ピンポーンと、どの家庭にも馴染みがありそうな音を響かせる。
今、俺はゾムの家の前にゾムと一緒に居る
親に許可が取れたら…という条件はあるものの、
家に泊まってもいいよと許可を取れた。
…正直、見知らぬ大人が、
泊まる。って言ったら9割方、許されないはずなんだが…
危機感希望してるか?(見知らぬ大人の意見)
少しそんなことを考えていたらガチャと扉の開く音がした。
「…ゾム、何処行ってたんだ?」
男が出てきて早々、ゾムに問い掛けた。
恐らく父親だろう。
確かに暗さ的に真夜中、
そんな時間帯に学生が出歩くなんて、親は心配だろう。
そう考えながら、ゾムの言葉を待つ
…なかなか聞こえず、ゾムの方を見る
少し顔を青ざめ、此方をチラチラと見ていたことに気づいた。
…仲がよろしくない感じか。
そう思い、俺は言葉を発した
「ゾムは、公園に居たようですよ。」
少し敬語交じりに言った。
言ったはずだが、父親の反応は無く、
無いものの様な扱い。
と、言うより…
「やっぱ、見えないよなぁ」
半透明になった影響で、本当に幽霊の様な存在になったんだろうと、
考えていたことが証明された。
見えてないなら代弁は無理だから、頑張ってもらおう
アドバイスはするけど
そう考えてたら俺が代弁してくれないと知って、ゾムは
「別に?友達に呼ばれただけ」
と弱めに言ったあと、逃げるように部屋に行った。
その後を俺はついて行こうと、お邪魔しますと心の中で思った後、
家に足を踏み入れ、父親の隣を通り過ぎる時
「あんな問題児だけ生きやがって、なんで」
という声が聞こえた。
俺は何も言わず、ゾムの方へ向かった。
多分、ここだ
コンコンコンと扉を3回叩く
返事が無かったが、ガチャっと開けた
そして、部屋に入るなり、言う
「ゾムって霊感があるんだな。」
ゾムは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした後、
少し笑った。
多分…十中八九、父親についてか、夜中に公園に居たことを聞かれると思ったんだろう。
んなこと聞いても、俺には関係ないし、言ってくれる時に耳を傾けるほうが
幾分か良いだろうと判断した。
「さて、ゾム以外の人には見えなさそうだし、
ここに住んでもいいか?」
少し悩む素振りを見せた後、ゾムは
「…うん」
と、返事を返した。
さて、許可が取れたことだし、少し探検をしようかな。
と、大の大人が、子供の家に泊まる許可を取った事実から早々に目を背け、
情報収集に専念した。
まずはリビングだ。
そう思い、恐らくリビングだろう所に行く。
リビングは、普通の家庭と同じ感じで
机があり、椅子があり、テレビがあった。
机は大きいが、椅子がその大きな机には
足りないほど、少ない”2個”だけだった
そして、祭壇があった。
祭壇には写真と、お供え物らしきものがあり
写真をみる限り、ゾムの母親だろう。
…早めに亡くなったのか。
目を閉じ、手を合わせる。合掌。
仏教に興味は無いし、合ってるかは知らない。
故人に対する対応は、
俺にはこの程度しか出来ない
少し時間が経った後、
そういえば時間を確認していなかったと思い、
リビングの時計を見つけ、それを見る
短い針は10を指しており、
長い針は11を過ぎ、小さい目盛り2を指していて、(22時57分)
中途半端に夜中だった。
もうゾムは寝てるだろう。
そう思い、そういえば眠気来ていない事に気づいた。
幽霊…?だからだろうか。
んー、暇だ。
そんな声が耳を通り抜けた
…ゾムの父親の声だろう。
暇だからというのもあるが、
ゾムがこんな夜中まで外出していた理由と
家に来た時に言っていた言葉を
言ったのか気になったからだ
声の出処は、この部屋のようだ。
生憎、幽霊?だが扉をすり抜けるなんてことはない。
まあ、普通に考えてものがすり抜けれるなら、
地面に向かって真っ逆さまだろうと、
変な考えをした後、
どうやって入ろうかな。と考えた。
…無理だな。盗み聞きするか。
そう思い、耳を扉に近づけた
「彼奴だけ生きやがって!
なんでだ、なんで妻だけなんだ、
妻のほうが生きてほしかった。
あんな奴、要らなかった、
あんな問題児、
“交通事故”なんて、彼奴が信号無視したからだろ
学校で問題ばっか起こしたり、
どっか行ったり、
迷惑ばかりかけやがって
反省の色もない!」
そう、一通りのゾムへの怒りの気持ち
なるほど、ゾムの母親は、
ゾムを庇って亡くなったのか。
学校で問題を起こす。
何処かに報告なしに行く。
…それは、
「…そんな気持ちをゾムにぶつけても
俺が悪者扱いだ。
妻の分身でもある子に
ぶつけるのは違うとわかってる、
だが、俺にはもう無理だ。
反省の色さえ見えたら…」
…親を悲しませる、心配させる行動。
子が気持ちの整理がつかず、
中途半端に育った心で、頭で
考え、思って、行動し、
負の感情の行き道の1つであった母親は
居らず、爆発し、問題行動になり、
親を悲しませ、心配させ、怒らせ、
より子が孤立する。
なるほど、ゾムは気持ちの整理が付いていないのか。
父親も、この様子から見るに上手く言えないのだろう。
なら、大人である、俺が言わないとだな。
そう思い、明日の朝を待つ。
んー、暇だぁ。
:
:
時計の短い針が6
長い針が6丁度の時間に、(6時30分)
アラームの音がなる。
俺は、子供の部屋で胡座をかいて座って、
暇をしていた。
アラームの音で「んー」って言いながら
ゾムは起きた。
「おはよう、ゾム」
そう、朝の挨拶をした。
そしたらゾムは少し泣きそうな顔をした後、
「…おはよう…ございます、先生」
と、少しぎこちない様子で返した。
「今日、何するんだ?」
アラームが付いていたってことは、
恐らく…何か予定があるんだろう
と、思いながら問い掛けた
「今日は、学校」
と、返答が返ってきた
「え、今日、平日なのか。」
生憎、時間とかは時計があるから分かるが
何日なのかは、カレンダーがあったとしても、
どの日なのか分からない。
月はわかるが。
「先生はついてくるん…ですか?」
「うん」
即答をした。だって暇なんだもん!
