「もうすぐ5年生だね、グレーテル!」
「うん!ヘンゼルは6年生になるんだー、早いなあ」
「そうだ、6年生になったら修学旅行があるでしょ?何したか教えてね!」
「分かった!」
僕たちは兄妹で、とても仲が良い。…多分。
最近は結構ケンカしてるから言い切れないけど、ケンカするほど仲が良いって言うでしょ?そういうこと。
「じゃあ、いってきまーす」
「いってきまーす!」
僕たちが学校へ着くと、
「あっ!ヘンゼルとグレーテルじゃん!おはよ!」
友達のクラルムが僕たちに気付き挨拶をする。
「「おはよー」」
そのままクラルムと話をしながら教室へ向かう。
ヘンゼルは5年生の教室で別れる。
クラルムは僕と同じ6年生だが、クラスは違うためクラルムの教室前で別れる。
僕は友達はあまり多い方ではない。
だから、同じクラスの友達が全員休みのことはよくある。
そして今日は、その日だった。
「最悪…」
そう小さく呟いたときだった。
目の前が真っ暗になる。
そして次の瞬間、
「どこ、ここ」
僕の目の前には全く知らない世界が広がっていた。
「お菓子の家?、」
「え!?どうしてグレーテルがここにいるの?」
「分かんない。気付いたらここにいたんだ。」
どういうことなんだろう?
僕たちが混乱していると、お菓子の家の中から誰かが出てくるのがみえた。
「おやおや、この世界に人が来るのは珍しいねぇ」
???
何が起きているのか全く分からない。
そしたら、家から出てきた人、おばあさんがこの世界のことを説明してくれた。
どうやらそのおばあさんが言うには、ここは童話の世界で、僕たちは逃げ出した童話だったようだ。
たしかに昔の記憶は無かったけど、そんなの昔だからといって特に気にしていなかった。
そして、僕たち以外にも逃げ出した童話が5つあって、その5つとは
赤ずきん、白雪姫、ジャックと豆の木、不思議の国のアリス、いばら姫の
ことらしい。
そして、僕たちの童話、ヘンゼルとグレーテルはたまたま見つけることができたから連れてきたらしい。凄い運。
おばあさんは、「だから僕たちに手伝ってほしい」といった。
僕たちは特に断る理由もなかったので、手伝うことにした。
ちなみにおばあさんはヘンゼルとグレーテルにでてくる魔女らしい。どんなひとなんだろう?
「どうやって探すの?」
おばあさんがそこまで説明し終わると、グレーテルが言った。
「それは簡単さ、君たちの力を借りるんだよ。」
「力?」
思わず僕は聞き返した。
「力というのは童話同士がどこにいるのか分かる力だよ。それが使えるのは童話の主人公だけなんだ。」
「凄い。でも、それだったらすぐ見つけられるんじゃない?」
グレーテルは言った。
「そう簡単じゃないんだよ。それで分かるのはその童話がいる世界だけ。詳しい居場所は分からないんだ。」
「思ったよりも難しそうだなぁ」
「それと少し関係ない話になるんだが、君たちはテーラという世界にいたんだよ。」
「テーラ?僕の住んでた世界のみんなは地球っていってたけど…」
「あぁ、そっちではそのように言うんだね。」
少しよくわからなかったけど、僕はそれ以上聞くことをやめた。面倒臭そうだった。
「まあ、今日はもう寝な。明日に備えるんだよ。」
そうして、僕たちはおばあさんの住んでいるお菓子の家で寝ることになった。
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