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仕事続きで推しを追えていない私。来都くんとは同じ最寄駅なのに、下ばかり向いて歩いているせいか最近見かけない。
出演しているテレビも、ラジオも、せっかくレギュラー番組を持つことができたのにゆっくり見ることも聞くこともできない。それぐらい忙しい。だから待ち受けにして、いつも会えた気分になって頑張っている。
最近は仕事で終電を逃すことも増えた。今日はタクシーで帰るしかない。夜まで働いてタクシー代を出すなんて腹が立つ。イライラしながらタクシーを停めた。
「お姉ちゃんごめんね〜、さっきそこで事故があって少し遠回りするから堪忍して〜」
運転手の方は申し訳なさそうにこっちを向いた。私は心に余裕がなくなって、メーターのことも寝る時間も気にしてイライラが増した。
こんなことでイライラするなんて自分らしくない。来都くんは余裕のある女性が好きだから、少しでも余裕を維持しようと頑張っていたのに…なりたい自分にもなれなくてかなり落ち込んだ。その時だった。
「Starlight こんばんは。今日は来都がお送りします」
流れていたラジオから推しの声が聞こえた。
「今日は皆さんにエールを届けたいと思います。僕は最近、ファンの方に偶然会うことがあってエールをもらいました。その方は、春から僕の街に来てお仕事をされています。」
これは私のこと?いや、違うよね。と思いながらも少し期待しながら耳を向けた。
「最近お見かけしないですが元気ですか?大変だとは思いますが頑張ってください!また僕を見かけたら声かけてくださいね。みなさんも是非僕にエールをください!」
確かに最近会ってないな…って、私のこと?何度も考え込んでしまった。私だったらいいなって聞き流すことにした。
「そういえばさっきのラジオ、来都くんだったね。ここら辺の人なんだよ!よくうちのタクシーに乗ってるからさ!」
粛々とした雰囲気だった運転手さんが笑顔で話し始めた。
「知ってます!!私その人のファンで…」
来都くんのおかげでお話も盛り上がったし、メーター上がっても時間かかっても楽しい話で盛り上がれた。心に余裕を持てる女の子になれるのは、来都くんのおかげだった。本当にありがとう。
明日からも頑張るから、来都くんも頑張ってね。心の中でエールを送った。