テラーノベル
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こんにちは、蜘蛛です
あの今書いている「僕“達”の政略結婚」をチャットじゃなくて、ノベルで書くから
初めから書くから見ていってほしい
では、どうぞ
白無垢の袖を持つ指先が、細かく震えていた
檜の香りが漂う神前の間
雅楽の音が遠くで流れているのに、胸の奥はざわざわと落ち着かない…
__どうして私が今日、ここにいるのか、理由を誰も教えてくれなかった
ただ「大切な約束がある」「君のためになる」と会社に言われ、気づけば白無垢に袖を通していた
みなさんは、会社のことや将来のことを口にしていたけれど、本当の理由は、誰も何も言わない…
畳の上を歩くたび、裾がすべり、心臓が跳ねる
この結婚は誰のため? 何のため?
問いは胸の奥で何度も回るけれど、答えはどこにも落ちていない
「にほーん!!!入ってもいい?」
障子の向こうから、明るい声が弾けた。
返事をする前に、元気の少年が元気よく飛び込んでくる
黒い瞳が南の海みたいにきらきら光っていた
「パラオ……」
思わず名を呼ぶと、彼はにかっと笑って手を振った
「にほーん! 着物、めっちゃきれい!」
「そんなに?////」
「うん! にほんが着てるからもっと!」
パラオは陸海空家のお手伝いをしている少年
年のわりに仕事熱心で、話すとすぐに無邪気な笑顔を見せる。
その笑顔を見ていると、緊張していた胸がほんの少しほぐれていく
「にほーん、緊張してる?」
「……うん、どうして私がここにいるか分からないんです」
自分でも驚くくらい素直に言葉がこぼれた。
パラオは目をぱちくりさせ、首をかしげる。
「うーん、パラオも分からないなぁ〜」
「そっか…」
「でもね!ないち達ね!今日来れないけど、めっちゃ頑張っているよ!」
「うん…」
「パラオ、ないち達がにほんの話してるの聞いたことあるんだ!“守りたい”だって‼︎」
その言葉が胸の奥で小さく跳ねた
会ったこともない相手たち
名前だけは何度も耳にしたけれど、顔も声も知らない
けれど“守りたい”という響きだけが、不思議と心に沁みていく…
「にほーん、怖い?」
「……少しね。でも、パラオがいてくれるから平気」
「ほんと! パラオ、ずっとそばにいるね!」
少年の手がそっと袖に触れる
そのぬくもりに、張りつめていた肩の力が少しだけ抜けた
祝詞が始まる
太鼓の低い音が、体の奥まで響く
これが自分の未来へつながる音なのか__
それとも知らない誰かへの約束なのか__
答えはまだ霧の中
コメント
1件
神作確定演出きましたね。 楽しみにしています