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この家に住むようになって、長い時間が経った。

この間、阿部ちゃんに「俺がここに来てからどのくらい経ったの?」と聞いてみた。

その時は、時間とか日付とか、そういう感覚をあんまり分かってなかったから。


阿部ちゃんは、「大体、半年くらいかなぁ」って言ってたけど、「はんとし」がどのくらいかも、ちょっとよくわからなかったから、詳しく教えてもらうことにした。


一日が31個とか30個集まると、一ヶ月になって、一ヶ月が12個集まると、一年になるんだって。暑かったり寒かったり、そういう天気は一年に一回やって来るから、俺があいつと俺の母親と過ごしてた時間は四年くらいだったってことか、と理解した。



俺は、今12歳だって、ラウールが教えてくれた。

産まれてから一年経つと、一歳ずつ歳が増えるんだって。

だから、俺は、今12年生きてることになるのかってその日初めて知った。



この家で入学式をしてもらった日から、俺は毎日阿部ちゃんとラウールに勉強を教わって、佐久間と目黒と特訓している。

字も書けるし読めるようになった。今までは、絵本を読むので一日が終わっちゃって大変だったけど、この間、絵より文字の方が多く書いてある本を一個読めるようになった。


少しも触れなかった佐久間にも、今は触れるようになった。

避けてかわすばっかりだった佐久間は、最近、攻撃してくれるようになった。

その動きはすごく早くて、最初は避けるので精一杯だったけど、段々、佐久間の拳を受け止めて、流せるようになった。

前からできるようになりたいって思ってた宙返りとかバク転も、佐久間が教えてくれた。佐久間の攻撃を読んで、バク転して避けたら、目黒が「すごい。飲み込みが早いね」って褒めてくれた。



俺がそうやって過ごしてるうちに、涼太が一歳になった。

お祝いの日は、すごくうるさくて、楽しかった。

ひさぶしり?ひさしぶり?に帰ってきた組長はずっと涼太涼太って言って離れようとしないし、康二が作ったご飯をふっかはずっと食べ続けてるし、照もでかいケーキをずっと一人で食べてた。


目黒と佐久間は、阿部ちゃんにずっとくっついてたけど、「あー!もう!!鬱陶しい!!!」って阿部ちゃんに怒られてた。それを見ながら、ラウールは耳が痛くなるくらいの高い声でずっと笑ってた。

康二はご飯を作り終わった後、すぐに写真を撮り始めてて、全然ご飯を食べてなかったから、「ご飯食べないの?腹減るぞ」って言ったら、康二は「しょっぴーはホンマにええ子やなぁ!!」って叫びながら泣いてた。

「気遣ってくれておおきになぁ」って言いながら、康二は強い力で俺にくっついて来るから、ちょっと邪魔くさかった。俺も腹減ったから、ご飯食べたかったのに、腕が動かせなかったから、困った。



一歳になった涼太は一人で立って、ちょっとだけ歩けるようになった。

ずっとは歩けないけど、壁とか、俺の手に捕まってだったら、三歩くらい歩く。

そのあと、急にぺたっ、ころんって座って、俺を見ながら「ぁう!」って笑うんだ。

俺の涼太はすげぇ可愛いんだ。



一日の最後には、絶対俺と涼太と遊んでくれる照にその話をしたら、「それを嬉しそうに話す翔太もかわいいよ」って言われた。






それから話は今日まで飛ばすけど、俺は今困ってる。


「お前ら…これはなんだ?」

「レシート!」

「誰が買ったものかな?ん?」

「それは、俺たちが昨日買って来たやつだね」

「開き直るな!!大体、「プラネタリウムキット」と「猫耳メイド服」ってなんだ!」

「しょっぴーと一緒に見ながら星座教えてあげようと思って」

「翔太に猫耳メイドの素晴らしさを教えてあげようと思って」

「翔太をダシに使うな!お前らの趣味全開のものだろうが。」

「あ、バレちった?ほんとは…」

「「阿部ちゃんと使おうと思って」」

「〜ッ!!!!!!!」


ゴチンってでっかい音が二回鳴った。



阿部ちゃんの前で正座してる目黒と佐久間が、頭にでっかいたんこぶを作ってニコニコ笑ってた。阿部ちゃんは真っ赤な顔で、「自分の給料で買ったものはこの箱に入れるなって何回言ったらわかるんだ、このアホ共!!!」ってずっと怒ってた。





俺は、算数のドリルを解きながら、それをずっと見てる。


「円の面積を求めなさい」って言われても、算数のドリルに描いてある丸が全然頭に入ってこない。今は目黒と佐久間の丸いたんこぶのデカさしか目に入らない。


「ラウール、今日はなんで怒られてるの?」

「気にしなくていいよ。しょっぴーはあんな大人になっちゃダメだよ?」

「うん。でもさ、なんでここでやるの?」

「しょうがないよ。伝票整理してたら、阿部ちゃんがまたふざけたレシート見つけちゃったんだもん。あれ、むしろ、阿部ちゃんに怒られたくて、わざとレシートこっちに出してると思うんだよね」

