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きっと悪い人ではないのでしょうけれど、周りがよく見えていないよね……💦💦
亮平って、あまり、友達とか居なさそうな感じがするね💦💦💦アタシだけ?(笑)😅
亮平くん!キミは天然なのかい? 決して悪い人じゃないということはわかった。 キミ次第だよ!!!やり直してみよう!見つめ直そう!!!可愛い妹達のために!自分自身のために!
尊さんはさらに続ける。
「朱里はつらい事があった分、『一人でも生き抜いてやる』という気概があります。亮平さんはそういう所に惹かれたのではありませんか?」
「……だと思います」
車の中でも私の事を「強い」と言っていた亮平は、小さく頷く。
「亮平さんは模範的な長男で、大した非行もせず、周囲が期待する通りに生きてきたのではないでしょうか。特にお母さんが亡くなられたあと、お父さんに負担を掛けないよう、妹さんの面倒を見て、良い息子、良い兄でいようと努力されたんじゃないですか? ……そんなあなたは環境が落ち着いたあと、継妹という珍しい存在に惹かれて〝火遊び〟をしたいと願ってしまった」
尊さんの言葉を聞いて、私は「それかも」と感じた。
同時に、尊さんが亮平という王将の前で、パチリと王手を指したのを感じる。
亮平はしばらく軽く瞠目したまま黙っている。……こりゃ図星かな。
多分亮平は、私を気にする理由を自分でも理解していなかったんだと思う。
だから尊さんの言語化されて核心を突かれ、驚きを感じているんだろう。
「……あなた、凄いですね。カウンセラーですか?」
やがて亮平はそう言い、私は思わず「ぶふっ」と笑って横を向く。
「カウンセラーじゃないですよ。ちょっと人生の荒波に揉まれただけの、普通の男です」
尊さんはとても柔らかな表情で笑っている。
私たちが纏う空気が穏やかなものになったからか、亮平も肩の力を抜いたようだった。
それから、何も気負っていない素の表情で言った。
「……綺麗で可愛い継妹と、もっと仲よくなりたかっただけなのかもしれません。沢山話して、恋人みたいにデートして、悩みも聞き、『お兄ちゃん』と甘えられて、周りから羨望の目で見られたかった。朱里の〝いい兄〟になりたかったんです。……そんな〝夢〟を見てしまったのかな。継妹と親密になったら、自分の代わり映えのない生活に〝何か〟が起こって、もっといい人生になる……って」
もしも尊さんがいない時にこの話を聞いたら、『気持ち悪い!』と言っていたかもしれない。
でも今は尊さんがいるし、彼のお陰で私も亮平の本心を知る事ができた。
(……そうか、亮平は私を女として見ていたんじゃなくて、頼れる〝兄〟になりたかったんだ。いい子でいなきゃならなかった分、実妹じゃない私にチヤホヤされたかったのかな)
ブラコンの美奈歩には悪いけれど、亮平が血の繋がった妹に新鮮さを感じないのは、ある意味分かる。
血の繋がっていない継妹って言ったら漫画でもよくあるシチュエーションだし、ちょっと禁断の雰囲気があってドキドキするんだろう。
そんな妹に「お兄ちゃん」と慕われたい、頼りにされたいという想いなら、ある程度理解できる。
けど、納得はしても、亮平の気持ちにすぐ応えるのは無理だ。
尊さんはさらに優しく攻めた。
「忠告ですが、先ほどの電話の件もですが、相手に反感を抱かせるやり方は良くありませんよ。『妹だから言う事を聞かせて当然』と思ったなら大間違いです。人はまず家族に優しく接し、それから外部の人にも丁寧に接するものです。『妹ならこれぐらい大丈夫だろう』と思ってスマホを取り上げたあなたの行為は、恋人にしたならモラハラと言われてもおかしくない行動です」
そう言われ、亮平はぐっと言葉に詰まった。
「可愛くて美人な妹に言う事を聞かせたい欲は、男としてある程度理解します。でも彼女はあなたの所有物ではありません。一人の意思を持つ人間です。急に車で予定外の場所に連れて行かれれば怯えますし、車という密室でスマホを取り上げられたら恐怖を抱いて当然です」
「……悪かった。朱里」
尊さんに諭され、亮平は私に謝ってくる。
「……『いいよ』とは言わない。何をされるか分からなくて本当に怖かった。一応兄だから大丈夫だろうとは思っても、普段の行動が信頼できなかったから、余計に不安だった。二度としないで」
尊さんのお陰で亮平の気持ちが分かったし、もっと優しい言い方をすれば良かったのかもしれない。
でも拉致されてスマホを奪われた件について、なあなあにしたら駄目だと思ったから厳しめな返事をした。
尊さんの言う通り、これを家庭外の女性にしたら本当にモラハラだ。いけない事をしたと分からせないとならない。
「分かった。誓う」
亮平が頷いたあと、尊さんが尋ねた。
「参考までに聞いておきたいんですが、スマホを取り上げたのはどういう意図で?」
すると亮平はボソッと答えた。
「……運転中に急に彼氏から電話くるもんだから、びっくりしちゃって……」
天然かああああ!!
私は心の中で突っ込み、疲れを覚えてガクッと項垂れた。