけ。解毒剤だ。蛇に噛まれたときに使うやつでな」
真理(苦笑しながら)
「大丈夫です。物資はもう全部そろえてあります。……お気持ちだけ、いただいておきます」
町長
「そうか……。ならば……気をつけてな」
⸻
◆ 翌朝・町外れ
•曇り空の下、馬車が1台。リンが準備を整えて待っている。
リン(腕組みして)
「遅かったね、寝坊?」
真理(小走りで)
「ごめん、ちょっとやることを思い出しちゃって!まあいいや、とにかく行こう」
(リン、馬に指示を出すと、車輪が土を蹴って走り出す)