「目黒も佐久間も、阿部ちゃんに怒られたいの?なんで?」


怒られるのは誰だって嫌じゃないの?って、ラウールの言うことを変だと思って聞いてみた。

目黒も佐久間も、一日に一回は絶対に、いろんなことで阿部ちゃんに怒られてる。

阿部ちゃんはいつも疲れてるけど、目黒と佐久間はいつも嬉しそうに怒られに行って、終わるとニコニコしながら阿部ちゃんにくっついてる。

変なの、って思いながらいつも見てるけど、なんで二人はそんなに怒られたいんだろう。


ラウールは、阿部ちゃんに聞こえないように俺だけに教えてくれた。



「好きな子を揶揄いたくなるのが、男の本能なの」



教えてもらったけど、よく分かんなかった。






次の日、また勉強をするために、阿部ちゃんの仕事部屋に行った。

まだ阿部ちゃんはいなかったから、先に部屋に入って、俺の勉強机にドリルを置いた。

この間、照が俺の机と椅子を作ってくれた。隣に涼太も座れるようにって、赤ちゃんが座っても危なくない椅子も作ってくれた。


抱っこしてた涼太をその椅子に座らせて、俺も座った。

今日は理科の勉強をするんだって。

阿部ちゃんが来るまでは、できそうな問題を一人でやっておこうと思って、ドリルを開いた。阿部ちゃんが来たらわからなかったとこを聞こうと思って、鉛筆を握ったけど、それどころじゃなくなった。


「んきゃ!ぁぅ!」

「涼太、だめ。それ食いもんじゃない。さっきご飯食べたでしょ」



涼太が消しゴムを掴んで食べようとしたから取り返して、涼太の手に届かないところに置いた。そしたら、今度は俺の指をいつもみたいに食べ始めたから、鉛筆を握るのは諦めた。


目は使えるから、一問目の文を読んで阿部ちゃんを待ってると、おっきい足音が聞こえて来て、俺がいる部屋の前でその音が止まった。ガッと襖が開いたと思ったら、阿部ちゃんがこの間読んだ本に出て来た鬼みたいな顔で部屋に入って来た。


「阿部ちゃん、おはよう。どうしたの?」

「ぁ、翔太。おはよう。ううん、なんでもない」

「また目黒と佐久間がなんかしたの?」

「…そう。あいつら、、、毎日毎日…。」



今日はなんで怒ってるのか、阿部ちゃんは言いづらそうにしてて、大きなため息もついてた。

俺はずっと涼太に指食われてるし、 阿部ちゃんもずっと「ぁぁ“あっ!」とか「ん“んっ!」って言ってて、勉強出来なさそうだったから、前から気になってたことを阿部ちゃんに聞いてみた。


