銃声が響いた戦場で、雅也と加藤は深い傷を負いながらも生き延びた。新政府軍との戦闘は一旦膠着状態となり、黒潮軍は撤退。
そこに一報が届いた。
「報告です!黒瀬隊長が生前、イギリスと密かに貿易を行っていた記録が発見されました!」
報告を聞いた雅也は顔をしかめながらも興味を示す。
「黒瀬の…遺産か。」
加藤も疲れた様子で酒を一口飲みながら言った。
「イギリスの支援なんて、夢物語かと思ったが…。で、何が来るんだ?」
兵士はさらに続けた。
「陸海空のすべてから、黒潮軍の増援が来ます!最新鋭の装備を携えたイギリス軍が、ここに向かっています!」
その知らせに、陣内の空気が一気に変わった。
黒瀬は生前、海賊団を率いて日本沿岸で活動していたが、ある時からその姿を消していた。彼が密かに旅を続け、たどり着いたのはイギリスだった。
現地で貿易商としての顔を持ち、黒潮軍の資金や物資を整える役割を果たしていたのだ。
黒瀬の日記が見つかり、その一節にはこう書かれていた。
「黒潮軍は、日本だけにとどまるものではない。世界の力を取り込む。それが俺の使命だ。」
雅也はその文章を読み終えると、苦笑した。
「ほんま、あいつらしいわ。」
加藤は感心しながら言った。
「で、肝心のイギリス軍はどれくらいの戦力だ?」
その夜、海上に黒潮軍の旗を掲げた船団が続々と姿を現した。艦船には最新の大砲や装甲が備わり、兵士たちは黒潮軍の象徴である黒い服装をしていた。
陸路でもイギリス製の馬車や武器を装備した騎兵隊が続々と集結し、空には熱気球がいくつも浮かび上がる。
黒潮軍の現指揮官の一人がイギリス軍の代表と握手を交わしながら語る。
「これで形勢は完全に逆転だ。」
雅也、加藤、そして黒潮軍の幹部たちが集まり、新政府軍への反撃作戦を練っていた。
加藤は地図を指しながら言った。
「これだけの戦力が揃えば、新政府軍の本陣を一気に叩ける。ただし…」
雅也が口を挟む。
「ただし、油断すれば可能性があるっちゅうことやな。」
幹部の一人が不安げに言う。
「それでもやるしかない。黒瀬隊長の思いを無駄にしないためにも。」
雅也は刀を握り直し、決意を固めた。
「黒瀬の遺産を最大限に活かして、新政府軍を潰す。それが俺らの役目や。」
一方、新政府軍の陣営では、黒潮軍の増援到着の報が混乱を呼んでいた。
「イギリス軍だと?一体どういうことだ!」
西郷は冷静さを保とうとしつつも、内心では焦っていた。
「黒潮軍が国際的なつながりを持っていたとは…。奴らを甘く見過ぎていた。」
幕府からの援軍も期待できない状況で、新政府軍は孤立の危機に直面していた。
空には熱気球が浮かび、海には黒潮軍の艦船が並ぶ。陸には馬車と騎兵隊が広がり、黒潮軍の士気は最高潮に達していた。
雅也は仲間たちに向けて叫ぶ。
「さぁ、奴らを潰す時が来たで!黒瀬の思いを胸に、日本を俺らの手で取り戻すんや!」
兵士たちの声が夜空に響き渡る中、戦いの幕が再び上がる。
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