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第11話
目が覚めて、視界に入るのは大好きな人の顔。普段はかっこよくて、クールな顔も、寝ている時は可愛く思え、思わず額にキスを落とした。
「んぅ…」瞼が開き、俺の事を真っ直ぐに見る君の目はとっても綺麗。でも、なにかに驚いた顔をしている。
「どーしたの?めめ」疑問に思ったことはすぐに口に出してしまう俺。彼は体を起こたあと俺の体を持ち上げ、頬に手を伸ばしてきた。心配そうな顔をする彼。なんで?という率直な疑問を持つ俺。
「佐久間くん…目の花が…」彼はそういった。確かに朝起きた時、視界になにかがある気がして少し見えずらかった。花が成長したんだな。
「めめ、そんなに驚くことないじゃん笑これが俺の普通なんだから笑」また俺の悪い癖。不安になると無理して笑う、前にも注意されたのにこれだけは直せない。
「驚いたとかそういうことじゃない。病気が進行してるんだよ?佐久間くんが離れていっちゃう気がして…嫌なんだ」下をむく彼。その顔はとっても寂しそう。やだな…死ぬのが怖くなんじゃん。
「めめ俺は離れていかないよ。だってめめのこと大好きだもん。だから昨日の夜幸せだった。」俺とめめの体は昨日ひとつになった。故に実体が離れたとしても、心は繋がってる。俺は勝手に思ってる。
「俺も幸せだった。大好き…」ハグを迫る彼。ファンの子の前ではかっこいい姿でも、おれの前だけで見せるこの甘える姿がとても愛おしく、特別感があって俺は優越感に包まれていた。
「よし、朝ごはん食べよっか!」「一緒に作ろ!」朝ごはん一緒に作るなんて新婚さんみたい笑なんて思ってたけど、俺はすぐに絶望感に襲われた。
「あれ…?体動かない…」さっき体を起こした時はめめに持ち上げられたため気づかなかった俺の体の異変。足は根っこのように突っ張っていて、上半身もなにかが張っている感じ。
「佐久間くん!もしかして…上めくるよ!」彼は俺の服をめくった。
俺の上半身にも、大きな花のつぼみができていた原因は多分これ。
「ッゥ…!?」明らかに動揺するめめの顔。無理もないよね。俺だってこんなに早く花が生えるなんて知らなかったもん。病気の進行が思ったよりも早いし、結構やばいな…
「めめ…?俺のこと運んでくれない?」驚いていることは隠して俺は平常心で彼に頼み事をした。彼も驚きを隠せないながらも俺の頼み事を聞いてくれた。
今日は、ファンのみんなに俺の病気を話す日。メンバーは同じところにいるものの、カメラには入らずまわりで俺のことを見守ってくれる。でも、俺は
「めめ〜もう一つお願いしてもいい?」めめに運ばれながら放った俺の弱音。
「今日の撮影、俺は絶対泣くし、辛くなるからさーめめ俺の横にいて俺の手握っててくれないかな…?」俺は今にでも泣きそうな声でそう言った。この病気になってから気が弱くなって自分が死ぬことに恐怖を感じて、すぐに涙が出るようになってきた。そんな弱い俺を彼は腕の力を強めて抱きしめながら、「もちろん。彼女のお願いだし、彼氏の特権でしょ?」と力強い返答をしてくれた。
「ありがとう…」俺もめめの首に手を回し、彼の頼りがいのある男らしい胸に顔を押し付け、限りある幸せをかんじた。
俺の彼氏が
めめでよかった。
続く