「阿部ちゃんは、なんでいつも怒ってるの?」



阿部ちゃんは、びっくりした顔で俺を見てから、「えっとね…」って言いながら下を向いて話し始めた。





















翔太に出会うずっと前、この屋敷で暮らすようになって一年くらい経ったある日のこと。それは本当に突然のことだった。



「「阿部ちゃん、好きだ!俺たちと付き合って!!」」




「…………は?」


目の前には、めめと佐久間の顔。

二人とも明るい声だったけど、ふざけてるようには見えなかった。

きっと真剣に言ってくれてるんだろうなってことは、ちゃんと分かってた。

でも、俺は応えられなかった。


「えっと、、、ごめんなさい」


そう答えると、二人とも「だよねー」と笑いながら、俺を抱き締めた。

「えっ、え、なに…?」


唐突な抱擁に困惑する俺に、佐久間が言う。

「阿部ちゃん、俺たち、諦めないからね」


俺の手を取り、指先に口付けてからめめが囁く。

「阿部ちゃんが振り向いてくれるの、ずっと待ってる」



俺の頭は、その瞬間ぐちゃぐちゃになった。

ただただ恥ずかしくて、泣きたくなるのをずっと堪えていた。



その日から、俺の憂鬱な毎日が始まった。その日を皮切りに、二人とも毎日俺にちょっかいをかけて来るようになった。

組の経費で買ったものの領収書の中に紛れ込んだ、訳の分からない買い食いのレシート、アニメのDVDを予約して支払いも済ませたような記載のある伝票。

組のお金で買ったものは、決められた箱に領収書を入れるってルールがある以上、これは組の運営をしていく上で、何に必要なものなのかを確認しなければならない。


俺は、これを買った奴らに大方の目星をつけて、自分の仕事部屋から武道場へ向かった。


武道場の外からでも、ダンダンと大きな音が聞こえてきて、俺は少し怯える心をなんとか宥めた。

勇気を出して中に入り、「これは何に使うものなの?」と取っ組み合いをしてる二人に尋ねた。


めめと佐久間がすっとぼけた顔をして「おいしそうだったからつい」「嫁が俺を呼んでた」と意味不明な供述をしたところで、俺の頭の血管はプチッと切れた。

俺は、こいつらがヤクザであることも忘れて「表出ろやぁぁぁぁッ!!!!!」と叫んだ。



どのくらいの時間が経っていたか、今となってはもう覚えていないが、夜ご飯に呼びに来てくれた康二が俺を止めてくれるまで、俺はずっと武道場のど真ん中で怒り散らかしていた。

めめも佐久間も、俺の言う通りに正座して大人しく聞いていたが、その顔はニマニマとだらしなく緩み切っている。反省している素振りが全くと言っていいほどに感じられなくて、それが一層俺の癪に触った。


夜ご飯を食べ終わった後に、あいつらのせいで今日の仕事が全然進まなかったことに気が付いて、渋々その不正の匂いがプンプンするレシート二つを持って、仕事部屋に行った。

基本的に、夜ご飯の時間になるまでが、自分たちの勤務時間ってルールがあるけど、これを終わらせないと今日は落ち着いて眠れなさそうだったから、ふっかに許可をもらって仕事に戻らせてもらった。


一週間に一回、買い出しを頼む時なんかに使えるようにと、みんなに持たせている組のお金を全て集めて、それぞれ残金を確認する。

今日は、みんなが使った金額が、箱に入ったレシートの金額と合うかどうかをチェックする日だったのだ。

明日から、また精算しきったサラのお金を渡さないといけないから、今日中にやり切っておきたかったのだ。

誰が何を買ったのか、それがわかるように領収書の裏に名前を書いてから出してもらっているので、それぞれ色分けされた財布の前に、みんなの名前が書かれたそれを置いていく。


「…あれ?合わない…。」



お財布の中に入っている残金とレシートの合計金額の差額が合わない。

もしかしてと、先ほど俺を怒らせた問題のレシート二つの金額を除外してみたら、ぴったり一致した。

不思議な気持ちのままお金を整えて、紫、黄色、ピンク、黒、緑、オレンジ色の財布に、明日から使うためのお金を二万円ずつ入れていった。

その日から、同じようなレシートが毎週のように箱に入って来るようになった。


犯人は毎回あいつらで、俺はその度に大きくため息を吐いて、頭を抱えた。

めめと佐久間を捕まえてお説教する毎日が始まった。

でも、二人はいつもいつも、聞いているんだかいないんだか、ただニコニコと俺が怒る顔を見て楽しそうにしていた。



こいつらには、反省のカケラもない。

それはそうだ。

だって、二人とも、本当はちゃんと自分のお給料で買ってるんだもん。

組のお金なんか一度も使ってない。



毎回、問題のレシートだけ抜いて計算すれば、金額はきちんと合う。

あいつらは、俺が本当に困るようなことはしない。

俺を揶揄うためだけに、自分たちのお金で買ったもののレシートをわざと、箱の中に混ぜるのだ。


そこに支払いの記録が残っている紙が入っている以上、俺が経費と捉えて事実確認をしに来るって分かってるから。

俺が、会いに来るって知ってるから。


そうやって何かしらの接点を持とうとしてくる二人に、俺はどうやって向き合ったらいいのかわからなかった。



怒りたくて怒ってるわけじゃない。

怒っていないと、誤魔化せないものがそこにはあるの。







23になる年、俺は就職に失敗した。

言葉通りの意味である。

ただ、今となってはそれが成功だったのか失敗だったのかも、わからなくなってきてはいるが…。


会計職に就きたかった。お金は一生自分の人生について回るものだし、詳しくなっておいて損はないと思っていたから。

志望した会社のリモート面接を受けたあと、すんなり合格の通知が来た。


住み込みでの仕事と聞いて、少し不思議な感覚はしたけれど、今の時代ならいろんな働き方があるか、とその時は深いところまで気に留めなかった。

両親も俺の働き口が見つかったことにとても喜んでくれて、大きな荷物を持って家を出ていく時は、二人とも涙交じりに見送ってくれたことを今でもよく覚えている。


桜の咲く晴れ晴れとした朝、指定された住所まで、スマホのナビを頼りに向かうと、大きな屋敷の前でナビが終了した。

大仰な門に取り付けられたインターフォンを押すと、「はいっ!宮舘です!」と言う大きな声が聞こえて来た。


「今日からお世話になります。阿部です」とインターフォンに向かって話すと、しばらく経って、大きな門が開き、ピンク色の頭をした男性が出て来た。それが佐久間とのファーストコンタクトだった。