あ、今、”もん”とかきっもっ!って思ったんだろ
…おまえらぁ?(圧)
あー、後は言いたいことがあるから。だな。
そうこう考えていたらゾムは着替えが終わったようだ。
あれ…そういえばいつ寝間着に着替えたんだ?
いつ、お風呂に…
(気にするな。それはご都合だ。by作者)
と、思ったけどどうでもいいな。
そんな変なことを考えてると、ゾムは部屋の扉を開け、リビングに向かう
それに俺もついて行く
リビングでは、パンと、牛乳、種類豊富なジャムが
机を占領していた。
椅子は2つ空いており、
父親は恐らく仕事だろう。
ゾムは無言で席に座り、手を合わせて「いただきます」
と、言った。
俺は食欲が無いし、まずあったとしても
子供の分を食べるなんて大人の所業じゃないな
と、ゾムがパンを頬張り、牛乳を飲んでいるのを見ながら考えていた。
ゾムはそれらを食べ終わり、手を合わせて「ごちそうさまでした」
と言った
意外といただきますとごちそうさまって言うのを忘れる物だから
俺と同じ(違う。)で育ちがいいなぁ。
と、思った。
自然に、時計を見やると、
7時15分であり、ゾムが起床してから45分経っていた
「ゾム、何時何分に家を出るんだ?」
と、問い掛けた。
「7時40分、あと友達と途中で合流するん…します。」
と途中で敬語に直した返答がきた。
まあ、なるほど、25分後か。
リビングをグルグルとしていたらゾムが
「幽霊やのに浮かへんねや…」と言った
「なんかそこらへんはっきりしないんだよな。
まず幽霊なのかもわからないし、まあ、
俺の姿が見えない人も居るから多分幽霊だろうけど」
と言った
その後は無言が続いた後、ゾムが
7:38と言う少し中途半端な時間になると荷物をまとめ、
玄関に向かった
外に出て、暫く道を歩いた
黄色い目をしたあの”刑事”に似たやつ
七三分けの髪型なシャキッとしたやつ
金髪でうるさそうなやつ
片目を隠し、眼鏡を付けた内気そうなやつ
個性豊かだな。と思いながらも
何処か”知っている”
俺に気づいたのは、刑事に似たやつだけだった
「ゾ…ゾム、そこの人は…?」
そう言ったが他のやつはハテナを頭に浮かべ、
「なにゆうてんの?誰もおらへんで?」
呆然としている所に俺が人差し指を口に近づけ、
“静かに”と、ゆうかんじに合図した。
それに気付いたのか
「な…なんでもない」
と言ったあと、話しながら登校した。
まあ、俺の方をチラチラと、見ていたけどな。
そう考えながらゾムたちの後ろで道路を歩く。
ポチャ、ポチャと、水滴の音がした後
ジャッと、水たまりに足を入れてしまったときの様な音で
“ようやく気づいた”
頭から?額から?それとも空から降ってきたのか?
赤い赤い液体が頬をつたり、落ちていっている。
後ろを振り向くと致死量とも思える血が地面に溜まっていた。
???????
おかしい。可笑しい。
頬をつたったあの赤い液体が原因で出来たものなら
“一瞬”にして溜まったということになってしまう
あの赤い液体の近くに
俺のように赤い液体を頭から、
身体から出ている人は居ない
そして周りの反応を見るに、
俺以外は恐らく”見えていない”
「…ゾム、返事はしなくていい。
後ろに水たまりは、あるか?」
そう聞いて、後ろを見てもらったが、
首を少し左右に振った
その質問は刑事に似たやつにも聞こえていたようで
そいつも後ろを向いた。
「ヒッ!」
とても小さな声だったが、俺には聞こえた。
なるほど、恐らく、霊?が見えるやつの中でも
見える力は強い、弱いがあるのだろう。
思考を出来る限り、赤い水たまりから
離れさせれるよう努力をした。
俺は本能的に思ってしまった。
“アレ”を知ってしまったら、”守りたいもの”に
守ることすら…近づくことすら出来なくなることを。
思ってしまったんだ
ーーーーーーーーーーーーー
どーも!ルクアでぇーす!!
えっ?テンションの切り替えやばすぎ?
それがるっくあ!
やっぱ僕ってシリアスが得意なんだろうか!
ハッハッハ
終わりー!
コメント
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ミスってたぁ!危機感希望じゃない!危機感機能だぁ!