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朝、待ち合わせた場所につくとサクはすでに低い塀に座って待っていた
近づいて声をかけようと歩く速度を速めた時、サクの様子が少しおかしいことに気がついた
···寝てる?
近くまでいってはっきり分かった
サクは塀に座りながらうとうとしていた
こんなところでうとうとしていては危ないなと思い、起こそうとしたところで思わず動きを止める
昨日は、俺より年下に見えるのにやたらと大人びた表情をしていたのに今の寝顔はまるで印象がちがくて、幼げで···可愛い。
って···俺、何考えてるんだ
「サク。」
俺はふと沸き上がってきた思いを振り払ってサクに声をかける
「んぁ···?」
薄く目を開けたサクは寝ぼけたように俺に寄りかかってくる
「おわっサク!?」
「んんぅ」
軽くサクの肩をたたくとやっと起きたようでその赤い瞳と目があった
「···あれ?ジス···?」
目が覚めたサクは驚いて距離を取る···訳でもなく、数回まばたきをしてからのんびりと体を起こしぐっと体を伸ばして塀から降りた
「ごめんね。寝ちゃってた」
「なんで···?」
「いつのまにか?」
自分も分かっていなさそうな感じて曖昧に答えたサクはそのまま歩きだす
つくづく不思議な少年だ
のんびりと歩いて次の町まで向かう
二人での旅路は静かだけど決して気まずくはない。
そんな空気が嫌いじゃないなと思った
「噂で聞いたんだけど次の町は猫がたくさんいるらしいよ」
「猫か。いいな」
たまに交わされる他愛もない雑談
猫がたくさん···か。いいなぁ
思わず頬が緩む
「猫好きなの?」
「ああ。結構好きだ」
だらしない表情をしてしまったなと少し恥じつつも答える
「サクは?」
特に深い意味もなく訪ねるとサクは少し思案するように小さく唸る
「うーん···分かんないな、多分嫌いじゃないよ」
サクの不思議な返事に少し呆けてしまったが、この少年ならと納得する
「結構楽しみだ。次の街」
「なら良かった」
朝から歩いて昼過ぎについた町は町というより村といった感じで、賑やかではないが暖かな空気が流れていた
そして···
「おお···猫!」
町の入り口にすでに猫がいる
町に入ってみれば至るところに猫がいて足元にすり寄ってくる
「···」
思わずしゃがみ込んで猫をわしわしと撫でると 猫は気持ち良さそうに目を細めてごろごろと喉を鳴らす
俺、今結構幸せかもしれねぇ···
黙々と猫と戯れていると隣で控えめに猫を撫でていたサクが俺のことをじっと見ていることに気がついた
「···どうかしたか?」
「いや···初めて会った時と印象違ったなと思って 」
サクのいっていることの意味がいまい分からずに首をかしげるとサクは言葉を整理しながら話し始める
「最初はなんか···もっと硬派でキリッとした感じだと思ってたけど、意外とほわほわしてるなって」
「なんだそれw」
「なんだろね」
俺が苦笑混じりに返すとサクも心なしか目を細めて笑った気がした