「ども!こんちわ!」

「こ、こんにちは…。今日からよろしくお願いします!」

「よろしくー!ちゃんと面接してここに来てくれた人初めてだよ!怖がって辞退しちゃう人ばっかりだからー!」

「?」


佐久間の言うことをうまく飲み込めない状態で、案内されるまま、俺は大きすぎる屋敷の中へ入って行った。それが今日の俺の鬱々とした悩み事に繋がるなんて、その時はまだ想像もしていなかった。

屋敷の中ほどまで進んでいくと、一つの部屋の中へ通された。

中には、痩せ気味の男性がいて、メガネをかけてパソコンから目を離さないまま「あー、今日からだっけ?」と佐久間に尋ねていた。


「そうそう!阿部ちゃんだって!」

「うんー、履歴書見たよー。真面目そうで綺麗な字だった」

「あ、あべちゃん…?」

「阿部さんより、阿部ちゃんの方がかわいいし、仲良くなれるかなーって!」

「そ、そうですか…。」


会社にしては緩すぎる空気に、俺はすっかり気が抜けてしまって、少し不安になった。

そして、その心許なさを多分に含んだ俺の予感はその直後、見事に的中した。



「うちに来てくれてありがとね。俺、深澤辰哉。ふっかとか好きに呼んで。それで、まず最初に確認なんだけど、ここ、普通の会社じゃないんだよね。それでも大丈夫?」

「…え?」

「うち、子会社で建設もやってるけど、大元は宮舘組ってヤクザの集まりなんだよね。そこんとこ大丈夫そう?」

「………え?」


目の前にいる人、ふっかの言っている言葉の意味が全く理解できなかった。

だって、普通に応募して、面接して、内定通知書まで届いたんだもん。そんなことある?って、俺の頭はずっとパニック状態だった。

それに、ヤクザって、、、今まで関わったこともない人たちと一緒に仕事するなんてことがこれから起こっていくと思うと、全く現実味が湧かなかった。



でも、大学を卒業した直後で今更フリーターになることは避けたかったし、ある程度働かせてもらってから、折を見て辞めようと判断して「大丈夫です」とだけ答えておいた。


「流石に俺も金勘定までは手が回らなくてさー、求人出してずっと会計してくれる人探してたんだけど、これがなかなか見つからなくてさ。」

「は、はぁ」

「普通の会社っぽい感じで載せても、いざ面接来てくれたと思った瞬間に、みんな辞退しちゃうから困ってたんだよ。」

「普通はそうするんじゃないでしょうか…。なにしろヤクザの家なら余計に…。」

「阿部ちゃんが、働いてもいいって言ってくれてほんとありがたいわ」

「そうですか…」

「うち、ほんと緩いから敬語とか使わなくていいよ?自分の家みたいに過ごしてもらっていいから。阿部ちゃんの部屋ここね。好きに使って。仕事部屋も案内するから」

「あ、ありがとう」

「今日みんな出払ってていないから、夜ご飯の時間になったらみんなのことも紹介するね。荷物置いたら、仕事部屋行こっか。」








それから七年経った今も、俺はこの屋敷でお世話になり続けている。

両親には心配をかけたくなかったので、入社して三ヶ月くらい経った頃、無難にうまくやっていると連絡しておいた。


初日に、この屋敷で暮らしながら働いている人たちを紹介してもらってから、今日に至るまで、特にこれと言って働きづらいことも、怖いことも起きないので、気付けばずっとここに身を置き続けていた。

ここは本当にヤクザの家なのか?と度々思うほどに平和な毎日しか訪れなかった。


従って、俺が就職に失敗したのか成功したのか、今もってなお、その答えはわからないのだ。

ただ、いろいろと疲れることや、カチンと来ることはあっても、みんな気のいい人ばかりだから、本気で辞めようと思ったことはない、それだけは唯一言えることだった。



ふっかは俺の相談事をいつも聞いてくれるし、照も困ったことがあるとすぐ助けてくれるし、康二はたまに俺がご飯を作るのを手伝うと俺にだけおまけで一品増やしてくれた。


ここで働くようになって三年くらい経った時、「一人では手が回らない」とふっかに相談した。

ふっかは、なんでもないことのように「あー、それならうちで預かってる“雪”の子の中に、めっちゃ頭いい子いるから回すよ。明日から来てもらうように言っとくね」と言ってくれた。



その翌日から、ラウールが俺の部下になった。

素直で明るくて、少し生意気で、可愛い俺の後輩。

飲み込みが早くて、頭の回転が早くて、ラウールが来てくれて本当にありがたかった。

仕事は、とてもスムーズに進むようになって、俺のストレスはかなり軽減された。


今まで“雪”のチームの中で、上にのし上るために頑張って来たと言っていたラウールは、幹部たちが暮らす屋敷で仕事ができるようになったことをとても喜んでいた。宮舘組の下で働く子達は、みんなこの屋敷で働けることを夢見て頑張るんだそうだ。

