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ひとまず話を聞いてみよう。と思ったが、いきなり空間の底が抜けてしまった。飛び降りるしかない。皆、恐怖はなさそうだ。上へ上がる気は無いのか、もがくこともしない。結んでいたリボンはどこかで落ちたのか、髪はメデューサにでもなったかのように揺れている。異能を持たないので危ないと思い、美六華さんと雪翔さんを一緒に俵の要領で抱える 。自分でも一瞬、分からないくらい簡単に抱き上がった。 後ろに縋り付くように一緒に飛び降りる。ここも本当に何もない。暗がりに檻だけがある。しくじった。完全に捕まってしまった。

「ここも多分、異空間ですよね?」

「俺が作ったところとは違うようだがな」

「ここ…時間を操るところではないでしょうか?」

美六華さんが何かすごいことを言い出した。時間を操るところ? どうやらこの今日を繰り返す現象の調査をしているうちに時間を司る神様がいる場所があるという噂を聞きつけていたらしい。本当なのかもどうやって行けるのかも分からないまあだったが。それは今も同じか。そしてそこには邪魔者を追放する異空間もあるとか。その言葉を信じるなら…私たちは時間を司る神様に追放された?とはいえ、あたりは漆黒で、光は一切見えない。風の音だけが響いている。 夜の闇の中で何かに怯えたのか。突然恐ろしくなったのかもしれない。

「ふざけるな!出せ!出せ!出せ!」

渚冬兄もい能力で出ようとしてくれている。

「大丈夫。これくらい僕のスーパーキックで…」

やめとけ、磨輝。思った時にはもう遅い。

「痛ーい!」

異能では脱出は不可能なのだろうか。そして言葉にしなかったがずっと思っていた。お姉どこだ?はぐれた。なかなかに不味くないか?

「うへぇ……」

「変なとこねぇ」

陶瑚は羽で穴を掘ろうとしている。言い忘れていたが陶瑚の異能力は羽を生み出す。色々なことに使えてこちらも使い勝手のいい異能力。

「幸呼奈…」

「陶瑚?」

「ここ広い!深い!」

掘りきれないんだね。なるほど参った。

「何でそんなに肝が据わってるんですか…」

「お姉、助けにきてくれるかな?」

「信じるしかないな…」

というと茉津李兄から光が作り出す幻想的な模様が浮かび上がる。よかった。これで互いの顔もしっかり見られる。

「それ、そういう使い方もあったんだね…」

勝手のいい異能力だこと。曙光を眺めながら、私 の心には、灯りが映る空を見たいという強い思いがあった。数ある願いの中で、今一番の望みはそれである。久しぶりに奴が口を開いた。

「残念だがその檻を内部から破壊することはできない」

「内部から?」

その声は?

「みんな!助けに来たわよ!」

「お姉ちゃん!」

「どうしてここが?」

「門番の中で1番デカい奴、投げたら吐いてくれたわ」

「最初からそうしてくれ」

どうやら私たちを閉じ込めてお姉には門番に足止めをさせていたのだ。その間に時を戻す準備を進めるつもりだったのだろうが…。

「さあ逃げましょ」

当たり前のように素手で檻の鍵を壊す姉を横目に逃げる。

「よくもあたしの弟妹に手出してくれたわね… 無事に戻れるなんて考えるな」

「お姉ちゃん、もうやめて!触手が千切れる!」

「この…馬鹿力…」

「離せ! どうする?奈良に帰るか……この場であたしに倒されるか……」

「それ鹿……」

「姉さん。よせ」

不服そうに奴から離れるお姉。

「何故、邪魔をする! 愛する人がいるのはお前たちもだろう?俺だって同じこと」

「やっぱり…きっと今日…この日に何か思い詰めたことがあるのね」

「言葉にしてくれなきゃ分からない!」

だからずっと言っているのだが。奴は自分を彩和雅と名乗った。彼には親友?がいて、ある日、その親友とやらが登山に行って崖から落ちて亡くなってしまったらしい。そして独自のルートでここ、時間を司る神様のところに辿り着き、今日をやり直せるアプリなんてものを手に入れてしまった。それでも何度やってもその親友を救うことができず、ついに親友を救うことではなく、生きていた今日を繰り返すことを選んでしまったと。誰に言っても信じてもらえるわけもなく。彼の家は比較的裕福だったと聞いている。転落した後の苦労は想像に難くない。それでも語り続ける彼の表情は変わらない。

「それは…貴方とその子が痛い、憎いままで死んでしまったからかしら?」

「そっか。それで貴方だけ残っちゃったんだね」

これ以上、聞きたくない、というより彼にそんな苦すぎる思い出を話させるのは気が引けてきた。誰にも聞いようなことが続けば、誰にも言いたくなくなる。少し執拗に聞きすぎてしまったかもしれない。そのことだったのか。もちろんショックだろうな。そうだ。自分だけが幸せになるのは…簡単だから。だからといって、逃げるわけにもいかない。我々は他者と信じ合うべきだ。とはいえ私たちはどうすればいいのだろう。

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