コメント
2件
送り人というLeiさんの神ネーミングセンスですよ……!!✨ エモすぎてふおーです(日本語) 次回も楽しみにしておりますm(_ _)m✨
僕は『送り人』。
彼女を守るため、殺すためにいる…。
「見てください、桜が綺麗ですよ!!」
今、僕に声を掛けた少女が、僕が守らなければいけない対象であり、殺さなければならない相手である。
何故このような子供が死ななければならないのか…、それにはこの家の歴史が関わってくる。
かつて、この町が村でだった頃、ある風習ができた。その風習は今でも続いており、それに関する儀式は、警察や政府ですら口を出すことはできない。たとえそれがどれだけ世間の倫理から外れていようと、この風習を無くす事はできない。
この風習を無くす事は、この町の破滅を意味する。
この町は、五十年に一度、雨を降らせるために巫女を神に捧げる。つまり、言い換えれば、巫女を神に捧げなければこの町には雨は降らないという事になる。
そして、この町は土地が良く、特産物が多い。そのため、国もこの風習に口を出すことはできないのだ。
しかし、何も変わらず受け継がれた訳ではない。
昔、ある事件から『呪い子』が生まれてしまったことから、村の者達が話し合い、「巫女は結婚できる歳になる前に役目を果たし、次の巫女となるものは、親戚であれば、現在の巫女の子でなくて良い」ということになった。そして、「こんな事が起きたのは、巫女が逃げたのが原因なのだから、逃げられないようにすれば良いのではないか…。」というわけで、村の者達はその後の巫女に、「護衛」という体で監視役に巫女の親族を置いた。やがて、「巫女を神に捧げる」というのもその者の仕事になり、村の者達はそれを『送り人』と呼んだ。その『送り人』という役職は受け継がれ、今も存在している。
それが今の僕だ。
それから時は流れ、「本家の敷地内で儀式を行う」というのは難しくなった。神社を建て、その祠の中で儀式を行われることになった。
これが、この家の歴史だ。
そして、今年その祠で儀式を行うのが目の前にいる彼女なのである。
正直な話、僕がこの子を殺したくない。
彼女には生きていてほしい。
彼女は、僕の世界でたった一人の双子の姉なのだから。