今まで以上にもっと頑張るとラウールは張り切っていたので、初日はできそうなことからと、伝票整理を頼んだ。ラウールは、一枚一枚領収書と睨めっこをして、しばらくしてから少し言いづらそうに俺に声を掛けた。


「ねぇ、阿部ちゃん…。」

「ん?なぁに?」

「この、「恋愛マスターが教える!必ず落とせる恋のイロハ♡」ってHow Toの本のレシートと、「ツンデレ君を惚れさせたい」って漫画のレシートは、経費で落ちるの…?」



俺は、近所に住むおじいちゃんとおばあちゃんのお宅の、配管修理の見積書を作っていた手をピタッと止める。舌打ちしたい気持ちをぐっと堪えながら、にこやかにラウールへ一つだけ頼んだ。無理に上げた口角がぴくぴくと痙攣していた。



「……ラウール、めめと佐久間呼んできてくれるかな?」

「はーい!」



ラウールに問題児二人を連れて来てもらうと、そいつらは待ってましたと言わんばかりに俺が座る席まで近づいて来た。

「座れ」と俺が言うや否や、めめと佐久間はその場に正座して、椅子に座る俺をキラキラとした目で見上げた。



「何回目?」

「うーん、数えてない」

「忘れちった!」

「…はぁ…、なんなのほんとに…。いい加減にして。これ、自分たちのお金で買ってるなら、箱に入れなくていいから」

「あれ?それ、どっちで買ったっけ、めめ覚えてる?」

「うわ、どっちだっけ。買い出しのついでだったから組のお金と一緒に払っちゃったかも」

「なら、経費として扱った上で聞くけど、これは組を運営していく中で、いつ、どこで、何に使うものなのかな?ん?」



「阿部ちゃんと付き合えたら、今以上に仕事頑張れるから買った」

「阿部ちゃん好きになってからツンデレ、より一層好きになっちゃってさ!すごい可愛いBL本あったから表紙買いしちった!阿部ちゃんも読む?萌えは仕事の活力になるよ!」



「お前ら…舐めた真似しやがって…金返せこの野郎!!!!」



そこから先は、いつも通りのお説教タイムが始まった。

出世して早々のラウールにこんな姿は見せたくなかったけれど、当の本人は「女王様みたいだー!すごーい!キャハハ!」と笑っていた。




そんな日々はずっと続いていて、めめと佐久間は毎日俺の頭を悩ませる。

今日も今日とて、朝から事件は起こったのだ。


異様に暑くて目を覚ますと、俺をがっちりと抱き抱えためめと佐久間が両隣で爆睡していた。

「いや、なんで?」と思うと同時に、綺麗な顔に挟まれていることに、言い表しようがないくらいの恥ずかしさが込み上げて来る。

俺は飛び起きて、平和な朝には似つかわしくない程の怒声を上げた。


「起きろこの…っバカ共がぁッ!!!」





何度も言うようだが、俺は別に怒りたくて怒っているわけじゃない。




二人から好きだと言ってもらえることも、好きって気持ちを前面に出してくれることも、本当はすごく嬉しい。

俺でよかったらって言ってしまいたくなることばっかりだ。

だけど、二人は“華”の人達だし、危険な仕事でいつ命を落としてしまうかもわからないし、そんな二人に気持ちを向けてもらっても困ってしまう。

映画の見過ぎかもしれないけど、ヤクザって銃撃戦とかするんじゃないの?なんて想像すると、二人の気持ちに応えたくても応えられそうになかった。



失うのが怖いんだ。



二人の手を取って、想いを通わせたあとでそんなことになってしまったらと思うと、とても耐えられそうになかった。

そう思っている時点で、俺は満更でもないのだ。

レシート一枚持ってあいつらを追いかけ回すことも、俺を振り向かせるためと言って訳の分からないものを買ってあいつらに追いかけられることも。本当は全部俺の中で大切なもので、いつしか失いたくないものになってしまった。


そうは言っても、あいつらの気持ちに応えるとなると、それはまた話が別なのだ。

俺の中で、めめと佐久間が今以上に大事な人になってしまったとき、離れたくないって本気で思ってしまったとき、糸が切れたみたいにぷつっと、二人がいなくなってしまったら、俺はきっと正気ではいられなくなってしまう。




