テラーノベル
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「逃すなよ!」
逃げ出そうというガッツ。本当に曲がった先にはもういない。一体、何を使っているというのか?
「って言ってやれば勝ちなのね!」
「人として負けだろ…」
私たちは黒幕に立ち向かうために捜索を再開した。奴はどこに向かったのだろうか。…よし。上から見てみよう。何かないだろうか。この辺にあるか分からなかったが、見つけた。竹枝だ。実際に拾い上げる。言霊を込める。対象に状態異常を与えるのだ。
「“おお、幸《さいはひ》、ここに竹杖が一本落ちてゐる。では早速これへ乗つて、一飛びに空を渡るとしよう。”」
呪文?を唱えながら、馬にでも乗るように跨る。すると竹杖は忽ち竜のように、勢よく大空へ飛んで行った。まあやっている事は空飛ぶ箒の箒を竹枝に置き換えたようなものだ。敵に何があったんだとしても見て見ぬふりはできない。私は上から、皆には目の前から探してもらう。列車発見。他の皆は一緒に乗せてもらった。皆は少し見下ろすと見える飲んでしまえそうなほど澄んだ川に目を輝かせながら場所を探していた。 下を見る。トンネルを抜けると箒のようになっている木が下に全体に広がっていく。鬱蒼とした森の中で古びた家屋を発見。あそこにいるのはアイツじゃないか?フードを外しているのでしっかり顔を見るのは初めてだが、灯台下暗し。ついに場所を突き止めた。このまま下りて2階から侵入できる。皆も下から入って 合流したのはおかしな部屋。古くなっているが、現代のものだ。それにしても部屋が暗い。何か持って来ればよかった。いや。いるか。光と影の異能力者が。茉津李兄を起点にどんどん光で皆の姿が見えるようになる。
「わあ!いきなり明るくなりましたね」
「それは俺の異能力だ。光と影を生み出す。使い方によっては攻撃に変えることもできる」
影を触手のように操って攻撃することもできると聞いている。
「騒がしいと思ったら…」
足音。言葉ではないが、静かな怒りを感じる。やはりバレてしまったか。
「ネズミが紛れ込んでたか」
「頼むよ。もうこんなことはやめて!俺は行かなきゃ行けないんだよ、明日に!」
「俺はこのまま明日へ行くわけには行かないんだよ!」
「お願い。何があったのか教えて!私たちにできることがあるならしたいから!諦めずに頑張れば、希望はあるよ!」
「綺麗事はもう聞き飽きた!」
彼は言った。ギロリと睨む。
「綺麗事じゃない!」
それでも言い返すしかない。
「だったら止めて見ろよ」
そういうと思って。茉津李兄が影の触手で奴が持っていたあるアイテムを盗んでいたらしい。
「えっと…このアイテムについては調べさせてもらう!」
「なぁ…お前、言ったよな!人を傷つけて得たもので幸せになんてなれないって!お前はどうなんだよ!俺からは奪うのかよ!」
「そんなこと言ってないじゃん!一旦、落ち着いて話そ!落ち着いてから焦ろ?いや、どうせ焦るなら最初から焦ってたほうが効率的か?もう何が言いたいんだ、私は!」
「何、言ってんだよこな姉…」
磨輝にまで突っ込まれている。それでも話を聞けない限りアイテムを使わせることはできない。そして再び目の前が真っ暗になった。そこから私たちを中心に光が広がっていく。でもこの場所は明らかに先ほどと同じところではない。本当に何にもない。
「ここはどこなの?」
「俺の異能力が作った影の異空間だ」
陶瑚が尋ねて茉津李兄が答える。そんな使い方もあったのか。随分、勝手のいい異能力で…。ここにいる限り安全だろうか。さておかしなものを見つけた。この奴からくすねたスマホに入っていたこのカレンダーアプリは、時戻しの力を及ぼす。古い呪い。しかも強力。なるほど。この力でこの世界は何度も今日を繰り返しているというわけだ。と思うとアイツも一緒について来ていた。
「もう!思ってることがあるなら言葉にしてくれなきゃ分からない!何があったの?」
「はぁ?何?俺はお前の弟や息子じゃねぇんだよ。歌華姉さんw」
「は〜い、姉さんよ〜w」
「え!全然、嫌そうじゃない!」
「思ってたのと反応違う!」
うちの姉は本当に…でも奴に何があったのか知りたいのは本当なのだが…。と思っていると茉津李兄が何かを話していた。
「誰も傷つけたことのない人間はいない。だから誰もが「あの人にはもう2度と謝れないが、本当に悪いことをした」と思いながら生きていく。失敗した後の後悔の念は影に溜まっていく。 現にほら。姉さんの周り。大勢、憑いているぞ」
「そう…よね…」
お姉…そんな…ロープが落ちてきた。これはまさに蜘蛛の糸。それを見ながら思い出す。両親はいつも言っていた。自分たちが持って生まれたのはたまたまなのだと。私はこの世界の幸せを願っている。誰かを不幸にする奴は許さない。邪魔もする。このまま殺られるのを待つだけでは私たちらしくない。こちらも抵抗しよう。
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