ないこ「なぁ___。今日で1000年だよ。」
なんて誰もいない屋敷で、月明かりが照らしてくるこの窓に腰を掛けて言う。
「お前が転生すると次はお前がこっちの立場になるのかな……」
“俺のことなんか忘れて幸せになってね”
と言って目を閉じる彼。
その目が永遠に覚めないことを既に俺は知っていた。
1000年経った今でも忘れないあの光景。
「そんなこと言われても無理に決まってるだろ……?」
そう溢した言葉は誰にも伝わらない。
月を眺めながら一人で話す彼の頬を一粒の涙が伝う
__今度こそ君と普通に暮らせるのかな…?
~~~~~
待ちに待った新学期!と言ってもクラスのメンバーは変わらないお陰で2年になったという実感が湧かないが……
とか思っていたら転校生がいるらしい。
“内藤ないこ”
見た目はthe陰キャって感じだし実際前で自己紹介しろって先生に言われた時もオドオドしてた。
「席は…酒崎の隣な」
いや俺の隣かよ!!たしかに空席だけど…
隣の席なので一応挨拶をしておこうと思いよろしくな、と言うと
「あ……うん。」
で、会話が終わってしまった。人と話すのが苦手なんかな…?
休み時間になるとクラスの陽キャ女子達が話しかけに行っていたが対応が冷たかったからかみんな速攻離れていった。
そして昼休み、俺は昼飯を食べる準備をしているとそういや隣に内藤さんがいないなぁと思ったがあまり気にせず食べようと思った時、
「まろ~!来たで!」
と、元気な声が聞こえた。
「あにき~!」
「相変わらずまろは一人やなぁw」
「む!あにきが居るから一人じゃないもん!」
「まろ?俺たちもおるんやで?」
「いふまろって本当あにき好きだよね~w」
「まろあにきっずだもん!」
「だからそれはなんやねんw」
なんてわいわい話してると内藤さんが戻ってきた。そしてまた何処かに行くようだ。
「あれ?転校生か?」
「そーだよー」
内藤さんは俺たちが話してることには気にも止めず普通に通り過ぎてった。
「なんか…地味な子だね?」
「おおぅ!?お前いつからいたん?」
「え?さっきからいたけど…」
「あほとけ、最初から失礼すぎん?」
「え、だってそう思ったから……」
「地味でなんか文句ある?」
と、急に後ろから聞こえた声。通り過ぎてったと思っていたが後ろに居たようだ。
「え、あ、すみませんッ」
って謝っているほとけを無視して今度こそ通りすぎていったようだ。
流石に誤解を招いた気がしたのでみんなにごめんと言って内藤さんの後を追いかけていった。
~~~~
内藤さんの後をついていってたどり着いたところは屋上だった。鍵がかかっていて入れないはずなんやけどなぁ、と思いドアに手をかけると普通にガチャっと開いた。
そして中に入って俺の目に映ったのは…
フェンスにもたれかかって空を見つめている内藤さんだった。しかも眼鏡を外している。
その姿はどこか見たことがあるような気がした。
でも思い出せない。
てか、めっちゃイケメンやん……
なんてボーッと見つめていると
「何か用?」
と、言われた。
「え、あ、さっきはごめん……」
「別に。いつものことだし。」
そう言うと彼は歌い出した。
でも歌詞はない。
聞いたことないはずの曲なのに何故か聞いたことがあるような気がした。
さっきから知らないはずなのに知っているようなことが多い気がする……
「それ、内藤さんが作ったメロディーなん?」
そう聞くと歌うのをピタッとやめ少し躊躇った後
「この曲は……俺の大切な人が作詞した曲だよ」
といって寂しそうに笑った
そして再度歌い出した。
今度は歌詞をつけて。
_黒いドレスを纏った君が
_淫らに乱れよがる姿に
_青いBlue Moonのカクテルに
_溺れたいんでしょう
きっとこの部分がサビなのだろう。そして歌った後、彼は何か言った。しかしその言葉は昼休み終了のチャイムにかき消された。
そして彼は俺の横を通り抜け戻っていった。
その彼を追いかけようとした時、
俺は階段から足を踏み外した。
まずいと思いきゅっと目を瞑った時、視界の端に内藤さんが映った気がした。
ドンッという鈍い音が響く
あれ、?痛くない?
目をそっと開けると倒れていたのは内藤さんで。
しかも心臓が動いていない。
え、?俺が巻き込んでしまったから死んでしまった……?
いろいろなことが急に起こりすぎて俺の頭がパンクしかけた時、肩に誰かの手が乗った。
初兎「まろ、大丈夫か?」
コメント
2件
1000年…ないふの愛は脆くなくて、むしろ永遠にとか神やわ…ブク失!