怖かった。

俺が俺じゃなくなってしまうことが。

俺の目の前から大事な人が消えてしまうことが。

いつか無くなってしまうのなら、最初から欲しいなんて思わなければいいんだって、必死に自分の気持ちに蓋をした。

俺の中の気持ちが膨らんでいくたびに、重たくて、どんよりしたため息ばかり溢れた。




これ以上、俺の中に好きが生まれないように、二人が諦めてくれるように、俺は毎日毎日怒って、拒んで、本当は言いたくもない悪態ばかり二人にぶつけ続けた。



でも、そうやって突き放してるのに、めめも佐久間もずっとめげない。

むしろ、日に日に二人の好意は強くなっているような気がする。

もうどうしたらいいのか分からなくなってくる。

何年も前から、俺の心はとっくのとうに絆されきっていて、あと少し、何かの刺激を受けたらポロっと気持ちが溢れてしまいそうだった。




誰にも言えずに長年抱え込んだ想いは、一度話し出すと止まることなく次々に口から飛び出していった。

やけに達観しているとは言え、こんな話、子供に聞かせるものじゃないと、話し終わってから後悔した。だけど、翔太は一つも表情を変えずに、途中ぐずってしまった坊を抱き抱えながら、俺の話を聞き終わると一言だけ言った。



「見に行ってみたら?」


翔太がいつも通りの声のトーンでそんな大胆なことを言うもんだから、俺はびっくりして目を見開いてしまった。


「見に行くって、二人を?」

「うん。毎日特訓してもらってるけど、あいつら強いからそう簡単に死なないよ」

「でも、危ないよ?」

「内緒で着いて行こうよ。俺も一緒に行くから、阿部ちゃんが危なくなったら守ってやる。」

「う、うん…。ありがとう…。でも、いいのかなぁ…」


俺は翔太の言葉に弱々しく頷いて、身支度を整えるために一度自室へ戻った。










翔太は、坊を康二に預けて、俺は変装するために全身黒い服を纏ってサングラスとマスクをつけて、めめと佐久間が出かけたのを確認してから、家を出た。

電柱の影に隠れて、二人の跡をつけていると、翔太が俺に話し掛けた。


「ねぇ、阿部ちゃん。」

「どうしたの?」

「それ、すごい変な人に見えるよ」

「だって、気付かれちゃうの嫌なんだもん…」

「じゃあ、その口につけてる白いやつだけでも取りなよ」

「そう?」

「うん。あと、目につけてる黒いやつも無いほうがいい」

「…わかった…。」

「阿部ちゃんは、阿部ちゃんのままがいいよ。なんにも隠さない方が楽じゃん」

「…俺のまま…隠さない…?」

「あ、曲がった。追いかけるよ」

「…ぁ、まって…!」


翔太の足が早くて、なんとか追いつこうと割と全力で走った。

翔太の助言通りマスクを取っておいてよかったと思いながら、切れる息を静かに細かく吐いた。

最後に発した翔太の言葉がやけに耳に残った。



俺は俺のままで、何も隠さずにいられたら…そうだね、きっともっと楽なんだろうね。










二人はどこかの廃工場の中で、いかにもワルそうな人たちに囲まれながら戦っていた。

まず最初に佐久間が突っ込んで行く。いつだったか、「俺は鉄砲玉なんだ!にゃはは!かっこいいでしょ!」と言っていた言葉の意味がわかった。


かっこいいけど、見ているこちらとしてはハラハラしてばかりで、ちっとも落ち着かない。怖くて目を逸らしてしまいたくなるけど、ちゃんと見なきゃって強く意識して、目だけは逸らさないようになんとか堪えた。


怖い…。お願い…。怪我しないで…。



佐久間からターゲットを変えた人たちが一斉に、めめの方へ走り出していく。

めめはふっと小さく息を吐く。

全員が向かって来るのに、めめは逃げない。

誰かがめめに鉄パイプを振り上げた瞬間、俺は思わず目を瞑ってしまった。

けれど、当たった音がしなくて、恐る恐る目を開けると、そこには素手で鉄パイプを受け止めて、反対の手でまだ別の誰かの攻撃を受け流しながら、器用に足を使って寄ってくる人全員を蹴り飛ばしていくめめがいた。


「タイマン張る、なんて古き良き時代のヤンキーはもうどこにもいないのかな。」

そう言いながら、めめは少し悲しそうに、余裕綽々と言った様子で寄ってたかってくる相手を薙ぎ倒していく。


「うちの子たちがこんなにボロボロって、、 結構やるねっ!おいしょー!」

佐久間も自由に飛び回りながら、確実に急所を狙って一撃で倒していく。



「…すごい。」

「だから言ったじゃん。あいつらそう簡単に死なないって」



思ったまま口から出た言葉に、翔太が反応する。

会話を続けるように、俺は翔太に問い掛けた。


「いつもあんな感じなの?」

「うん。目黒が戦ってんのは俺も今日初めて見たけど、たぶん、あれまだ全然余裕」

「そうなの!?」

「あいつらを倒すのは俺って決めてんの。俺もあんな風に強くなりたい。」

「銃とか、使わないんだね…」

「そういうの嫌いなんだって。俺も前、なんで使わないのって聞いたことあるけど、そういうのはあったかくないって言ってた。どんなに悪いやつでも、ちゃんと素手で触れ合えば分かり合えるとか、そんなこと言ってた」

「でも、相手が持ってることだってあるかもしれないでしょ?そういう時はどうするの?」

「たぶん避けられる。あいつらほんとに早いから。こっちの動き全部読まれてるし。すげぇ悔しいけど、かっこいいよ」



翔太と話していたら、気付けばワルそうな人たちが全員倒れていた。

あっという間の出来事で、俺はただただ呆気に取られていた。

“華”の下っ端の子たちを、めめと佐久間が起き上がらせていく。

二人の、ああいう誰にでも優しいところを改めて感じては、胸が詰まるような思いだった。


誰もがこの戦いが終わったと安心しきっていて、“華”の子たちは、佐久間の「みんなお疲れ!ありがとね!今度ファミレス行って打ち上げしようぜー!」という言葉に沸き立っていた。

そんな中で、一人のワルそうな人がゆっくりと起き上がった。

瞬間、その人は俺と目を合わせて、不敵にニヤリと笑った。


その人がこっちに走ってくる。

その映像がスローモーションのように見える。


誰だろう、“華”の子かな?誰かが俺の名前を叫んでいた。


「あ!阿部さんッ!危ねぇッ!!!!」

「へっ?」


あ、もしかして、これ、やばい?



俺だけを見て、一直線に走ってくるその人がだんだん近づいてくるのを、どこか他人事のように見ていた。頭より体の方が優秀で、俺の目は防衛本能でぎゅっと固く閉じていって、いずれ訪れるであろう衝撃を待ち構えた。


だけど、いつまで経っても痛みはなくて、「…ぁぐっ…」と小さな声が足元から聞こえて来たから、何が起きたのか気になって目を開けてみた。


俺めがけて走って来た人は、俺の足元で気を失っていた。

俺のそばには、翔太とめめと佐久間が立っていた。


「こ、この人どうしちゃったの?」

「走ってくるから足かけて転ばせた」

「俺とめめで飛び蹴りした!!綺麗に決まったんだよ!阿部ちゃんにも見せたかった!」

「そうだね。絶対惚れてくれてたと思うくらいいい感じだったよね」


どうやら、必死に走って来た人に翔太が足をかけてバランスを崩させ、めめと佐久間でその転びそうになっていたこの人に、飛び蹴りを喰らわせたようだった。



一瞬間で俺の中に走った緊張と緩和が一気に抜け出していって、俺はその場にぺたりと座り込んだ。

そんな俺と目線を合わせるようにしゃがみ込んで、佐久間が困ったように眉根を寄せながら優しい顔で笑って言った。


「もー、危ないし心配するから、二人ともあんまりここには来ちゃダメだよー?」

「でもさ、佐久間くん。阿部ちゃんが追いかけて来てくれるって、なんか良かったね」

「それな!いつも俺たちが追っかけてばっかだし!阿部ちゃんになら、いつでも尾行されたいかも!」

「気付いてたの?!」

「うん、そりゃね。だって」

「「好きだから」」




「常に阿部ちゃんレーダー張ってるから、どこにいてもわかるよー!」と元気よく話す佐久間に、俺は「…ばか…ッ…」と悪態を吐くので精一杯だった。

顔が熱いのは、廃工場の中に差し込んだ陽の光のせいだと信じたかった。




“華”の子達を帰してから、俺たちも屋敷に戻ることになった。

腰が抜けてしまった俺は、めめにおんぶしてもらいながら帰った。

佐久間はずっと、「ずるい!ずるい!俺も阿部ちゃんおんぶする!」と喚きながら、俺めがけて走って来た人の腕を肩に担いで歩いていた。佐久間の身長が足りなくて、その人の靴がずっとズルズルと引き摺られる音が鳴っていた。



「その人、連れて帰ってどうするの…?」

と聞くと、二人は目を見合わせた。

「大人しく諦めてくれてたら、あのまま帰してあげたんだけどねん」

「俺たちのお姫様に手出そうって言うなら、話は変わってくるよね」

「え?え?どういうこと?」



屋敷に着くと、佐久間は出迎えてくれた照にその人を預けて言った。


「たくさん働きたいって言うから連れて帰って来た!ちょっとふざけちゃうところもある子だけど、タフでいい子だから厳しく教えてあげてね!」

「………………わかった。」



照は、おそらく全てを察して、聞きたいこと全てを質問することを諦めたのだろう。

何も言わずに、気絶したままのその人を肩に担いで、車に乗り込み、どこかへ行ってしまった。

たぶん、子会社の社員寮にあの人を置いてくるんだろうな…と勝手に想像しておいた。




その日の夜、俺は翔太と一緒にお風呂に入った。

基本的に、翔太は坊とお風呂に入るけど、翔太だけじゃ危ないこともあるかもしれないからと、俺たちは日替わりで翔太たちとお風呂に入るようにしている。

今日は康二の日だったが、代わってもらった。



三人で湯船に浸かる。翔太に支えられながら、坊が浴槽の縁に掴まって立っている。

「ふみゅっ!ふむっ!」と息を吐く坊は、とても可愛い。

翔太もだいぶお風呂に慣れてくれたみたいで、今じゃこの屋敷の人たちの中で、一番お風呂が好きな子になった。


「翔太、今日はありがとね」

「別に。なんにもしてない」

「俺、今日すごく安心した。危険な仕事だと思ってたから。」

「そっか」

「うん、それから、気付かせてくれてありがとう」

「なにが?」

「俺は、俺のままでいいって言ってくれた。すごく救われた」

「そう思ったから言っただけ」

「照れてるの?相変わらず素直じゃないね。それに俺のこと、守ってくれてありがとう。かっこよかったよ」

「もう阿部ちゃんうるさい!あんま褒めんな!熱いからもう出る!涼太行くぞ」

「んやっ!」

「えー…りょうたー、出ようよ。阿部ちゃんのせいで熱いんだよ」

「んぶ!ぁきゃきゃぁ!」


「ふふっ、二人はほんとに仲がいいね」










翌日、俺は翔太との授業が終わった後、ラウールに少し用があるから出掛けてくると伝え、仕事を任せた。玄関先まで見送ってくれるラウールと、少しだけ言葉を交わす。


「気を付けてね!」

「うん、ありがとう」

「阿部ちゃん、今日は機嫌いいね。なんかいいことあった?」

「うん、ちょっとね。じゃあ、行ってきます」






所用を済ませたあと、みんなで夜ご飯を食べて、順番にお風呂に入った。

あとはもう寝るだけで、みんなもそれぞれ部屋に戻っていって夜も更けた頃、俺はめめと佐久間を自室に呼んだ。


俺の部屋に来てくれた二人は、どうして呼ばれたのかわからないという顔をしながらも、嬉しそうに俺の前に座った。


「阿部ちゃんどしたのー?」

「俺たち、またなんかやっちゃったっけ?ちょっかいかけすぎて心当たりしかないけど、すぐに思い浮かばないや」

「………これ。あげる」


俺は、今日の午後買って来たものを二人に渡した。

めめと佐久間は不思議そうに、小さな紙袋に入ったものを取り出す。



「お守り?黒いのって初めて見た。かっこいいね」

「ピンクだー!かわいい!でも、なんで急に?」



「俺が生きてるうちに死んだりしたら絶対に許さないから」



お守りを買った時に願った気持ちを、そのまま二人に伝える。

「俺が死ぬまで、ずっと俺の両隣で元気でいて。俺も二人がだいすき…っ!?…ったぁ!…ちょっと!!!」


伝え終わる前に、二人して俺に飛び込んできたから、後ろに敷いていた布団に思いっきり体が沈んだ。柔らかい布団の上とは言えど、頭がごつっと鈍い音を立てて床に打ち付けられて少し痛かった。

でも、不思議とその痛みさえ心地よかった。


めめと佐久間は、ずっと「やった、やったよ、やったね」と笑い合っていて、俺の上でうつ伏せになりながら首だけ上げて言った。


「「阿部ちゃん、だいすき!」」






隠さずに、俺は俺のままで、言いたいことも思ってることも、表に出すのはとても気持ちの良いものだった。









翌朝、三人であのまま並び合って寝ていたのが康二に見つかって、俺たちは寝巻きの着流しから部屋着にすら着替えさせてもらえないまま、一時間ほど康二のお説教を受けた。


「しょっぴーが見たらどうすんねん!?教育に悪すぎるわ!!そういうんは、そういうお泊まり施設でやって来んかい!!」

「きゃぃ!」

「康二、「おとまりしせつ」ってなに?俺と涼太も行ける?」

「…しょっぴー、聞かんでええから…。大人になったら大事な子と行ってもええで…。」

「わかった。ねぇ、腹減った。」

「おん!朝ごはんにしよか!…君らはしばらく反省しときや」


「「「…はい。すみませんでした……。」」」






康二と翔太が出ていった後、俺たちは顔を見合わせてから、康二にまた怒られてしまわないように、静かにくすくすと笑い合った。




俺の憂鬱だった毎日は、今日から、やっぱりこいつらのせいで、幸せになっていきそうな予感がしていた。



































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